中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第6回紬きもの塾――織物設計

2017年09月22日 | 紬きもの塾’17~’20
染織実習コースの方4名と次回の紬布を織るための緯糸のデザイン設計をしました。
自分で紬いだ糸は前回柿でベージュに染めてあり、それを全部使い切ってもらいますが、9寸幅で3寸の長さを織るためには他の色も混ぜながら織らなければ足りません。

私の方で用意してある糸からプラスする地糸を選び、更に色糸を加えることもできますので、糸の本数を考慮して各自2時間ほどかけて方針を決めていきました。それぞれの糸をベタ使いだけではなく、混ぜていく箇所を必ず作ってもらうようにしています。
織物は糸を混ぜることで生まれてくる色があり、それが布の奥行きや陰影、風合いを生み出すからです。

限られた糸ですので糸量を掴まなければなりませんが紬糸は太細もあり、ゲージをきっちり出すことができません。また紬糸は弾力が大きく長さもきっちり出すことができません。
紙の上に鉛筆で描くように、定規で測ったようにはいきません。大まかに掴みつつ、実際の時には臨機応変に対応するということも含め話しました。


上の写真は上から順番に第1期から昨年の第8期までの42名の方が織った布です。織られたものから1寸5分程の幅で資料として残していただいています。真綿の糸を中心とした風合いの良い布が出来ることを確認してもらいました。


経糸に節糸や紬糸があることで、この立体感や存在感が生まれるということも見てもらいました。殆どが身近な植物の色です。皆さんも一人ひとりの布を引き込まれて見ていました。

同じ条件でも、プラスする地糸も数種類しかありませんが、随分違ったよこ段柄になります。
はっきりした色使いのもの、柔らかな色調のもの、可愛らしいもの、クールな感じ、シックな感じ、シンプルなもの、複雑なもの、様々です。3寸ほどの小さな布ですが、初めての方にもかなり高度なことを体験してもらいます。


さて今期の方の布はどんな布になるのでしょう、、。
上の糸の写真は4名の方が真綿から手つむぎした糸に柿の枝で染め、布海苔と生麩で作ったうす糊を付けたもの。
各自、色糸印でわかるようにしてあります。この写真の部分だけで見ると右端の方のがやや細めの糸に見えますが、織ってみるとどうなんでしょう、、、。(^^)

絹糸は叩くと伸びてしまいますので、私はタテ・ヨコ共に糸は叩きません。むしろ縮める工程を加えています。
糸巻きしにくいですが、風合いは格段に良くなります。
糸のウェーブはお蚕さんのいのちの“かたち”ですので。

自分で紬いだ立体的な糸が力強く生かされたデザインになるように考えてください。


コメント
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