Ｍ子さん状態。

我が家では、今、“Ｍ子さん状態”という言葉がはやっている。Ｍ子さんは一人暮らしで、古い家に住んでいる。Ｍ子さんが言うには、自分の家に、誰かが入ってきて、私の物を取ったりする。だけど、不思議な事に、何週間かが経つと、その人が返してくるのか、無くなった物が戻っているというのです。現代版の座敷わらしではないが、Ｍ子さんの家では、しょっちゅう、このような事が起こるらしい。だから、怖くなって、家の鍵も変えたと先日、私たち夫婦に、お茶を飲みながら語っていたのである。私たち夫婦は、「それは気の性よ。」と一笑にふそうとしたのだが、Ｍ子さんの、あまりに真剣な顔つきに、「それは心配ね。」と応じたのであった。さて、それから数日後のことである。私の大事な手帳が見つからないという事件が起こった。置いておく場所は決まったところである。妻がなにかと一緒に移動させたのかと、大騒ぎをしたのだが、何ということはない。いつもの決まった場所に置かれていたのであった。つまり、置かれていたのだが、見えなかったのである。人間にはこうゆうところがあるらしい。以来、我が家では、メガネなど、捜しまわる時には、このＭ子さん状態”になったと言うようになった。

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