近藤勇出生の地名に「石原」がつくというのは、記憶の底にあった。また、その地はどこか八王子あたりだと先入観のまま認識していた。
しかし最近、京王線西調布駅近くの西光寺に近藤勇像があると何かで知った。そこで、足を運んで目にしたのが写真の近藤勇。武勇の人の姿ではない。腕を組み、眉を寄せ、考え事をしている。
調べてみれば、彼は、農民の子として武蔵国多摩郡上石原村(現調布市野水1-6)に生まれた。西光寺から3km余北の所だ。幕末に、新撰組のトップとして大活躍するわけだが、結局は西軍に捕らわれて首をはねられる。
思えば、農民出身でありながら剣客にして幕臣(しかも若年寄格)にまで大出世の近藤勇も、要は断末魔にあえぐ徳川幕府に利用され、道連れにされたような感じもする。この西光寺の近藤勇像、そんな我が身を考え込んでいるかのようであった。