風塵社的業務日誌

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9.11 N.Y.同時多発テロの衝撃の真実

2009年09月07日 | 出版
昨夜は、楠山さんにお借りしたまんまのDVD『9・11 NY同時多発テロ衝撃の真実』を観ることにする。実は小生、DVDプレーヤーを持っていないのだが、ようやく自宅のパソコンで観ることができるようになったのだ。そこで観始めると、これが素晴らしい。映像の迫力が、CGで作られた最近の映画とはまったくちがうのだ。
そもそもこの映画は、ニューヨーク消防署に新しく入ったルーキーを中心に、そのルーキーが一人前になっていくさまを映像化していく企画だったようだ。といっても、そんなにたいそうな話ではなく、グデオン兄弟という二人がカメラを担ぎ、その二人で新兵教育を撮影しようという程度のことを狙っていた。そのため撮影は、最初の場面で、トニーという新人がその対象に選ばれる。彼は、「ヒーローになりたくて、消防士を志した」と述べていて、いかにもそれなりに野心的な普通のバカみたいなアメリカ人だ。
で、最初の新兵としての仕事は、ベッドシーツを取り替えたり、洗い物係になったりと、どこでもあるような下積み生活を送らされている。たまに火事があってもボヤばかり。そんなある日、下水管からガスのにおいが出ているという通報が、その消防署に寄せられる。トニーはその消防署に待機。ビデオを持ったグデオン弟が、緊急の消防車に同乗する。
その現場で、頭上近くを旅客機が飛び、そのままWTCに突っ込んでいく。ニューヨーク市の消防隊は、ガスのにおいなんかほうり捨て、現場へと急行。こちらは、WTC1号館の炎上場面に、思わず「ヤッター、ヤッター、ヤッターマン!」と欣喜雀躍するのであるが、現場の消防士にしてみれば、そういうわけにはいかない。
1号館ロビーに何十人か消防士が集まり、対策を練ることになる。そこに、2号館へも旅客機が追突。DVDを見ている小生は、さらに「ヤッター、ヤッター」と喜びに震えるのであるが、くどいようだが、さすがに現場はそういうわけにはいくわけがない。1号館に集結していたものを二班に分け、二号館へと半分を移動。そこに、第三陣も襲ってくるという流布も流れ、現場はさらに混乱していく。
思わず笑ってしまった場面があった。1号館のエレベーターがすべて止まってしまい、消防隊は階段から78階の追突現場まで消化と救出作業に向かわなければいけない状況にあって、突然一つのエレベーターが動き出し乗客を1階に降ろしたのであるが、どう見ても、その全員がユダヤ人にしか見えない。確かに、金融系の集まるユダヤ系の比率の高いビルであることは前提ではあるが、ただ1基、まともに動いたエレベーターから出てきた連中がユダヤ系となると、これでは9・11ユダヤ陰謀論がささやかれるのもしょうがないだろうという場面だ。
本作では、そこになんらかの編集的な意図が込められずに描き出されているところが、またすごい。たまたま映し出されたワンシーンの興味深さには、複雑なものを考えざるを得なかった。
実は、ドラマはここから始まる。2号棟が崩れ落ち、あたり一面にダメージが押し寄せてくる。この調子だと1号棟も崩れるだろうと判断し、消防隊の退避ルート確保が始まる。その緊迫感が、画面からあふれすぎていて、こちらも息が詰まりそうだ。しかも、消防隊の神父さんは、階段の下で死んじゃっているし、ひとつ間違えれば死の危険が押し寄せているという状況は、ドキュメンタリー以外では表現しようがないだろう。
ようやく、消防隊が退避したところで、1号館が崩れ落ちていく。大きなビルが崩れ落ちるときの衝撃というものがこんなに大きいとは、本作を見ながらようやく勉強させていただいた次第であるが、とにかく、ありとあらゆる土ぼこりが飛んでくる。ショックウェーブがどの程度のものだったのかは、さすがにビデオからはわからなかったが、多分、かなり強烈な衝撃が周囲を襲ったのだろう。
命からがら逃げ出したグデオン弟を探しに、グデオン兄もビデオを片手に現場へと向かっていた。そこで、小生は知らなかったのだけれど、崩落したのは、WTCの1、2号館だけではなかったのだ。そもそもWTC自体が何号もあり、そのうち、5、7号館なども、1、2号館崩落の余波で崩壊していたのだ。
あとで聞いた話ではあるが、WTC自体がそもそも老朽化が進み、取り壊しがスケジュールに上っていたそうな。そうしたヤラセ説につながる言説が本当なのかデマなのかを実証できるわけがないが、しかし、1、2号棟の崩壊の余波で、そんなにいくつもビルって崩壊するのだろうか。建築に詳しくない小生は、なにか腑に落ちないものを感じてしまう。
ところが本作のポイントは、こんなところにはまったくない。その長い1日を消防隊がいかに過ごしてきたかと同時に、その後の無駄とわかっている人命救助作業にどれだけ愚直に活動してきたのかがテーマなのだ。正直、ニューヨーク消防隊には、敬意を払いたい。こういう表現にはいろいろなまやかしがあることは重々承知しているが、無駄だとわかっていても、一生懸命にバケツリレーで瓦礫を除こうとしている人々に対し、あらゆる論評が無意味なように思う。

因みに本作は、2003年エミー賞の「ノンフィクション・スペシャル番組部門作品賞」を受賞されたそうな。めでたし、めでたし。つまり、見ないと一生の損ですよ。

9.11 ~N.Y.同時多発テロの衝撃の真実~ [DVD]

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