安美錦が千代の国との一番で土俵際、踏ん張った瞬間に右膝を負傷してそのあと立つことが出来なかった。本人曰く、ぐりぐりっとやってしまった。
ぺたっと座ったまま、子供のように突然泣き出した。本当に子供に返ったようにしゃくりあげて2秒ほど泣いた。そしてすぐ我に返って、土俵の上に上がろうとするのだった。しかしあきらめて、呼出しの力を借りて下がっていった。
幕内最年長者がようやく復活して、上がって来た初場所で、ついにやっちまった。という思いがよぎったのだろう。引退の文字が浮かんだのだろう。
見ているこっちが切なかった。両足に太ももまでがっちり(がっつりではない)サポーターをして、あれはいいのか?と前から思っていた。
しかしあの泣き顔を見たあと、分かった。それほど大事に、大事に相撲を取って来たんだなあ。
今場所はなんだかところどころで、真剣な勝負が展開しているような気がする。それだけに、ガチで勝負して間近にああいう場面を見ると、八百長を容認するわけではないけど、何だか手加減する場合もあるのかも知れないと考えた。
きのうの取り組みが、そういう要素の入る場面だと思うわけではない。しかしこれが貴乃花の目指す相撲の形と矛盾していないことを祈るのみだ。
そんなことはないと思うが、貴乃花の投げかけた事件が、力士の寿命を縮めることに繋がっていないことを願う。
千代の国が戻って、土俵下の安美錦に手を差し伸べたのが、印象的だった。