首相の収賄事件は、残念ながら珍しくもない話ですが、かつて、殺人事件を起こしながらも首相になった人物がいたことをご存知だったでしょうか。
明治21年から2年にわたり首相を務めた黒田清隆がその人です。
黒田はもともと酒癖が悪いたちだったようですが、子供が2人とも生後まもなく死んだのをきっかけに、酒乱に益々拍車がかかります。
首相に就任する以前の大臣時代にも、飲酒の上船上から艦砲を撃つという無茶をやったこともあり、その砲弾が民家に命中し、家にいた少女を死亡させてしまいます。
その2年後にも、酔って帰宅し、妻を日本刀で殺すという事件を起こしたのです。
いずれも、数名の政府要人が彼をかばったため、黒田は厳罰されることもなく、事件はもみ消されてしまいます。
そして、その10年後、黒田は首相に就任します。
いくら政治家として有能だとしても、2件も殺人事件を起こした犯人が首相になれるとは、今の日本では考えたくもない・・・ことですね。
明治天皇が第2代黒田清隆内閣総理大臣に憲法を渡しているところ(和田香苗作画=衆参事務局『国会議会開設110年記念』より)。