松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

仮面ライダー・クウガの、形而上学的考察。

2018-01-29 16:17:35 | 日記・エッセイ・コラム

 あれは今から40年も前のことでしょう。テレビがうちにあることが、珍しくなくなってきた頃、日曜日の楽しみはまず朝のナショナルキッドでした。
 最近、日曜の8時はとても重要な時間となりました。仮面ライダー・クウガがあるからです。今のボクはみっともないくらいこれに賭けています。そのためにわざわざ7時30分からのタイムレンジャーをまず子供と見るくらいです。7時58分に終わって「このあとすぐ、仮面ライダー・クウガ」と予告が入るまずそこからすでに入り込まなければほんとのファンとは言えないでしょう。水戸黄門がいきなり最初から印籠を出さないように、ジャイアント馬場が最初から16文キックを放たなかったように。

 なにが凄いのか、まず型破りな展開です。五代雄介が変身している最中に未確認生命体が攻撃を仕掛けます。してまた五代雄介もバイクで突っ走ってきたまま生身で一発食らわすわけですが。そしてストーリーが骨太です。この前、雄介の担任だった先生が出てきましたが、悩んでいました。父兄からはうちの子供はもっと伸びるはずだと言われ、教育委員会からはゆとりの教育と言われ、彼は自分の教え方が間違っていなかったことを確かめるため何十年も前の雄介との約束に賭けます。雄介はその日を確かに覚えていたのですが、たまたま未確認生命体が現れ、始末した後、昔の小学校に向かいます。夜になっていましたが二人は再会することができました。
 トータルなエンターテイメントとしてボクを満足させるのが、映像と音楽の質の良さです。映像はハイビジョン、音楽は残虐シーンにクラシックを持ってくるという凝りようです。戦闘以外の場面での心安らぐ音楽と戦闘場面での激しい音楽とのスピード感の落差が見事です。メリハリが効いてます。
 意外性という点でもうひとつ、未確認生命体の使う言葉、こっれが分かりません。東北地方の言葉のような、秋田弁に非常に近い、「だじずでど」のやたら多い言語ですが字幕も通訳もしないので分かりません。しゃべっている人、いや生命体、大変だと思います。舌噛まないか人ごとながら心配です。でも多少間違っても誰もわかんねえか。

 あとリアルなのが最初主人公も未確認生命体の仲間だと思われて攻撃されていたこと。警察は今でも会議の際、2号あるいは4号と呼んでいる。周到なことに言葉のほかにそれを表す古代文字まで発明しているところ。絵的にもとても素敵な文字です。これを解読しながら物語が新しく展開していく同時性がたまりません。例えば沢渡桜子が解読した「馬の鎧」。長野山中から彼らと一緒に出現したカブトムシのような飛行体。これが五代雄介の乗るバイクを追っかけてきてバイクと同化しバイクの装甲となるあたり。しかも番組途中に入るバンダイのCMとも関連性があって鳥肌が立ちましたわ。これがそう(馬の鎧のこと)だったのかって。だから30分とても短いです。コマーシャルもクウガですから。
 おきて破りもここまでくるとほんものです。主人公を殺してしまうストーリーっていったいどんな物語なのでしょう。五代雄介は未確認生命体26号とたたかい首を噛まれて重体に陥ってしまうのです。ここでもまた人生における啓示的な名言が現れます。集中治療室に運ばれて手当てを受けている間、桜子は「私なりに自分の場所でがんばる。」と言って雄介の回復の手がかりとなる碑文の解読のために大学の研究室に戻ります。雄介の妹、みのりもまた、「私も自分の場所でがんばります。」と医師に告げて保育園にもどるのでした。西洋医学的に死んだ人間が果たしてどうなるのか、早く週末がきてほしい今のわたくしの心境でございます。次回EPISODE19霊石をおたのしみに。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする