あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

月の上で働く男

2010年07月19日 | うんちく・小ネタ

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◇史上初の月の上で働く男
記録に残る月の上で働く男第一号は、アポロ11号で降り立ったニール・アームストロング船長です。1969/07/20に月面から彼が地球に送った、

"That's one small step for a man, one giant leap for mankind."
(一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ)

ということばはあまりにも有名です。

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                                                                                   ◇月の上で働く男第一号は、「ハンス」だった?
史上に残った最初の月の上で働いた男第一号はアームストロング船長でしたが、実はもっとずっと早くに月面で働くことになった男がいました。その名はハンス。後世のアームストロング船長の名前が栄光につつまれているのに、ずっと早くに月で働いた、いや働き続けたハンスの名前は、知られていません。

ハンスはドイツ生まれの働き者の男だとされています。働き者ですがひどく偏屈であったとも伝えられています。ハンスは来る日も来る日も働きました。それこそ土曜も日曜も関係なく働き続けました。

ある日曜日、いつものように日曜日も関係なく森に入って薪を拾い、山のような薪を背負って家に帰ろうとしている途上でハンスは一人の男に出会いました。背が高く髪も髭も長く伸ばしたその男がハンスに声をかけました。

日曜日なのに、お前は何故働いているのだ?

ハンスは答えました。

日曜に働くのは俺の勝手さ。それが悪いというのなら罰でも何でも当てればいい。

これを聞いた男は顔をしかめてこう言いました。

日曜日は六日間十分に働いた身体を休め次の週に備えるための日だ。頭も休め身体も休め、そして他の疲れた人々を労るための日だ。その日ですらも働きたいというのなら、ほれ、あの月の上にでも行ってずっと働き続けたらいい。

男がこう言って森の奥に去って行くのと、ハンスの足が地面を離れて月へ向かって浮かび上がるのとは同時でした。

そして、月の上で働く男第一号の栄誉に浴した働き者のハンスは、今日も薪を背負ったそのままの姿で働き続けているので、月の黒い模様は薪を背負った男の姿に見えるのでした。
(以上、ドイツの昔話でした)

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日曜日はキリスト教では「仕事を休んでよい日」なのではなくて「仕事をしてはならない日(神のために捧げられた日)」だったのですね。仕事が忙しく日曜日も仕事という方々、もし髪と髭を長く伸ばした男と出会ったときには、

私は仏教徒です

とでも答えないと、月の上まで仕事を持っていかなければならなくなるかも知れませんよ。気を付けましょう・・。

                                                        ◇1969/07/20、日曜日
さて、伝説上の月面で働く男第一号のハンスの可愛そうな話をしたところでふと気になりました。                                                                  アポロ11号が月面に着陸した1969/07/20は日曜日。日曜なのに、「人類にとっては偉大な跳躍だ」なんて言いながら働いていたアームストロング船長とオルドリン飛行士の運命や如何に?

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0123                                当時の合衆国大統領JFケネディとジャクリーン婦人                                                        (執務室でTVの生中継を注視)

                                                                  幸いなことに、月面には髪も髭も長い男は現れず、二人の飛行士は月の軌道上で一人寂しく待っていたマイケル・コリンズ飛行士と共に地球に帰ってきました。良かったですね、ハンスのように永久に月面を歩き回りながら、働かなくて済んだのですから。

アポロ11号の飛行士達の信じる宗教が何教であったのは、私のあずかり知らない話です。

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コメント (148)    この記事についてブログを書く
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148 コメント

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京のほけん屋様 (NOいちご)
2010-07-19 02:53:43
京のほけん屋様
こういう記事が続いたということは、
もしかしたら、シェイクスピアは伏線?
点と線を結んでいくと、例えば
歴史には解明出来ない謎について、
一考しましょうという何かを掴めるの
でしょうか。
う~ん、ワクワクしてきました。

アポロ11号については、父から
聞いたことがあります。
最近では、TVで、「月に行ったのか」
なんていう、答えの無いドキュメントを
流していました。
どんな宇宙飛行機なのか概容を
教えて下さい。
返信する
NOいちご 様 (京のほけん屋)
2010-07-19 03:06:02
NOいちご 様
コメントに感謝致します。

アポロ11号はアメリカ合衆国の
アポロ計画において、歴史上
初めて人類を月面に到達させた
宇宙飛行船です。


■概容

計画名: アポロ11号
宇宙船: 司令船:コロンビア
月着陸船:イーグル
総重量 30,320kg
乗員 3名
発射日時: 1969年7月16日 13:32:00(UTC)
月着陸日時: 1969年7月20日 20:17:40(UTC)
帰還日時: 1969年7月24日 16:50:35(UTC)
船外活動時間: 2時間31分40秒
月面滞在時間: 21時間36分20秒
採集標本質量: 21.55 kg
返信する
京のほけん屋様 (カクテルバー)
2010-07-19 22:35:45
京のほけん屋様
すごい!
絶句!
ここまで出来るBLOG作成者は、
他にはいません!あり得ないほど感動しています。


今日は、7月の第3月曜日で祝日「海の日」でした。
「あれ、海の日って7/20だったような気もするな」
という方は、いわゆるハッピーマンデー法以前の
記憶のある方ですね。

 
さてここで問題です。

7月の第 3月曜日は「海の記念日」か?

当たり前だと思った方、よく考えてください。
俗に言われるハッピーマンデー法で 7月の
第 3月曜日に移動となったのは祝日、
「海の日」です。
果たして「海の日」は「海の記念日」なので
しょうか?

返信する
京のほけん屋様 (ポンと腸)
2010-07-19 22:40:53
京のほけん屋様
写真がすごい!今回もまたまた、
京のほけん屋さんは、
やってくれましたね!
胸震えるような写真と、
記事に、今回も魅せられています。
すごいなぁ。ほんとすごい。


アポロ計画の基本概要について
教えて下さい。
その時代に生まれてないので、
聞いたりはするものの、
読んだり、調べたりしたことがなく、
未だに、詳細を知らないままです。
返信する
京のほけん屋様 (紙非行機)
2010-07-19 23:37:38
京のほけん屋様
今回のテーマも大きいですね。
こうした記事に、毎回、胸が震えます。
ときめくように読ませていただいています。

先ほどのコメントにあったことですが、
連休を増やして消費の拡大を狙った俗に
「ハッピーマンデー法」と呼ばれる祝日法
の改正が施行されるようになると、もともと
が何時でもよかったその日付の根拠の
うすい幾つかの祝日の日付が月曜日に
移動させられました。
「海の日」もその移動させられたものの一つ。

祝日としての「海の日」の日付は、
それを規定している祝日法が改正された
のですから変更されるのはちっともおかしな
ことではありません。
ですが、「海の記念日」はどうなのでしょうか?
返信する
Unknown (ほうき星)
2010-07-19 23:46:41
宇宙船名って、どのように
決められたのでしょう。
それにしても、私も驚きました。
相当に重い内容ですし、前回の
シェイクスピアとも話の底が繋がって
いるようなところがすごく面白いです。
ブログでこんな展開があるのは、
まず他では見つからないと思います。
いや、高貴な書籍をさがしても、
ないでしょう。
ものすごい感動を覚えています。
ビジネスブログ?
いえいえ、もう、世界のブログです!
返信する
カクテルバー様 (京のほけん屋)
2010-07-20 00:05:59
カクテルバー様
コメントに感謝致します。

現在の「国民の祝日に関する法律」
によれば海の日の内容とは、

海の恩恵に感謝するとともに、
海洋国日本の繁栄を願う。

とだけ書かれています。
日付はといえば1996~2002までは7/20に固定、2003年以後は 7月の第 3月曜日となっています。
さてこの海の日がどうやって生まれて来たかを
考えてみましょう。

1996年に海の日が日本の祝日に加わったとき、
その日付として選ばれたのが7/20。
なぜならその日が「海の記念日」だったからです。

海の記念日の由来はこうです。

 明治9年に明治天皇が東北地方
 巡幸の帰途、灯台視察船「明治丸」
 に乗って、横浜港に帰還した日を記念して、
 1941年に当時の村田省蔵逓信大臣が
 提唱して「海の記念日」とした。

まあ、理由としては取り立てて言うほどの
理由かという気もしますが、ひとまずこうして
7/20は「海の記念日」となりました。

さて、祝日「海の日」ですが、その内容からすれば
日付は何時でもよかったはず。
何時でもよかったからどうせなら「海」と関わりの
深い日と、「海の記念日」が「海の日」の日付の
候補となったのでしょう。

返信する
ポンと腸様 (京のほけん屋)
2010-07-20 00:39:26
ポンと腸様
コメントに感謝致します。

アポロ計画ではこれが五度目の有人宇宙飛行で、
アポロ8号、アポロ10号に続く三度目の月飛行に
なりました。

また、搭乗員すべてがいずれも過去に宇宙飛行の
経験を持っているのは、宇宙開発史上、これが
二度目のことであったそうです。

1969年7月16日、ニール・アームストロング船長、
マイケル・コリンズ司令船操縦士、
エドウィン・ユージーン・バズ・オルドリンJr.
月着陸船操縦士を乗せたサターンV 型ロケットは
ケネディ宇宙センター第39複合発射施設から
発射され、7月20日、アームストロングとオルドリン
は人類として初めて月面に降り立ちました。

コリンズ飛行士は、その間司令船で月軌道上を
周回していました。

またこの飛行により、ジョン・F・ケネディ大統領が
1961年5月25日の合同議会の演説で表明した
「1960年代の終わりまでに人類を月面に到達
させる」という公約(下記)が実現されたのです。

   "I believe that this nation
    should commit itself to
    achieving the goal, before
    this decade is out, of landing
    a man on the Moon and
    returning him safely to
    the Earth."


  「私は我が国が、この10年間(60年代)が
   終わるまでに人間を月面に到達させ、
   なおかつ安全に地球に帰還させることを
   約束する」

返信する
紙非行機様 (京のほけん屋)
2010-07-20 01:46:50
紙非行機様
コメントに感謝致します。

「海の記念日」が記念日とされた理由は
ハッピーマンデー法の有無に関係して変化する
ものではありませんし、祝日としての
「海の日」が出来る以前からずっと

  「海の記念日」は7/20

だった訳です。また、祝日の「海の日」
が出来たときに「海の記念日」は今後は
「海の日」とする・・・

なんていう海の記念日の改正は
行われていないですから、「海の記念日」と
「海の日」がそれぞれあるとしても
何もおかしくないと思います。

ならば一時期たまたま同じ日となった
「海の日」という祝日の日付が法律の
改正で変更になったからといって、
「海の記念日」まで日付が変更になる
のでしょうか。
そんなことは無いと私は思うのですが・・
・・・如何に?


「海の記念日」と「海の日」の日付を考えた結果、
私は「海の記念日」という記念日は、ハッピー
マンデー法の影響を受けるものではないと考えて、

  7/20は「海の記念日」

として表示しています。
「海の記念日」自体は、その日付の根拠と
なっている歴史的事実はあまり大したもの
ではないように思いますが、その評価は別として
記念日というものは、正に何かを「記念」
するための日付ですから、その日付とその
記念日の意味の間には、はっきりした理由が
あるべきだと考えます。

祝日法は、その第一条で祝日の意義を
次のように書いています。

 第一条(意義)
 自由と平和を求めてやまない日本国民
 は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、
 より豊かな生活を築きあげるために、ここに
 国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する
 日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

元々「祝日」は、日本という国、国民にとって
忘れてはならない大切なことが行われた、
起こった日を記念するために生まれたものなのに、
単に連休を増やそうという理由(?)から、
祝日の祝日としての本来の意味を失わせる
ようなことをしているのでは・・と、
思えて仕方ありません。

しかし、法律をどうこう出来るような立場に
ありませんので、

  7/20は「海の記念日」

と「海の日」とは別に書くことで、ささやかな
抵抗の意志を表明したいと思います。

意固地なだけなのかも知れませんが・・。

返信する
ほうき星様 (京のほけん屋)
2010-07-20 02:00:48
ほうき星様
コメントに感謝致します。

着陸船は、アメリカの国鳥である
ハクトウワシを計画の徽章として
使用することが決定された後、
「イーグル(Eagle)」と命名されました。

また司令船の「コロンビア(Columbia)」
はアメリカ自体を象徴する伝統的な
女性名で、ジュール・ヴェルヌの小説
「月世界旅行」に登場する、宇宙船
発射用の大型大砲「コロンビアード」
にもちなんでいます。

NASAは計画段階では、司令船を
「スノー・コーン(かき氷)」、着陸船を
「ヘイスタック(干し草)」という暗号名
で呼んでいたそうですが、マスコミに
公表する際に変更されたそうです。



「アポロ」については、ギリシャ神話の
アポロ(アポロン)=太陽神から取っ
たものとされています。

月面着陸ロケット打ち上げ計画時
の米大統領はJ・F・ケネディで、
彼の念願だったロケット打ち上げ計画
のプロジェクト名(アポロ計画)は彼が
つけました。

その名前は、大統領になる前、
後に結婚するジャクリーヌと、大統領
に当選したらロケットを打ち上げたいと
雑談していた時、彼女が、太陽の車
に乗って宇宙を駆け巡る「アポロ」と
いう名前のロケットはどうか・・・と提案
したため、後にケネディーが彼女の希望
をそのまま付けたとも言われています。
返信する