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棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

14-珍訳源氏物語

2009-06-30 08:29:51 | 物語・絵本・童話
14--梅雨の夜の男どものヨタ話
当代の美人の条件となると、話はもりあがった。
「なんといっても頭のかたちが良くなくては。小さくまわるい頭上から水が流れ落ちるような垂髪。これはもー絶対条件でしょう」
「そおそう。目はスッとした涼しげで、なお憂いをおびていなくては・・・」
「さよう。目のでかいのはなんやら下品でいけません。鼻も天狗のように高いのはもっと恐ろしげです。私は頬は桃の花の色をして、ふっくらとしたのがこのみです」「恐ろしげといえば、5尺5寸もある大女は、いくら美人でも論外ですね。」
「なびく柳のようにほっそりとした身体、流れる長い髪、杏子の実のよなかわいらしい口と、優しい声がほしい。なにより貴族の気品は絶対条件ですね」一同は、コクリとうなずきあった。
「貴殿たちははまだお若いから、姫君の容姿ばかり気が行くが、ワシくらいになると、華麗な衣服の中身、すなわち裸身美を観るよ」
中で一番の年配者の言葉に、私を除いた他のものがギッョとしたお顔をされた。
「肌はきめ細かく柔らかで、透き通るような薄く白い肌でなくては。手足は細く、骨も細くなくてはいけない。体は滑らかで綿のごとく、温かくなくては。
なんといっても陰はなめらかにして潤いに満ちていること。ふくいくたる香りに満ちているのも絶対条件だ」
と次第に淫らな内容になっていったが、いまら思えば、若気の知ったかぶりだったといえよう・・。
美男美女は流行りがあり、おきずきでしょうが、あなた方の時代の感覚とかなり違っています。

13-珍訳源氏物語-雨夜の品定め

2009-06-29 11:34:20 | 物語・絵本・童話
   雨夜の品定め-光源氏17歳
月日のたつのは早いもの、光源氏が17歳になり、天皇や都を守る衛府の中将に任ぜられた。
天皇のお近くに使える重要な役職で、いくら頭脳明晰であっても少し早すぎる気はした。まーーそれなりにお役目をつつかなく果たせたのは、世の中が平安だったゆえんだろう。
 5月の梅雨どきうっとおしい宿直の夜、私や光源氏、そして、無類の女たらしで評判の者等で、理想的な女とはなんぞやと「雨夜の品定め」を暇に任せて話し合った。
 身分や財産、はたまた歌詞音曲などの教養などから、女の違いをかたりあった。結局は、理想的な女なんていないもので、チョット目には申し分なかったのだが、付き合ってみると、得意なことを鼻にかけたり、バカにしたりする。
箱入り娘と期待しあってみれば、和歌・音曲の上手だとのうわさは親の売り込み口上だったりで、がっかりされる。様々な家柄・身分の女たちのことが話題に上がり、評価されたが具体的になると、めいめいの思案があり決定打はなかった。


12-珍訳源氏物語-うまくいかないままごと夫婦

2009-06-27 11:04:09 | 物語・絵本・童話
源氏殿は父親である帝の思いの女性は、藤壺の宮さまで継母にあたる。
お年はよくわかりませんが、18-9歳くらいでしょう。
3歳のときに亡くなった生みの母(桐壺の宮・位は更衣)を慕う思いが、恋になってしまった。
正妻である葵の上と睦みあっても、思いは藤壺の宮さまにある。ご想像ください。夫婦といっても12歳と16歳からのスタート。オママゴトとはいえないが、母恋しは抜けきらない、ガキンチョ光源氏なのです。
その上、わが妹・葵の上は真に誇り高く、以前にお話をしましたが、当時は恥と思われた、年上女房という引け目もある。勝気な気性もあろうが、それでは中むつましい夫婦生活になりようがあるまい。
 源氏殿は、藤壺に似た姫女と見れば、口説き落とすのは当然のこと。女からすれば光源氏といえば名前を唱えただけでボーーとなってしまうほどだから、なんの造作もなくコロリ。これでは光源氏にしてみたら何も面白くない。まーー贅沢なことだが、それが高貴な貴族社会の男女のありようだった。

10-珍訳源氏物語--夜這い

2009-06-26 10:58:09 | 物語・絵本・童話
 ところで結婚といっても、男の方から女の家に通い、夫婦生活をする婿入り婚が普通だった。
口説き落とすには和歌や手紙が最初の手段だ。当然おつきの者を手なずけ、セッセと忍びかよう。ひたすら根気だ。それが男として面白く、自慢の種でもあるのだが・・・。
一夜限りや時々では、単なるつまみ食いの火遊びで、男が3日間続けてかよったら、本気というあかしだった。皆様方の時代からすれば、男の勝手としかおもえないでしょうねーー。
最後の夜に餅を食べる。露顕(ところあらわし)といっていわば披露宴みたいなもので正式に婿殿と認められた。
まー忍びかようといっても、世話をする女房たちは先刻承知。時には親がバックアップしてのことだ。
男にとって、女の家柄や身分は自分の食い扶持にも関係し、よくよく吟味しなければならなかた。その辺のことは、お話を進めていくうちに、お分かりになっていくと思います。

8-珍訳源氏物語-ロリコン社会

2009-06-24 07:38:03 | 物語・絵本・童話
男なんてものは最初の恋人が母親といわれる。
そのとうりであろうが、貴族の家庭では少し事情が異なる。というのは、我々は下下と違って、実母に抱かれて育つなんてことはない。母といっても14-5歳の姫君。まーー皆様の時代からしたらロリコン・幼児妻・おままごと。
乳母やお付の女房たちが一切の世話をする。場合によっては、早々に養子にいくことも珍しくはない。
私事から判断すれば、正直、産みの母は意識下にない。
光源氏殿の母親に対する異常なほどの執着や愛着などは、産みの母に瓜二つという「藤壷の君」さまが出現してしまったからだと思う。
私の生家は左大臣の名門。光源氏殿の後ろ盾になり、住まいも提供して、良く遊んだものだ。帝は息子の光源氏に亡き桐壺の間を自由に寝泊りさせたうえに、亡き更衣の実家を改築し与えていた。なんの不自由もない待遇を受けていた。
光源氏の女遍歴の根っこは、幼児期のゆがんだ異性意識からであろう。
認知した子供や不倫の子供などなど、この源氏物語は、こんがらがった人間模様のうつくしく、懐かしく悲しい話でもあるのです。


7-珍訳源氏物語-藤壺の御女

2009-06-23 08:35:15 | 物語・絵本・童話
帝は亡くなった「桐壺の更衣」にそっくりな姫がいるとわかると、さっそく宮中に迎え入れた。そお、有名な「藤壺の御女」さまだ。
先帝の第4の姫でご身分は申し分ない。後宮の女たちは、鳶に油揚げと内心は面白くなかったろうが、身分ある姫なので、「桐壺の更衣」さまへのような、あからさまな嫌がらせはできなかった。
 まるで桐壺さまと双子かと思われるほどそっくりで、帝は3歳の光源氏を連れて行っては、楽しんでおられた。
子供が「母上様とうりふたつです」などと聴けば好きになっていくのはアタリマエだが、光源氏はただ好きになる、ということではなく、幼少のころから恋する相手となってしまった。そのへんが尋常ではあるまい。
実の父の女御。チョットまずいんじゃーない、なんてもんじゃーない。いくら男女間がルーズーな時代や貴族社会だとしても、こいつはまずい。

5-珍訳源氏物語-マザコン光源氏

2009-06-22 09:35:26 | 物語・絵本・童話
話をもどしましょう。
宮中に引き取られた皇子はますます磨きがかかり、行く末に期待がもたれただけに、心配でもある。
7歳のとき「若宮には母方の後ろ盾がない。位もなく皇族としてよりも、国家を支える臣下として働いてもらう方がよかろう」と 父親である帝は断腸のおもいで、源氏の姓をたまわったのです。それ以後「光源氏」と愛称されたのです。 
光源氏の女遍歴の元は、この美しき母親を恋い慕ういわばマザコンが原因と、親代々からの女好きだともいえまいか。
というのはいくら、高い身分や時代背景があったとしても、10歳代のがきのころから「母ちゃんこいしや・・・」と、取り囲む御女どもにもぐりこんだのは、やっぱり血筋の女好きのなせる業としか思えない。
私とて最高権力の家に育ち、オナゴたちに囲まれて育ったが、嫉妬でなくソオ思う。

5-珍訳源氏物語-内裏のキビシー階級

2009-06-21 09:09:58 | 物語・絵本・童話
ここで、帝が日常おいでになる内裏における女たちの身分について、簡単に説明しておこう。
清涼殿は10以上に別れた殿または舎があり、それぞれに名称がある。女御たちの身分・役目によって区分けをされ、部屋の名前が身分を現していた。
◎大三角形の頂点は帝の正妻・皇后さま。家柄の高さはあたりまえだが、絶対に処女でなくては資格がない。実はこれが大変だった。
◎皇后さまがおいでになりる弘徽殿(こうきでん)には、有力な大臣の娘から女御が選ばれる。この屋敷に入れる女御が皇后(中宮)になれる資格を持った。
 様々な祭事を取り仕切る権力者でもある。
更衣の位は大臣以下の家柄で、帝からどんなに寵愛を受けても、絶対に皇后にはなれなかった。
◎お話にでてくる、桐壺・梅壷・藤壺などなどは、住まいの庭などを称してつけら
 れた愛称で、正式な呼び名ではない。
 源氏物語の複雑さは、この位に関係してくることにある。
女房とは、日常の世話をする者たちの総称で、お使えする主人の地位によってまたまた権力が分かれていた。余談だが正妻のことを女房と呼んだのは後々のことだ。

3-珍訳源氏物語-桐壷・光源氏の誕生

2009-06-19 07:47:04 | 物語・絵本・童話
へんちくりんな「京弁」でキショクワルーおますか?そんなら、あんたハンたちのお言葉にしまひょ。なんせ、流行のソフトで変換しただけですので・・・。
 私の話の進め方は「源氏物語」の筋立てを基本にしてゆくつもりです。
 それは遠い昔の話です から始まる「桐壺」の巻からいきましょう。 
源氏殿の父親はまれに見る「理想的な帝」といわれた桐壺帝。側室の母親は身分が低く(更衣)「桐壺の更衣」とよばれていた。
桐壺帝は数ある女御の中でひときはこの更衣を愛したので、取り巻きのおんなどもは面白くない。女の嫌がらせははんぱじゃない。
これから夜のお勤めにあがろうかというとき、衣類にウンコをかけたり、うらみつらみの中傷の生活。結局はストレスがたまりで、実家にさがって休養することが多くなった。そんななか、桐壺の更衣さまは実家でなんともかわいらしい皇子さまをご出産された。この皇子こそ「光源氏」殿で、帝は一刻も早く後宮に帰ってくるように命じた。
光り輝くわこ様でしたが、母親の身分が低かった。源氏物語の喜悲劇の今ひとつの骨子が、身分の違いにあります。

珍訳-源氏物語--はじめに

2009-06-17 15:39:50 | 物語・絵本・童話
図書館に行くと絵本を見るために、児童部に必ずいく。読み漁っている子供、読み聞かせているお母さん。とうの昔になくなってしまった我が家の風景だ。時おり借りてくるのが、子供に訳された名作本。著名な作家の別な視点からの力量を汲み取れる。
最近、瀬戸内寂聴の『源氏物語」を読み進むうちに、人間関係・年齢などがこんがらがってしまった。それらを整理しているうちに、もっと詳しく知りたくなり、他の訳本を読み出す。面白いことに、本によっては年齢が1-2歳ちがっていることがあったり・・・。原本は・・これはヨメヌ。
主人公の光源氏と幼き頃からの友であり、ライバルであった義兄--頭中将に語らせたらとどうなるか・・・。
イケメン光源氏はマザコン・天性の女ったらし。そこが女性本能をくすぐり、大もてするのだろうが、魅力に溢れた男を、憧れと嫉妬を織り交ぜ駄文を書きたくなった。
「珍訳源氏物語」にただ今挑戦中。その書下ろしを・・・

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本