焼山を望む/ここで撤退
6月19日(日) jun1さんと共に笹ヶ峰の真川から信越古道・富士見平を目指したが、3度の渡渉の後に南面の長大な雪渓を直上して2060mの峠より高い2150mの稜線に到達しながらもミスリードのせいで時間切れとなり、峠を踏まずに撤退した。
2003mの大岩付近からトラバースしてまっすぐ富士見峠に向かえば到達できたと思われるが、すり鉢状の斜面のトラバースを嫌い、一旦稜線に出てから登山道を峠に下ると言う作戦が裏目に出た次第。
ガスが湧く兆しがあって退路を見失う恐れがあり、早めに撤退を決めたのもナーバスに過ぎたかもしれない。もう30分粘れば到達できた筈で完全にミスリードだった。
ブナの森/渡渉あり
真川から焼山の西,富士見峠を越えて笹倉温泉に下り、早川に沿って現糸魚川市梶屋敷に至る道は信越古道と呼ばれる往年の善光寺街道の1つだった。
信州と越後を結ぶ主要道には大町,小谷から糸魚川に至る道(塩の道・現国道148号線)と長野市と直江津を結ぶ道(現国道18号線)があり、これらが官の道であったのに対して、信越古道は民の道であったと言う。
それを歩いて見たいと言うのが長年の目標で、3年前の2008年8月31日に真川から富士見峠までを調査し、富士見峠から笹倉温泉までを残すだけになっている。真川から笹倉温泉までのルートを一挙に歩くには、笹倉温泉に着いてから出発点に戻る足をどうするかと言う問題があり、未だ実行に移せないまま今日に至っている。
あと少しだった
時期としてはやや早すぎるが、残雪期の富士見峠までのルートを確立したいと言うのが今回の狙いで、天候さえよければそれは困難なことではないと考えていた。
実際,峠までわずかのところまで迫りながら目的を果たせなかったのは、必ず到達できると安直に考えてまったく事前研究も準備せず成り行きに任せて出発したことに尽きる。
目的は果たせなかったものの、下界ではとうに過ぎ去ってしまった春から初夏への季節の変化を、『遅い春』『遅い初夏』としてもう一度味わうことが出来た。それは、厳しい冬をじっと耐えて待つ春ではなく、こちらから訪ねて行く春,追いかける初夏である。