今日17日、東京の日中の気温は35度でシンガポールより暑い。ので、外には一歩も出ず。映画三昧で、録画してあった「フィラデルフィア」と「黄昏」を観た。
「フィラデルフィア」1993は法廷ものの秀作だった。評判は聞いていたが、同性愛嗜好とエイズへの偏見という重いテーマだということで、これまで手を出さずにいた。トム・ハンクスがエイズを発症した弁護士でデンゼル・ワシントンが社会派弁護士を演じ、エイズを理由に不当解雇した大手弁護士事務所に戦いを挑む。エイズや同性愛への偏見との戦いというよりは、法廷での攻防がスリリングだった。トム・ハンクスはエイズでやせ細っていく患者を熱演し、デンゼル・ワシントンはいつものようにクールで知的だった。自分が証言台に登る前夜、マリア・カラスのオペラを聞きながら瞑想する場面のトム・ハンクスは、死期が迫る人間の不安や絶望と裁判のクライマックスに臨む決意を、表情だけで表現した出色の演技だった。大手弁護士事務所を弁護する憎たらしい女性弁護士は”どこかで観た顔だ”と観劇中ずっと考えていて映画の終盤で「バックトゥーザフューチャー3」のクララ役の女優(Mary Steenburgen)だということに気が付いた。これまでに観たデンゼル・ワシントンとトム・ハンクスの映画を古い順にリストしておく。監督:ジョナサン・デミ 出演:トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、ジェイソン・ロバーツ、アントニオ・バンデラス、メアリー・スティーンバーゲン フィラデルフィアは独立宣言の起草が行われたようにアメリカ建国の精神である自由と人権を象徴するということが映画の題名に込められている。トム・ハンクスの母親役として大好きなポール・ニューマン夫人のジョアン・ウッドワードが出演していたのは、ポール・ニューマン主演の法廷映画の名作「評決(The Verdict)」に対するオマージュのつもりなのでは。★★★★☆
デンゼル・ワシントン
- グローリー 1989 ★★★★☆ 南北戦争の北軍黒人兵
- ペリカン文書 1993 ★★★★☆ ジュリア・ロバーツを助ける記者
- フィラデルフィア 1993 ★★★★☆ 社会派弁護士
- マーシャルロー 1998 ★★☆☆☆ ブルース・ウィリスの暴走を止めようとする捜査官
- ボーン・コレクター 1999 ★★★★☆ アンジェリーナ・ジョリーに指示を出す天才犯罪捜査官
- マン・オン・ファイアー 2004 ★★★☆☆ 「I am Sam」のダコタ・ファニングのボディーガード
- デジャブ 2006 ★★★☆☆ 殺害された被害者を助けるためにタイムトリップする捜査官
- ザ・ウォーカー 2010 ★★☆☆☆ 聖書を持って歩く人。「Mad Max」の流れを組む世界崩壊後の話で、ケビン・コスナーの「Postman」や「Water World」並みの駄作。
- プリティー・リーグ 1992 ★★☆☆☆ 女子プロ野球リーグのマネージャー。マドンナが出ている。
- めぐり逢えたら 1993 ★★☆☆☆ メグ・ライアンの相手役の一人息子のいる男やもめ
- フィラデルフィア 1993 ★★★★☆ エイズの弁護士。アカデミー主演男優賞。
- フォレスト・ガンプ 1994 ★★★☆☆ 自閉症のフォーレスト・ガンプ。評判ほどいいとは思わない。
- アポロ13 1995 ★★★☆☆ 船長
- You Gotta Mail 1998 ★★☆☆☆ メグ・ライアンの相手役の本屋の店長。軽い。
- Private Ryan 1998 ★★★★☆ 第2次世界大戦の分隊長。戦場に流れるエディット・ピアフに戦争の残酷さと理不尽を感じた。
- Cast Away 2000 ★★★☆☆ ロビンソン・クルーソーになるとWilsonもが友達になるということに笑うより納得した。
- Catch Me If You Can 2002 ★★☆☆☆ デカプリオを追いかけるFBI捜査官
- The Da Vinci Code 2006 ★★★☆☆ 宗教象徴学の教授。マグダラのマリアのことを初めて知った。
このリスト中では、「フィラデルフィア」が一番面白い。デンゼル・ワシントンの「デジャブ」は大した映画ではないのだが、タイムトラベルで過去を変え結末を変えてしまおうという発想は、小学生のころ読んだSF小説「タイムマシン」に始まり、テレビの「タイムトンネル」、「時をかける少女」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と親しんできたテーマなので思い入れが強い。特に、広瀬正の一連の小説「マイナス・ゼロ」、「ツィス」、「エロス」、「鏡の国のアリス」を学生時代に読み耽り、夭折した彼の墓標が”タイムマシン”だったという話に憧憬したことを思い出す。全作品を読んでいる広瀬正のことはいずれ書きたいと思っている。
「黄昏(原題Carrie)」1952 監督:ウィリアム・ワイラー、出演:ジェニファー・ジョーンズ、ローレンス・オリビエ、エディー・アルバート、田舎から出てきた世間知らずの若い女とその魅力に溺れていく上流階級の妻も子もある男の話で、逃避行の末、女はその若さと美貌で最後は舞台女優として成功するが、男は浮浪者にまで落ちぶれていく。「ローマの休日」や「ベン・ハー」のウィリアム・ワイラー作品ということで期待したが、そこまで落とすかという感想しかない。★★☆☆☆
機中で観た映画は以下のとおり。
「The Adjustment Bureau」2011 監督:ジョージ・ノルフィ、出演:マット・デイモン、エミリー・ブラント、人間の運命は決まっていて、それから外れることがないようにAdjust(調整)する神のような集団(Bureau)がある。マット・デイモンがエミリー・ブラントと付き合うことは運命から外れることになるのだが、その調整者の存在を知ったマット・デイモンは運命に逆らい自分で自分の運命を決める行動にでるというSFもの。最近よく見かけるエミリー・ブラントはここでもあまり美人ではなかった。それが理由ではないのだけど、★★☆☆☆
「Red Riding Hood」2011 監督:キャサリン・ハードウィック、出演:アマンダ・セイフライド、ルーカス・ハアド、童話”赤ずきんちゃん”を題材にしたファンタジーもの。魔女狩りや狼男の伝説を取り込んで、赤ずきんちゃんが活躍する。見るべきものは何もなかったけど、一応赤ずきんちゃん役のアマンダ・セイフライドの将来性に期待して、★☆☆☆☆