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中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

半幅は楽しい!———『美しいキモノ秋号』

2020年08月20日 | 紬の上質半幅帯
「半幅プロジェクト」の詳細アップは、9月下旬を予定しています。






長梅雨の後の猛暑、みなさまお変わりありませんでしょうか?
今まで経験したことのない暑さです。ご自愛くださいませ。

さて、以前のブログでも書きましたが、『美しいキモノ秋号』(ウェブサイトで目次などご覧になれます)が届きましたので、少しご紹介します。
[半幅は楽しい!]という特集記事に、半幅愛用者として、また私の紬の半幅帯も取り上げて頂きました。23年ぶりの薄化粧で写っています~。(*^-^*

半幅帯は今までの一般的なイメージは普段着、仕事着、浴衣…という感じのものかと思いますが、存在感のある上質のものであればお洒落着として愉しむのもよいのではないかと思います。現代的な着こなしも出来るのではないでしょうか。

掲載の私の着姿は後ろから写すとこんな感じです。

この帯は緯糸にかつて入手したベトナムの光沢のある節糸を使っています。
生地に立体感があり、大きな結び方をせずともボリューム感と存在感がありますので、シンプルな結びでも豊かな感じが出ます。
大人のお洒落着には素材感、質感が最も重要だと思います。

半幅帯のお問い合わせも時々頂きますが、私の作品を使ってくださるお客様も、染めや織り、いろいろな着物に合せ、またさまざまな結び、着こなし方で使っていただいています。
最新作も2点掲載して頂きました(1点はその後、売約済となっております)。

また、秋号のメインテーマは「いま欲しいのは、一生愛せる紬」ということで、その中にきもの研究家の森田空美さんの記事もあるのですが、私の紬と帯をお召しの写真もあります。大変光栄に思います!
是非ご購読ください!

さて、以前から上質の半幅帯については紬塾の最後にも講義をしますし、一点物の制作にも力を入れてはいたのですが、このたび「半幅帯シェアプロジェクト」を企画します。

同じ経糸に何本分か違ったものを織っていきます。今までも名古屋帯でよくやってきましたが、今回は半幅を数本つなげて織っていきます。
それは、ご参加いただける方と共にイメージを作り上げていくものでもあります。

半幅は結び方によって、また表裏を変えることによって、手と垂れを逆に使うこともできるなど、かなり自由度の高いもので、名古屋帯とは違う、1本の帯でバリエーションが楽しめるメリットがあります。
そこで、その変化を意図的に創る上でも、使う上でも楽しみたいと思っています。

正式な受付は1月上旬を予定していますが、参加を希望される方がありましたら、どんな場面で、どんな着物と合わせたいかなどお知らせいただければ参考にさせていただき、イメージを徐々に固めていきたいと思っていますので、
11月までには直接お会いして、またZoom会議、ビデオ通話なども使ってのお打ち合わせもいたしたく思います。

名古屋帯や着尺と同じく草木染で座繰りの糸、手紡ぎの糸を使い、上質の大人の半幅を一生ものとしてお使いいただければ幸いです。
価格は未定ですが、名古屋帯と同じ位か、一割ほど抑えられるかと思います。

参加いただける方とのお打ち合わせを経て、糸の精練から始め、染、設計、織など完成は来年5月以降になります。今から随時受け付けて、構想を練ってまいります。

是非お問合せの上、この大人の半幅帯シェアプロジェクトにご参加いただきたく思います。ウェブサイトに詳細があります。
更なる詳細は、ブログに追って上げてまいります。


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上質な半幅帯のすすめ

2020年02月07日 | 紬の上質半幅帯
先日の紬塾の最終回では半幅帯についてもテーマにいたしましたが、上質な半幅帯をおしゃれ着に活用して、忙しい時、蒸し暑い単衣の季節などにも気軽にお召しいただきたいと思います。五十肩や、体調のすぐれない時、高齢になってからもよいと思います。
ただ、半幅と言ってもそれなりの存在感、質の良い生地でないと、大人の外出着には不向きです。着物以上に帯は目立ちます。


現在、半幅向け生地(1丈)の新作は、よこ吉野織り2点と太い綾の段のものがあります。
草木染め、赤城の節糸、玉糸、真綿手紡ぎ糸を使った半幅帯の価格は名古屋帯と変わりませんので、贅沢なようですが、一生洗い張りしながらお使いいただけますので、十分に減価償却できます。お得です!! (^^)¥

返しを別布を付ければ、名古屋帯にも仕立てられるように、垂れ下、前、手先にもきちっと柄を配してありますが、どなたかと二人でたてに切り分けて、半幅帯を2本作ることもできます。その場合の裏地の染も可能ですが、取り合わせの良い裏生地があれば、それをおつけしてリバーシブル仕立てを承ることもできます。

緑味グレーのこの地色は落ち着いた紬、お召しや染小紋、江戸小紋などにも品よく合わせられます。夏芯を入れておけば、盛夏の上布などにも合わせられます。
こちらの銘は「つくしんぼ」です。春の草々をイメージして作りました。
長く安心してお使いいただけると思います。
櫻工房でご覧いただけます。ご予約はHPのお問い合わせからお願いいたします。



私も紬塾で文庫結びの少しアレンジしたものを締めてみました。
みなさんから、「可愛い!」と褒めていただきました。(*^^*)
手先を外に出すことで、少しボリューム感も出ますので、大人には良いかと思います。一年中活躍してくれている藍の縞半幅帯とすくい織り着物の取り合わせです。

生地がしっかり織られていると、帯芯が薄めになり、形が作りやすく、手織りならではの締め心地の良さがあります。手織り紬は滑りにくく、軽く、締めやすいです。


節分を目前に、春の淡雪を想起させる、狩野養川院「雪」の軸の前で撮ってみました。障子越しの冬の光はものの色も気持ちも落ち着かせてくれ
ます。

次回ブログで最終回の基礎コース紬きもの塾のご報告をみなさんの感想を交えて致します。


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夏着物と節糸紬半幅帯

2018年08月10日 | 紬の上質半幅帯

この酷暑の中でもこの近江上布を3回ほど着用しました。
麻縮ですので肌に触れている部分は風が通り涼しく、麻のUVカット効果で強い日差しも跳ね返してくれるように思います。
ただ、帯周りは麻布といえども幾重にも重なり蒸します。私は時々身八つ口をパタパタさせ風を入れたり、胸元も襟のところから体温を逃したり、帯も緩めに結び、体内の熱を放出するようにしています。また、長襦袢はラミー麻、肌襦袢やステテコはヘンプ麻をもちろん着用しています。

しかし今年の暑さはさすがに着物を着るには覚悟がいります。連日“命の危険”な暑さでしたから、着るには体調などにも注意して、無理はしないほうが良いです。

この近江上布は青山にある全国伝統的工芸品センター(現在の伝統工芸青山スクエア)で30年近く前に購入したものです。
修業を終えてすぐの若い頃は平日は染織の仕事、週末だけ工芸品センターの展示場販売スタッフとしてアルバイトをしていました。
全国の伝統工芸産地の工芸品が常設、また毎月開催される特別展もあり、いわゆる産地ものの振興をしている財団法人のギャラリー&ショップです。
染織品を始め、他の工芸品全般も勉強したかったこともあり、土日だけのアルバイトをしていました。ここでの経験が紬塾の講義でも役に立っています。

ある時そこでいくつかの産地による、夏の着物展がありました。私は夏の着物も大好きで、特に麻織物が好きです。この近江上布はオーソドックスな柄ですが、私でもなんとか買える価格でもあり、迷わず購入しました。
地味な着物ですが若い頃からよく袖を通してます。自分で手洗いもしています。上質のラミー麻でツヤもあり、なめらかな糸質です。


30年ほどの月日は流れいろいろなことがありました。
紬織りを一人で続け、なんとか工房を維持しながら生活も立ててきました。
少しずつですが、自分用の着物や帯も買いながら自作の紬と取合せたりして着ることの勉強もしてきました。
30代半ばで買った一枚の麻の着物が、30年前のことを思い出させてくれます。
着物を仕立て、麻の襦袢をつくり、一歩ずつ、着ることの難しさや苦労を味わいながら、今のようにネットもなく、身近に着物や仕立てに詳しい人もなく失敗もし、無駄な買い物もし、でも着てみたいと思い、選び、歩き出したのです。。


取合せの綾織半幅帯は四季を通してよく使っています。夏場も使っています。
太い節糸をベースに、細い玉糸を段のベースに使い緯絣を配しています。
ほんの少ししか絣糸がなかったのでポイント柄にしています。

半幅帯は手と垂れを逆に使うことも出来ます。ポイント柄の出方が予想と違っていてそれも面白いと思います。
結び皺はスチームアイロンで取れます。

汚れが目立ってきたら自分で解いて洗ってスチームアイロンで仕上げ、仕立て直せばよいのです。毛羽も取れ良くなります。
ただし、紬といっても盛夏にも使えるタイプは真綿系でないほうが良いと思います。
節糸、玉糸を中心に使ったタイプで、芯も夏芯をいれてもらいます。

別の半幅帯の取合せ。

こちらのページ下の方の中野の取合せもご覧ください。

人生はいつか終わります。健康であったとしても一人で元気にあちこち出掛け、活動できるのも後10年ぐらいでしょう。自分が選び着てきた残された着物たちは私の人生の縮図かもしれません。そう思うと悔いのないようにものと出会い、真剣に選び、使いたいと思います。
紬塾では過去の自分の失敗談や苦労話も時折交えて着ることの話もしています。
8月下旬の基礎コースの講義は着物をとことん着るための話です。

櫻工房ではこの秋の展示に備えて半幅の制作も予定しています。
真綿紬ではなく玉糸や節糸使いで盛夏にも使える重宝なものを作ります。
上質な手織りの半幅帯はシンプルな結びでも存在感があり、お太鼓では重すぎる場にもふさわしいと思います。
体調の悪い時、高齢になっても、また今年のように暑いときも楽です。
洗い張りしながら使う一生モノの半幅帯、お太鼓結びに慣れている方もいかがでしょうか?

一枚の着物や帯と共に歩む人生もいいものだと思います。

さて、工房の夏休みは8月12日~19日までです。
休業期間中もオンラインショップのヘンプ肌着などご注文を承っておりますが、
メールの返信および商品発送は8月20日以降となりますのでご了承下さい。 

お盆休みにはお墓に参ったり、普段できない縫い物、繕い物、音楽鑑賞、溜まった新聞を読むこと、自然の観察など日々出来ないことをして過ごします。(^_^*;)

暑さが続いておりますが、涼しい格好(ヘンプステテコ、エアコン無しの部屋着に最高です!)で熱中症にかからないよう読者の皆様もご自愛下さいませ。








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盛夏の装い――宮古上布に紬半幅帯 (続)

2017年08月10日 | 紬の上質半幅帯
夏の染色をひと月間やり終え、慰労も兼ねて先月末に都心まで会食に出かけました。
宮古上布に自作の半幅帯を取合せました。蒸し暑い日でしたが、周りの方にも涼しげに感じてもらえるよう心がけ取合せを考えました。

半幅帯の緯糸にベトナムの黄繭の節糸を使っています。
太細のある面白い糸で、光沢があります。
同じ経てで緯糸を変え3本織ったうちの試織用としての1本です。

この宮古上布は古いもので、身丈を出すために胴にハギを入れ仕立替ました。
苧麻の糸の細さを纏う時、まずは身の引き締まる思いになります。
蝉の羽を纏うような軽さです。色は黒に近い藍染です。
自然の恵みと人の手わざの極みに畏敬の念を抱きます。

宮古上布の新しいものは蝋引きしたような(糊付け後の砧打で仕上げる)照り、艶がありますが、この古い上布は何度も水をくぐった柔らかなマットな麻布の表情になっています。
宮古上布といえば高級織物の代表格で私などには分不相応としか言えないのですが、この素朴な丸紋のさっぱりした上布なら着てみたいと思いました。
新しいものの生産量も激減しているようですが絶やしたくない織物です。
気力、財力ある方は是非新しいものを着てほしいです!(^^)

宮古上布の詳細はこちらから。

古いインドネシアの蜻蛉玉があしらわれた帯締は村田染織ギャラリーオリジナルのものです。
自分の紬を着始めた頃、更紗の帯を村田さんで何本か頂きましたが、その時一緒に揃えました。
南方の蜻蛉玉は沖縄の染織品によく合います。
ピンクベージュの帯締めの色も、全体の自然な色相のハーモニーに溶け込んでいます。

日傘はムガシルクの薄茶地に辻が花染め。
写真では質感、色があまり出てないのですが、野蚕の立体感のある糸で織られた生地です。
荷物を一杯詰めた(~_~;)竹バッグはもちろん林まさみつさんです。繊細な夏着物にも安心して持てます。

麻の着物は帯回りを除けば暑いということはありません。
帯芯もかなり薄めのものを使い、緩めに締めています。
夏着物の上に伊達締めは締めません。

下着はヘンプ麻の肌襦袢とステテコにヘンプ×リネンの蚊帳生地タオルで汗取りをしています。ヘンプ蚊帳タオルもすぐれものです。このタオルを初めて手にした時、直感的に汗取りを思いました。
麻わた付などの肌襦袢も使ってきましたが、もっと涼しいです。構造的な違いです。
麻絽の長襦袢の上には麻の伊達締め。少しでも通気よい素材で工夫して着ます。

麻は人類が生きていく上で偉大で無くてはならない植物、繊維だと思います。
夏だけの素材と思っている方も多いですが、多孔質の繊維で冬は暖かさを保つことも出来ます。

着姿ページでも紹介しています。
2011年8月の関連ブログ記事もご覧ください。

それにしても温暖化を少しでも防ぐためには都心に木蔭を増やし、コンクリートやアスファルトで覆わない大地が増えるようにしなければなりません。
土地に対して緑化の義務化をもっとしてほしいとずうっと思ってます。

四季に恵まれた日本にとって一本の大きな木や街路樹、公園の植栽、ビルの屋上の緑化など、お金をかけてでも整備することは大事だと思いますし、一人ひとりの心がけで緑を増やすことは出来ます。もちろん生態系の配慮もしなければなりませんし、都市型の緑化は単純ではないとは思いますが、できることもたくさんあります。

人々が四季折々に街の自然を愛で、憩える場があることは日本の文化的豊かさの象徴です。
2020年、東京の真夏の最高のおもてなしは「緑蔭」だと思います。

過剰なまでの冷暖房、照明、利便性のみの追求。
東京は好きな街ですが、一歩外へ出ると都心は息苦しく ストレスに感じることも多いです。
 
集中豪雨、ゲリラ豪雨も多発していますが、環境問題は目先の経済より命に関わるもっとも重要な問題だと思います。

町田へ戻ると都心との気温の差を実感します。
窓を開け庭の緑をくぐり抜けた風に吹かれると暑さの中にもほっとするのです。

日々の暮らしでゴミをなるべく出さないよう工夫することも温暖化防止や自然環境を守ることにつながります。
紬塾でもそういったことも含めて話をしていますが、自然素材で着物を創ることや美しい着物を着ていくということは一人ひとりにそういったことの自覚がないといけないのだと思います。

日本の高度な手わざの夏の着物がなくならないよう切に願います。

今夏あと何回か夏着物を愉しむ予定です。浴衣も愉しみたいです。 
とは言え暑さの中で着物を着るには覚悟も入りますが、無理は禁物ですね。

工房は本日より8月16日(水)まで夏休みになります。
お問合わせの返信なども17日からになります。

読者の皆様も残暑厳しき折、ご自愛くださいませ。






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上質な半巾帯

2011年09月10日 | 紬の上質半幅帯
中野みどりのHP


前々回のブログをご覧になられた方から
夏に紬の帯を締めてもいいですか? と問い合せをいただきました。

「紬」といっても糸使いや色はさまざまです。
私が締めている半巾帯は赤城の節糸といわれる太い糸で織っています。
絣の入った白っぽい部分は細い玉糸です。
絣の残糸を使って、地は綾織で織ってあります。

真わた紬ではないので、サラッとした風合いで光沢もあり、私は1年中使っています。
真わた系ですと半巾でも暖かさがあって、盛夏には向かないものもあるかもしれません。
見た感じの判断でよいのではないでしょうか。
絹も麻ほどではありませんが、放湿性がありますので、夏帯にも多く使われています。

さて、この4月に私の指導の下で一本の半巾帯を織られた方の作品をご覧ください。
経糸を機にかけるまでと、よこの色糸はこちらで用意しました。
ベース(地糸)は精錬から染までしてもらいました。やはり赤城の節糸ですので、
着用の時期も長く重宝すると思います。

地糸はやまもも、色糸は紫根、小鮒草、桜などで染めたもの

黒のきものは紬風のお召しのような感じの単衣で、これと合せるそうです。たてに白い絣が少し入っています。
 お彼岸明けから着れそうですね。

この方は紬塾1期生の方で、修了後に、もう少し織りたいと申し出られたので、
特別に受け入れました。テストケース的な形です。

自分で織りたいと思ってる方は多いのですが、
本当に質の高いきものを着ていこうという志のある方に
指導をさせていただこうと思っています。
これを織られたMさんからお手紙をいただきましたので以下にご紹介します。


「『上質な半巾帯を織る』コースを受講するにあたって、自分なりの目標を立てました。
柄・デザインに凝るのではなく、柔らかく、締めやすい、自分なりの帯を織りたいと。
自分らしくきものを着てみたいという思いが、紬塾を受講してだんだんと大きく膨らみ、
その一歩を踏み出すのに半巾帯を織ってみたいと強く思いました。
最後まで帯として仕上げられるか、不安を抱えての申し込みでした。

精錬・染色 ・媒染・糸巻き・織り・仕上げ・たくさんの事を教えていただきながら
進めていく工程はどれも次の工程につながる大事な仕事。
糸に目を配り、糸の持つ力を引き出すには、自分の技術や力は乏しく、
その時その時にしなければならないことで精一杯でした。
それでも織り上がった布を見たときには、反省しつつも愛おしく感じていました。

織り上がり仕上げをした布は巾が不均一で、
取り除かなくてはいけないネップがそのままだったり、目が飛んでいたりしましたが、
糸の力を借り植物の持つ味わい深い色に助けられて、
私には美しい布に見えました(自己満足?)。
とても貴重な体験、充実した時間でした。

紬塾を受講中、糸を見る力、布を見る力をつけて欲しいとおっしゃっていた先生の言葉に、
半巾を織ること、糸を扱うことによって、ほんの少しですが、近づけたかと思っています。
これから物を見るときに生かせる力だと思っています。
最後まで面倒をみていただき、ありがとうございました。」



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盛夏の装い――宮古上布と紬半幅帯

2011年08月11日 | 紬の上質半幅帯

日本の夏の麻織物は本当に素晴らしいと思うのです。見た目の透け感も涼しげですが、
実際に麻は肌に触れると冷たく感じますし、麻糸の張りが肌に密着せず風が身体を抜けていきます。

麻糸にも手績みと紡績糸がありますが、やはり手績みの糸は腰が違います。
もちろん価格は跳ね上がりますが、糸を作るだけでも2~3ヶ月もかかるということですから
それもやむをえないですね。

糸作りや織りの仕事は日本の歴史の中で搾取の上に成り立っていた面が長くありました。
今も決して報われているとも思えないのですが、低い工賃でも、人がやるべき尊い仕事だから
続いてきたのだと思います。
金額の高い、低いだけでものを見てはいけないと私自身は着物や布を見るときにその労苦を思うことにしています。
そして二代、三代と受け継ぐこともできます。長い目でみれば決してただの贅沢品ともいえないのです。

絶やしてはいけない仕事だと思いますが、夏に着物を着る人がいなければ終わってしまいます。
浴衣一枚からでも手仕事の本物を着ることだと思います。
もちろん経済もありますから無理はできませんが、間に合わせは結局間に合わないのだと、自分の失敗からも思います。 ̄ ̄;

一人の人が、一生に一反でも上質の手仕事の着物を買うことで着物文化も繋いでいけるのではないかと思います。

代々の古いものを受け継ぎつつ、そして現代の仕事のものも買って次世代に残していく。

魂のこもった仕事を引き受けるにはそれなりの経済も覚悟も必要ですが、本当にいいものは、手に入れた人をも高めてくれる力をもっています。
清水の舞台から飛び降りたあとにただケガしちゃった‥だけではなく、学びや、自分が磨かれるものがあるというのが大事なのだと思います。

周りに着物を着ている人が少ない昨今、本物の手本を見る機会も少ないですが、力のある布は人を引きつけるものです。
知識や先入観をむしろもたないほうがよいでしょう。

ピーンと来る一生ものの布に出会う愉しみを持ちたいです。布の力は侮れません。


古い宮古上布。私で三~四代目になると直しの痕から推測されます。
縁あって出会ったのですが、宮古上布の歴史的背景を思うと身を引き締めて大切に
とことん着させてもらおうと思います。
 自作の綾織の半巾帯を合せました。帯揚げも帯締めもないほうが涼しげですね。


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