いまもっとも尊敬している投資家の一人はビル・ミラーである。レッグ・メイソン(世界で第5番目の投資顧問会社で運用資産は8600億ドル)のバリュー・トラストの運用者である。成長株のバリュー投資で、運用の世界では「バリューか、グロースか」という選択が普通だが、ビル・ミラーは「成長株に投資して顧客に最大のバリューをもたらす」というのがその信条である。
彼が偉大なのは過去15年間にわたって毎年、その成果がコンスタントにS&P500を上回ってきたことである。ウォーレン・バフェットでさえ成し遂げられなかった偉業である。神様のように投資家から崇められてきたが、ことし1-7月のパフォーマンスは-9.97%とS&P500の+2.9%を下回っている。集中投資したアマゾン・コム、ヤフー、ユナイテッド・ヘルス、エトナ、住宅関連株が大きく値下がりしたからである。ここに上げた銘柄のほかに、インターネット関連に力を入れた。それがいまのところ裏目にでた。
このようなことは今年だけではなく、昨年も第3四半期末(9月末)にはS&P500を下回っていた。それを最後の3ヵ月で逆転した。インターネットやハイテク株には秋から年末にかけて上昇するという習性がある。運命の女神がビル・ミラーを見捨てなければ今年も再び奇跡が起こる可能性は残る。
NY株は9~10月に底をいれ上昇する可能性が残されている。
日経新聞の朝刊の第1面のトップ記事は「ネットTV来年発売」という見出しであった。われわれが待っていた期待が実現する。TVでインターネットが見られる。それにはブラウザがいる。それにOSも必要である。
日経新聞によると「基本ソフト(OS)にはマイクロソフトの「ウィンドウズ」ではなく、家電専用の「リナックス」などを使う。起動するまでの時間が短くなるほか、ウイルス感染による誤作動のリスクも少なくなる」とある。われわれが期待してきたACCESS(4813・マ)の出番である。かねて携帯電話に次ぐ第2の柱として家電用のブラウザーの開発を進め、昨年はOSのリナックス開発のパーム・ソースを買収した。いよいよ同社の出番がやってきた。会社が考えているより早く出番がやってきた。株価は新興市場の人気株に復活するだろう。