goo blog サービス終了のお知らせ 

棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

56-珍訳源氏-明石の入道

2009-08-11 08:04:06 | 物語・絵本・童話
明石の入道
その海面を光の帯を作りながら、舟が漕ぎ寄せられました。
この地にいる「明石の入道」が、やはり住吉の神に導かれ、源氏殿を迎えに来たのでした。
源氏殿は神仏のご加護の賜物だと、直ちに舟に乗り込みました。入道の屋敷は京風に作られた立派なものです。
 入道には魂胆がありました。一人娘を源氏殿にめあわせ、なんとしても京に錦を飾って帰りたいと願っていたのです。

55-珍訳源氏-夢のお告げ

2009-08-10 10:18:10 | 物語・絵本・童話
仮屋に雷が落ち火事になっりほとほと困り疲れ果ててしまった源氏殿は、再び夢をみた。
今はなき父桐壺の帝がくっきりと現れ「住吉の神の指示に従い、ただちに船にてこの浦を立ち去りなさい。この天変はまだまだ序の口。ワシはそなたの理不尽な苦しみを救ってやらねばならぬ。これから朱雀帝に申し上げる」
「父上、どうかをお助けください!!! 」と、子供のように泣き叫び、目が覚めると、嵐はおさまり、海は月光に鏡のごとく輝いています。

54-珍訳源氏-龍王のおつげ

2009-08-09 08:04:27 | 物語・絵本・童話
源氏殿は三月の始めの巳の日に、中国伝来の陰陽になる水辺のお払いのため、波間に立つと、にわかに黒くもが沸き立ち、雨風雷鳴稲光の天辺地変。大急ぎで帰宅。
仮屋の一部は吹き壊されるなか、一心にお経をあげていた。ようやく静まってきた明け方、光源氏は奇妙な夢を見た。
「帝が貴方をお迎えしているのに、どうして帰らないのですか」と、海のそこから不思議な声が呼びかけてきたのです。もしや海の底に住む龍王ではなかろうか。とすれば、こんな地にいると、取りつかれてしまうと恐れをなした源氏殿でした。
その後嵐は続き、仮屋は風か吹き込み、雨漏りがしだす始末。
 京の都でも嵐はすざましく、人々は恐れおののき密かに祟りだといいだした。日に日に被害が増し、宮中でも厄除けの加持祈祷がおこなわれ、政治も止まってしまった。
話はとんでもなく変わりますが、私の住む極楽浄土世界から、あなた方の娑婆への「語り部」として選んだ者の最大の理由がこの「龍王」からでした。 後はお察しのとおりです。

53-珍訳源氏-明石の巻

2009-08-08 10:35:31 | 物語・絵本・童話
右大臣家の栄耀栄華の時代にあって、政敵ともいえる左大臣家の私は(31歳)一度仕事を辞した。しかし、宮中内の評価も高く、妻の実家が右大臣家ということもあったのでしょう、まもなく復権の上、宰相に昇進した。
だが、源氏殿がいないと、なにごとにつけても面白くなかった。
源氏殿が流刑になって翌年の春、私は源氏殿との接触をきつく禁じた皇后様のお達しを無視し、桜が咲き始めたころ、須磨にいる源氏殿を訪ねた。
人気のない海岸の仮屋は、下々の家と変わらず、想像以上のひどさに自分の職をなげうってでもナントカしなければとおもった。
 寝もせずに語り明かし帰ってきたが、寂しさがつのるのは、源氏殿の方が大きかったと思う。
私ばかりでなく密かに訪ねたものはあったであろう。
源氏殿を恋しく思う姫たちは、密かに文をだしつづけていた。
それにしても御苦労を重ねたというのに、品位と威厳はますますふかくなっておられ、おん年26歳という若さの輝きの中に、男の風格が加わっていた。さすがと感服いたしました。

52-珍訳源氏-明石の地への島流し

2009-08-07 10:40:30 | 物語・絵本・童話
前回はまーーインターバルのようなもの。
さて物語りは有名な(全編有名ですが)明石の巻になります。
 
源氏殿、25歳の春。わずかなお供で流刑の地明石-須磨のあばら家に島流しになった。
寂しく中秋の名月を観ては都の姫たちを思い、風のうなりに、寄せてはかえる波おとに、千鳥の鳴き声に、誰かが訪ね来てくれたかと、心をときめかしたのでしょう・・・。
須磨から近くの明石の地には、家来の知り合いである「明石の入道」という、もと国司を勤めた一族がいた。
この男は貴族的自尊心と野心があり、都にいるときは衝突の多い者だった。この地で財を成した入道は、都を離れた生活でも気位の高い暮らしをしていた。とりわけ一人娘に期待をし、都の姫に負けない教育をしていた。

51-珍訳源氏番外編

2009-08-06 10:11:22 | 物語・絵本・童話
今日は広島に原爆が投下された日。人類にとって絶対に忘れてはならない日。人類の負の遺産について考える日。

珍訳源氏物語--気がつけば連載50回を迎えていました。よくもしょうもない駄文におつきあいいただきありがとうございます。
おかげでナントナク目を通していただく方も増え、もっと気張らなくてはと思いますが、なにせ源氏物語の登場人物中の光源氏の義兄の私が(ノノの連続でNO)、皆様方の世に存在するオッチャンをとおしてのこと。いろいろ問題があります。ずばり申せば、人材選定の失敗で私の真意がナカナカ伝わらないのははがゆうございます。原作者の紫式部さんの語り部たちは、いずれも一級人ばかり。私の不徳のいたすところでございましょうが・・。
出来れば私の住む極楽浄土のテレパシーを、皆様が直接授受できればいいのですが、まだまだ其処まで行っていないようですね。
極楽浄土から「このオッチャンは暇そうだから・・・」と選んだのですが、詩の一つを詠むよりも酒を飲んでいるばかりで、語彙の貧相さにはいささかあきれているのでございます。といって、いまから新しい人材も面倒なので、ご迷惑ながらもポチポチと、このオッチャンに語らせて参ります。まーー私の世界にリストアップされている大多数の一人ですので・・。
まだまだ先がナゴーーございます。お付き合いください。

50-珍訳源氏-

2009-08-05 11:03:48 | 物語・絵本・童話
右大臣家の長女の苦悩
私は左大臣家の者で、妻は右大臣家の四女。つまり長女の皇后さまの妹。ということは、源氏殿が左遷されたとしても我が身は安泰であったが・・・。
右大臣家には6人の姫がおり、みな美人ぞろいで、それぞれ地位のある者と縁をもっていた。そんな関係で、ずっと昔に皇后様にお目にかかったことがあるが、今ほど陰湿で嫉妬深さはなかった。
私の思うには、宮中に上がり、帝の子を産みながらも后になれないことや、亡くなられた桐壺の女御や、ご出家された藤壺の中宮ほど愛されていなかった。女としての口惜しさは尋常ではなく、長年の恨みつらみが、爆発的にでたのではないだろうか。
確かに、一番下の妹 朧月夜の姫 の操を源氏殿に奪われ、計画が狂った口惜しさはあったとしても、その程度のことは宮中の駆け引きのなかでめずらしくはないことだった。
男の邪推かもしれませんが、今は皇后の座になられた長女には、もはや危険を冒してまで、言い寄る殿御はおらず、女盛りでありながら一人寝の寂しさ、狂おしさがなせた仕打ちではないだろうか。

48-珍訳源氏-調子に乗りすぎ

2009-08-03 09:52:04 | 物語・絵本・童話
姫がいる右大臣の屋敷に忍び込んだある夜、嵐となって帰るにかえれない源氏殿。翌朝、お父上の右大臣が早々に突然見舞いに来てしまった。
慌てて御張台に隠れた源氏殿。姫の乱れた衣に男物の帯がついている。さらに男用の畳紙が落ちている。
このやろーとばかり張台を開けば、にっこりと笑った光源氏殿。
Vサインをだしてもこれは冗談ではすみません。
頭に血が上った右大臣殿は、そのまま皇后に報告をしてしまったから大変。
皇后・右大臣家の逆襲の作戦が切って落とされた。
調子に乗りすぎた光源氏殿です。

47-珍訳源氏-激しき恋

2009-08-02 10:28:52 | 物語・絵本・童話
世はすっかり右大臣家の思いのままになり、私はあまりにも面白くないので、頭中将を辞職してしまった。
源氏殿も参内せず二条のお屋敷にこもったままでした。そんなころ、朧月の姫は病で実家の右大臣家に養生のために帰ってきた。
そんな機会はめったにない。毎夜のごとく愛し合った。
芯から愛し合った営みは菩薩境。朧月は満月の輝きへとなっていきました。その変化に気がつかぬものがいようか。
皆様の時代でしたら連日芸能記者がつけまわし、面白おかしい無責任ゴシップ記事に、TV番組に夢中になっていることでしょう。いやいや、ネットってすごいのが主流で、誹謗中傷でオオ賑わいでしょう。
幸い私の居る極楽浄土世界は日々平安。正直娑婆のTVでも視聴しようかと・・・。

46-珍訳源氏-藤壺の出家

2009-08-01 08:15:19 | 物語・絵本・童話
恋しき藤壺の出家
源氏殿は六姫も恋しいが、なんといっても3歳のときに死に別れた母と瓜二つといわれる、藤壺の宮が忘れられない。
藤壺の宮も源氏殿が恋しいうえに、子供(光源氏との不倫の子)である東宮の行く末もあり、不安でならなかった。
行く末に希望が持てない藤壺の宮さまが、宮中より下がり、おいでになる三条の屋敷に光源氏は忍び込んでいった。
源氏殿は、御年(24歳)も忘れ、乳飲み子のように取りすがるのでした。恋しさは両者ともおなじ事。もし、意地の悪い皇太后にしれたら、自分ばかりでなく、我子(東宮)も光源氏もただではすまなくなる。
苦しみぬいた末に、一大決心をした。
桐壺の院の一周忌の法事を終えた12月末に、髪を下ろしてしまった。
これには源氏殿はまいった。精神的に絶対触れてはならない存在になってしまったのだ。御仏に最後の救いを求める私たちにとって、仏に仕える僧侶や尼は、時には帝も従うほどだった。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本