中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

夏の着物と自然と平和

2023年08月12日 | 自然環境・脱原発
先日、網代織の越後上布に、若いころに織った白地の半巾帯で出かけました。
この日はいくらか凌ぎやすく、それほど苦も無く、熱中症にもならず帰宅しました。

麻の自然布は素晴らしいものです。
この着物は古い男物から仕立て替えたものですが、袖丈も短めで、これ以上出せなかったのですが、盛夏はこれくらいがすっきりしていいかもしれません。
手績みの麻糸の張り感は、風が抜け本当に気持ち良いです。
薄ければ、細い糸であればではなく、身体に密着せず、風の通り道があることが大事です。

麻は吸湿性と発散性も高く、着物だけでなく、下に身に付けるものこそ大事です。麻の襦袢、麻の肌襦袢&ステテコ、麻の足袋、麻の伊達締めなど・・。

麻は偉大な植物で、日本のような高温多湿の暮らしには欠かせないものです。

夏の着物には、独特の情緒があります。
着続けたいと思いますが、温暖化の問題は深刻です。

夏の着物が着続けられるように、もう30年前からそのことを「地織りの会」「紬塾」で語り、参加してくれていた人たちと、CO2削減の小さな工夫をしてきました。
個人的にも様々な工夫をして暮らしてきました。
生活クラブで、CO2の排出削減にリサイクルのみならず、リユース(瓶の再利用、消費財の入ってくるポリ袋の回収など)にも協力して来ました。
ペットボトル飲料を買うことは、水の備蓄品以外ほとんどありません。

しかし、今のままでは着物文化はなくなります。夏の着物が着られなくなる時代がそこまで来てしまったようです。

男中心の社会で真夏に背広にネクタイがつい最近まであたりまえ、2005年にクールビズという取り組みも始まりましたが、未だにネクタイしている政、官、財界人、メディア界の男性は多いです。エアコン効かせCO2を排出させながら、涼しい顔でNHKも猛暑や災害を伝えています。

亜熱帯化してきているのですから、男性も麻の服を着たらどうでしょう?
開襟シャツを着てネクタイ外しましょう!
小千谷縮のシャツはいかがでしょうか?
真夏の木綿、編地のTシャツは特に暑いです。
綿麻の混紡の肌着も復活して欲しいです。

さて、間もなく78回目の敗戦記念日です。
罪なき多くの一般の人々の犠牲がありました。広島、長崎には原爆も投下されました。映像で見るだけでも地獄絵図です。二度と戦争をしてはなりません。

「広島出身」をお飾りにしている総理大臣はいつまでテキトーなことを言い続けるのでしょう?どちらを見て政治をしているのでしょう。
核兵器は戦争抑止にならないことは今のウクライナ、ロシアの戦争でもわかります。

軍事費倍増より、核兵器の真の廃絶に向け、日本が先頭に立って「核兵器禁止条約」署名、批准して下さい。それが平和への早道です。



人々が健康で文化的な暮らしができない状態、それが戦争です。
着物は贅沢品として着ることもできなくなります。
戦争は人も自然も文化も破壊します。

戦争当時の記憶のある語り部も90代前後で少なくなりました。でも戦後生まれの私達もその語り部の話を引き継いで、想像を働かせることはできます。忘れてはならないのです。
武力ではなく平和憲法の元で78年は何とかやってきたのですから、これを維持するための不断の努力が私たちに必要です。
染織家として、一市民として、親の体験も伝えながら、着物と自然、平和を語りたいと思います。

さて、工房は明日13日から8/20日まで夏季休業とします。

HPの着姿(帯、中野の取り合わせ)も更新しています。




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