風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

五公五民

2022年06月15日 | 出版
本日で6月も半ばを迎える(某氏の生誕記念日だそうだ)。実は半年以上、経理、法務系のダラダラした作業が弊社の業務の中心となっていた。それがとにもかくにも終了し、ある程度の成果を上げることはできたものの、想定外の出費が生じてしまい、期待していたほどではなかったのは残念である。しかしそれよりもなによりも、まったくやる気のわかない作業だったので、小生がウツ状態でPCに向かっては終日ため息をついているだけという日々が続いたこともあり、時間ばかりかかってしまった。それが一番の残念な点であると総括しておこう。
それでも、過去10年間、澱のようにたまっていた経理的・法務的諸問題はとりあえずクリアすることができた。なにせ、みなし解散法人なる状態に陥っていたわけであり、法人格を消滅させなかっただけでも大きな成果である。そのうえ、ここ2年分の決算処理に加えて、過去に確定申告していなかった1年分の処理まですませることができた。おかげで、次の決算からは青色申告にもどれそうである。ため息を続けてきた甲斐があったというものだ。
小生ではなく前任者がなんの考えもなく決めた話であるが、以前、弊社の決算期は2月であった。どうして、そんな中途半端な月を決算期にしたのかは知らない。ところが、みなし解散法人と化してしまったことにより、法的な計算で強制的に12月12日が決算日となってしまった。決算処理をしたことのない人には理解できる由もないが、月半ばの決算など面倒くさくてしょうがない。計算するのに、いちいち面倒な手間がかかってしまうのだ。そのため、今後は12月末の決算に変更することにした。毎年、年末の25日くらいからはヒマになっているから、その間に決算の基本的な処理を済ませてしまおうというこんたんである。
そして、青色申告と白色申告のちがいなんて、多くの人は関心もないことだろうけれど、零細企業の経営者にしてみれば大きな問題である。青色の場合、新しい申告時に過去の赤字を引き継ぐことができる。したがって、その期の売り上げがよかったとしても、過去に赤字を抱えていればそれと相殺されてしまうため、法人税の支払額が大幅に引き下がる(またはゼロになる)可能性が大であるということだ。そういう事情があるから、多くの事業主は青色にこだわるわけである。別の表現をすれば、確定申告と納税をきちんと行わせるために、国家がそうした利得条件を制度設計しているわけである。
ところが弊社の場合、小生が怠惰であるということもあり、また、決算書を見せたからといってお金を貸してくれる金融機関があるわけでもないから、ついつい確定申告を怠ってきた。そのため、いたらぬ納税が発生することになってしまったのだ。それが先ほど述べた「想定外」という部分であって、たかだか110万ほどの黒字に対し47万ほどの納税額(国税、都税合わせて)が生じてしまったのである。「なんやら、まさに四公六民やなあ」と、某所からの帰り道、蒸し暑いなかをブツブツ考えながら歩くことになってしまう。
そこにさらに延滞税やらがかかってくるはずである。そうなると、五公五民になってしまうという話だ。フーム、現在の日本って江戸時代並みの苛斂誅求なんだとは思うものの、一方で小生の怠惰という側面もあるのだから、単純な結論付けは避けることにしよう。しかしそれにしても、H税務署なり某都税事務所なりにわざわざ足を運んだのに、「きしゃ~ん、なん、ふざけよっとや~。こんだけのカネ、いますぐ耳そろえて払わんかぁ!」と、職員の方から笑顔で恫喝されるのだその画がわかりきっていただけに、冒頭に記したが、やる気がまったくわかなかったのだ。
それでも、とにもかくにも、なすべきことはなし、すませるべきことはすませた。そこにはなんのクリエイティビィティもないが、経営的には将来への布石になったはずだと、妄想的な確信を抱いておくことにしよう。要するに、これからどれだけ売り上げを伸ばせるのかが勝負なのだという意味だ。このご時勢、論理構成がキチンとしていることは前提としつつも、なおかつ問題提起が普遍性を内包しているような内容のものでなければ、弊社のような零細出版社からは刊行する意味がないように感じている。
そんなおり、某大のKさんからメールがあり「コロナ規制もゆるくなったので、久しぶりに飲みませんか」というメールが入った。喜んで、都内某所でKさんと酒を飲むこととなる。そしてKさん曰く「コロナ禍で時間の余裕ができて、これまで考えてきたことをまとめた本を出そうと思っている」。小生にしてみれば「それは是非、是非」ということになるから、「Kさんが書かれたいとイメージされている内容の理論的な前提を理解しておくために、読んでおいた本ってありますか?」とたずねた。すると『四方対象』(ハーマン著・人文書院)を挙げられた。

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