棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

棚からぼた餅-2-厄病神の登場

2007-12-19 09:25:35 | Weblog
「ヤーー福の神、ひさしぶりだなー。
あいもかわらずショゲタ面をしていやがる
ちったー何かやったらどうだ。
といっても、テメーのやることターなんもネーけどヨ。」
われるような大声と、太鼓を打ち鳴らしたような大笑いの主は、
落ちぶれた庄屋の屋敷に住んでおります厄病神でございます。

お相撲さんの化粧回しを寄せ集めたような、
キンキラ・派手派手をきこんでおります。
お顔ときては、鬼瓦を化粧したごとく、ギラギラしたでっかい目玉に、
毛虫が数十匹たむろしているような眉毛。
鼻はでっかい団子を三つほどあわせたかんじです。
ひついでに、鼻毛がブラッシのごとく、口は分厚く精力的。

「ワシャー仲間の寄り合いで、出雲の邦にいかにゃーナラネー。
留守のあいだ、いつものようにこいつを預かってくれ」
抱えておりました大きな荷物をドーンとおくと
祠はグラグラゆれ、いまでもつぶれそうです。

「いいか。中身を見たらしょうちしねーゾ」
げんこつほどもある目玉をギョロリとさせ、
すごんだ厄病神でございました。
「トトトトッとんでもありません。厄病神さんの大切なものをみるなんて。
それにしても、毎年、出雲の邦にいかれるなんて、うらやましいことです。
わたしなんぞずーとむかしのことで・・・。
だいいち旅行代がありません。」

「オレ様の留守のあいだしっかり村を見張っているんだぞ。
といってもあんたのでばんはネーけどヨ。
マーなんかのたしにはなるズラ。」

厄病神はでっかい鼻をさらに膨らまし、
蒸気機関車のごとく鼻息をふきだし、
地響きをたてながら旅立っていきました。


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