棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

41-珍訳源氏

2009-07-27 10:51:03 | 物語・絵本・童話
41--去りゆく人
六条の君は源氏殿より7才年上だが、気品と才識ある方で、かような嫉妬から来る、浅ましき生霊になるなどと考えられなかったが、寂しさからくることだったのだろうか。
この六条の御息所は、自分が浅ましい生霊になったことを恥じ、神仏に身を清めてもらうために、潔斎所に入っていた。それは、娘が伊勢に斎宮として赴くための、付き添ってゆく者の決まりごとだった。
源氏殿は妻葵の上に先立たれた上に、愛する六条まで完全に手の届かぬ人となり、寂しさは傍目にもきのどくでならなかった。
「行くかたをながめもやらぬこの秋は逢坂山を霧な隔てそ」
朝霧立ち込めるなか、去りゆく行列を隠れ見ながら、詠ったのです。


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