金曜日に発表された7月の米雇用統計は予想を下回った。エコノミストのコンセンサスは14万5000人増であったが、数値は11万3000人。期待通り8日のFOMCでは利上げ休止の可能性が高まった。金利先物市場では「休止」の可能性が78%になった。
世界最大の債券専門の投資顧問会社であるピムコ(パシフィック・インベストメント・マネジメント)の経営者のビル・グロスはロイター通信にEメールを送り「火曜日には連銀は利上げ休止を決めることは確実」とコメントした。このニュースが流れ10年国債は急騰した。さすがにその影響力はすごい。
「2007年初めまでには利下げに踏み切るだろう。FFレートは4~4.5%になる」と書いた。随分と思い切った発言で「債券の弱気相場は終わった」と断言した。
さて株価の方には、これだけ明確な予想をだす影響力のある投資家は、いまのところみられない。金曜日のNYダウは一時は100ドル以上も上がったが、あとは尻すぼになり小幅安に終わった。カラ売りの買戻しが一巡したあとには、強力な買い手が出なかった。むしろ景気の鈍化を口実に慎重論をとる向きも多かった。「株価は不安の壁を上る」という経験則が当たったのか?
8日のFOMCの行動をみてからという投資家心理がこの日は支配した。ビル・グロスがいうようにFOMCで利上げ見送りになっても、株価はその後トレンドが明確になるまでは戦略は立てにくい。