火星と木星の間にある小惑星帯の中で、まあるい形をした準惑星「セレス」と呼ばれる天体があります。
ここへ向かった探査機ドーンが、セレスに大小二つの謎の光を発見しました。NASAは慎重で、ドーンが軌道に入り観測するまでコメントを発表しないようですが、その時の説明が、今から楽しみでしかたがありません。間違っても異星人の仕業にはしませんし、あくまで自然現象で片づけるつもりでしょう。そこで思い出したのが、14年前の作文です。多少、情報が古い感はありますが、昔から変わらないNASAの体質が、はたから見て楽しめます。
その昔、ソ連邦と米国の冷戦状態の頃、米国の軍事偵察衛星の精度に関していろんな説が出ました。例えば30㎝の物が識別できるとか、ソビエトの大統領の「うしろがっけ」まで見えるとか。 今回の戦争では冗談ですが、ビンラディンの人形をわざと空から見える所に置いて、特殊部隊を罠にはめる4コマ漫画がありましたっけ。常識的に考えて高度500キロの宇宙から地面を見たら空気の層のゆらぎやほこりで果たしてそこまで分かるかな、という疑問が湧きます。でも今回は高地アフガンですから、以外と良く見えるかも知れませんね。人工衛星以外にも無人偵察機やらスティルス機やらUFOみたいなのまで飛ばして探しているのかも知れません。
スペ-スシャトルには合成開口レーダーが積んであって、これは雲のあるなしに関係なく地表はもちろん、地中の様子まで分かるそうです。サハラ砂漠の地下にある伝説の大河バールベラマや大渓谷まで写し出した写真があります。
さて、これらを踏まえて目を太陽系に転じてみると、地球の兄弟も以前言われていたような味気ない世界とはだんだんとイメージが変わってきています。例えば木星。NASAは昔から木星は太陽になりそこねた惑星で水素とヘリウムの塊と断言していました。ところが1994年のSL9(シューメーカー・レビー9彗星)の大衝突で開いた穴底から大量の水が観測されました。大量の水があると言うことは大量の酸素もある、と言うことです。これを発見したのがイギリスの赤外線天文台だったのでNASAは否定することもできず、最初は「地球の雲と同じ水の粒でできている雲は存在しない」と言い張ってましたが後に「木星の雲の上層部には大量の水が循環しており自分たちの探査機(ガリレオ)はたまたま乾いた空間を降下した」と訂正しました。有名な木星の大赤斑についても相当怪しくなってきています。大赤斑は最大で14キロも大気から盛り上がる高気圧領域であることが確認されていますが、大気圏より上に盛り上がる高気圧状態の低気圧(台風)なんて考えられますか。
ガリレオには木星の大気探査機プローブが積んでありました。プローブは地球では比べるべくもない秒速180メートルもの暴風に突っ込んでいき、風が木星の底から吹き上がってくる証拠をつかみました。それは風のエネルギーの元が木星の底にあるという証明であり、そこが非常に熱いことを示しています。プローブは降下から通信が途絶えるまでの間、1時間にわたり、24バール(1バールは地球で海面に加わる平均的な気圧)・摂氏150度のデータを最後に消滅しました。それはパラシュートを開いたポイントから約150キロ潜った位置に当たります。ではプローブはその程度の数値で破壊してしまったのでしょうか。1969年に金星に軟着陸した旧ソ連の「ベネラ5号」は摂氏530度・140気圧の中でも破壊せず仕事をやり遂げました。では30年前の技術の方が優秀だったのでしょうか。そうではなくて、そこが地表だったということなのです。つまりプローブは木星の地表となる地殻に激突したため、大破し送信を断ったということです。
しかし、木星を地殻惑星と決定づけた探査機は実はガリレオではないのです。それはあの、ボクたちを震撼させた、プルトニウムを満タン積んだ土星探査機「カッシーニ」なのです。あの時と同じようにして、木星の引力を利用してスウィングバイ(フライバイとも言う)によって加速して土星に向かいました。その際ガリレオと共同で木星の観測を行ったのです。その時観測した木星の磁気は地球の1200倍もあり電子ビームはイオとつながってさえいたのです。この強力な磁力の仕組みをカッシーニはガリレオと共同で解き明かそうとしました。そしてその結論は、イオが飲み込まれるほどの巨大なドーナツ型をした荷電プラズマを発生させるには木星が巨大な地殻天体でなければ不可能ということが分かったのです。カッシーニはもう一つのハイテク機器、強力なレーダー・マッパーを搭載していました。これは厚い雲を貫通して地表の地形を観測できる、あのスペースシャトルの合成開口レーダーと同じものです。この機械が写し出した木星赤道付近の画像データは、すさまじい規模の山あり渓谷ありの起伏に富んだ地形画像だったのです。
これで驚いてはいけません。(べつにいいけど)今やカッシーニなしでも、地球上からでも木星画像が得られるほど、技術は進歩しているのです。アメリカは、プエルトリコにある世界最大の固定式パラボラアンテナ(口径305m)とグリーンバンク(ウエストバージニア州)にある世界2位の可動式パラボラアンテナ(口径100m)を連動させるプロジェクトを開始しました。これは例えば炭酸ガスの厚い雲が覆う金星にアレシボ電波望遠鏡から強烈なレーダー波を照射しその反射波を2箇所の電波望遠鏡で受信すると、金星のマックスウェル山周辺のクローズアップ画像、解像度1.2キロと言う鮮明な画像が得られるというものです。そして木星に向けて撮った地表の全体像には、みごとな超巨大火山「クロノス」がちょうど大赤斑の緯度付近にはっきりと写し出されているのです。その輪郭は掛け値なしに木星半径の1/3ほどもあるでしょう。
これを聞いて喜んでいるのは、さしあたり私を除いてはヴェリコフスキーでしょう。彼は木星から金星が誕生し太陽系を荒らし回って、今の位置に落ち着いたという理論を主張している人です。まさに木星に超巨大火山があれば、その大噴火により原始惑星が誕生してしまう理屈が成立するわけです。彼の理論の根拠は例えば5千年前の古代ヒンズーの惑星表には金星が描かれていないという事。古代ギリシャのピュタゴラス派の人々は金星を(尾のある)彗星と呼んだこと。太陽系の惑星の中で金星だけが自転の方向が逆回りなこと。(地軸が逆転している/ひっくり返っていること)火星が丸裸になったわけ。ノアの洪水の原因を説明できる事など、以外と辻褄合わせるに都合がいいのです。
この物語は飛鳥昭雄氏が発表しようとする説の受け売りでほとんど全部引用しているわけですが、NASAという機関がペンタゴンの一部であり米国の利益に反することは発表しないだろうと考えると、それほど奇抜なニュースというわけでもないでしょう。十分あり得ることだと思います。次回は、そういううさんくさい米国の一面をさらに補強する、インターネットに関する米国の野望について取り上げたいと考えています。