備忘録として

タイトルのまま

グルカ族(Gurkha)

2017-08-06 14:40:05 | 東南アジア

 好んで飲んでいたApple Cinnamon Chai Teaが店頭から消え、2か月間見ていない。リンゴとシナモンの香りが鼻をくすぐる香ばしいお茶である。

 ダージリンでデモが発生し紅茶の9割が出荷できない状態が続いているというニュースを聞き、この紅茶が消えたのはその所為かと思った。ところが、紅茶のパッケージを読むとアッサム茶だった。そもそもダージリンとアッサムの違いを認識してないので、インド北部の地図(下)をのぞいてみた。ダージリンはネパールとブータンに挟まれた狭い場所で西ベンガル州に所属する。アッサム州はその東、バングラデッシュとブータンに挟まれ、ダージリンよりもっと広い範囲を指す。もうひとつのニュースでは、ダージリンの北東、インド、中国、ブータンの接する付近でインドと中国間で国境紛争が発生し、両国の軍隊が今にらみ合っているという。

 ダージリンのデモは、グルカ族(またはゴルカ)が、インド中央政府の教育政策(同化制度)に反発して起こしたものだという。

 ところで、シンガポールの警察には、Gurkha Contingentというグルカ族で構成する部隊がある。外国の要人が集まる会議などを警護することで知られている。シンガポールの警察が、わざわざ、ネパールの一部山岳民族を雇っているのだ。警察のWeb-siteによると、設立は1949年4月で、市民暴動の鎮圧やVIPの警護のために警察内に設けられたという。初期のころは、マレー半島の共産主義者追跡に従事した。一時期、刑務所の警備についたが、今は要人警護や反テロリスト対策に従事する。グルカ部隊はその強靭な身体的精神的な能力をもとに、高い規律と忠誠を発揮することで知られている。

 グルカ部隊の起源は、もっと昔にさかのぼる。19世紀にイギリスの東インド会社が、彼らの能力に目をつけ傭兵としたことに始まり、セポイの反乱のときはその鎮圧に大きく貢献する。イギリス軍に組み入れられ、第2次世界大戦では日本軍と戦闘し、戦後は日本の占領任務や朝鮮戦争に参加している。

 シンガポールのグルカ部隊は軍隊には所属せず、前首相のリー・クワン・ユーの警護や伝統的に大統領府イスタナの警護を担当している。シンガポール人ではないのであくまで傭兵である。ローマ法王を警護するバチカンのスイス傭兵に似ている。スイス傭兵は、1527年のドイツ・スペインによるローマ略奪のときに法王に忠誠を尽くし全滅している。現在のバチカンのスイス傭兵は儀礼的な存在だが、シンガポールのグルカ部隊は実戦部隊で重要な任務についている。シンガポール人に能力や忠誠心がないのか、政府が自国民を信用していないのかシンガポールの不思議のひとつだ。


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