ZENZAIMU(全財務公式ブログ)

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政府自らフリーターを創出?

2012-03-19 23:00:43 | 日記

「フリーター」という言葉を初めて耳にしたのは、いつ頃だったでしょうか。調べてみると、元々の語源は「フリー・アルバイター=FREE/ARBEIT/ER」だそうで、英語とドイツ語を組み合わせた造語だそうです。1986年に朝日新聞がこの造語を紹介したことをきっかけに広まっていったようです。個人的には、自身が入省した1987年には、そのような言葉を耳にした覚えはなく、90年代に入ってから、同僚との会話でも普通に使われるようになった気がします。

この「フリーター」、厚生労働省の定義によれば、「年齢が15歳から34歳で、在学していない者のうち、①勤務先における呼称が「アルバイト、パート」である雇用者、または、②現在無職の者で、「アルバイト、パート」の仕事を希望する者」が該当するとのことです。一般的なイメージとしては「正社員として採用されるまで、何とかアルバイトで生計を立てている若者」といったところでしょうか。

ところで、先週、「35~44歳の『フリーター』は2011年平均で約50万人と、過去最高になった」という報道がありました(3月15日付日経新聞夕刊)。当該記事によれば、「バブル崩壊に伴う就職氷河期といわれた1993年以降に高校や大学を卒業し、アルバイトなどを続けてきた人がそのまま40歳前後になった影響とみられる」としています。いわゆる中年世代で50万人もの方がアルバイト等で生計を立てておられるとは、衝撃です。就職活動がうまくいっていれば、民間企業であれば課長になられて、バリバリ働いておられたであろう世代です。また、15~34歳のフリーターは2011年で176万人とのことです。この方々も、正社員等、中途採用の道が見つからなければ、自然と「高齢フリーター」に移行することとなります。日本の企業は新卒志向が強いと言われていますから、残念ながら、そうなる可能性は否定できません。

他方、国家公務員においては一定の年齢制限はありますが、新卒に偏った採用をしているわけではありません。採用においては、試験の成績が重要な判断基準となっており、事実、私の出身局においても、数年間のフリーター生活を経た後、採用されている職員がいます。ところが、内閣は、2013年度の新規採用者数を2009年度比で7割も削減する方針を打ち出しています。13日の参議院予算委員会においても、野田総理は「方針どおり進めたい」と答弁されたようです。

しかし、民間企業の新規採用における厳選傾向に変化が見られないなか、国まで採用を7割も減らせば、また、新たに多くの「フリーター」を産み出すこととなり、所得税収の減少や少子化の進行等、将来、財政に対しても様々な影響を及ぼすことが予想されます。財政状況の厳しさを採用抑制の理由とするならば、むしろ、単年度での対応に拘泥するのではなく、高齢期雇用も含めた人事施策上の中期的なビジョンを示すことが先決ではないでしょうか。

【ふく福】