風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

鴨二羽

2010年04月28日 | 出版
某日夜、遅くまでよからぬ作業を行い、22:00過ぎに後楽園駅から丸の内線に乗る。すると、隣りに立っている50過ぎのオッサンと20代の女性とのコンビが、どうも出版社勤めのようだ。索引がどうしたこうした、なんとかというシリーズの企画でなんとかいう著者の先生がという、なんだかおなじみのフレーズが聞こえてくると、ついつい、聞き耳を立ててしまう。どうやら、某大手のビジネス系の版元のようだ。
で、このオッサンがでっぷりと肥えていて、弛めてもネクタイが首の肉に食い込んでいるような感じで、いかにも中年脂ギッシュという味わいでなかなか面白い。それで女の子相手に、「課長の前で、しょうがねえからスナックをボリボリ食ってやったよ」なんてつまらない自慢をしているから、「おいおい、お前はまだ課長にもなってないのか」とツッコミの一つでも入れてやりたくなった。
そのまま、池袋で副都心線に乗り換える。すると、近未来男が電車に乗っていた。右目の眼鏡越しに小型のディスプレイを装着し、ヘッドフォンをしながらモバイルのキーボードをいじっている。年のころは、20代半ばから30前半というところか。それがゲーム機なのかパソコン系なのか、結局わからなかったけれど、小型ディスプレイを片目にあてて操作している奴をはじめて見た。
そういう姿を見ていると、映画『ブレードランナー』の世界が確実に近づいているように感じてしまう。しかし、『ブレードランナー』自体もそうだけれど、それは決して明るい未来ではなく、どこか重苦しい世界だ。だいたい、帰宅途中の電車でそこまでしてモバイルをいじることもないだろう。それとも、そのかっこよさを世間にアピールしたかっただけなのだろうか。そういうわけで、雨の降る中を帰宅する。
某日、小雨がぱらつく程度であるが、それほどの雨ではない。連休が近づいてきたせいか、途行く人々の表情がなんとなく明るく感じる。しかしこちらはまったく明るくない。5月期を迎えてから(4/26~5/25)、書店さんからの注文短冊がガックと落ち込んでしまい、この調子ではまた悲惨な状況に陥りそうなのだ。
P舎Kさんが、先日、書店営業のため中四国に出張に出かけてきたのであるが、もどってきてから話を聞いたところ、中心街の書店ほど元気がなくて、在庫を絞っているため苦労した、とのこと。中心街の大型書店さんに元気がないと、こちらもまいってしまう。まったくもって、『IQ84』どころではないのだ。
しかし、日々ろくな売上がないというのは困ったもので、打開策を考えてみてもいい策が浮かんでくるわけがない。そこで、大手が苦しいのだから超零細が厳しいのは当たり前だ、と腹を括れるだけの余裕もない。下手の考え休みに似たりという有名な囲碁の格言を思い出して、ネットで囲碁に勤しむことにする。
別の某日、某所で某友人と落ち合い、ブツの受け渡し。その友人から組版の仕事をもらう予定があり、最初は、できれば連休前にほしいということであったが、まだデータがそろっていないようだ。一応5/1にデータとラフ指定とをもらうことにしたのであるけれど、まだ前書きが届いていないと。届いていないところは空けておくから、連休中に終らせたいと伝えておく。
その後、ドシャ降りの中を会社へと向かう。10:00出社。いい加減、五月晴れのカラッとした空を眺めたいものだ。そのうえ、低気圧のため、眠くて仕方がない。眠気をこらえて作業をしようと思うが、集中力が半減していて、何をやっているのかわからなくなってくる。そのうえ、昼飯を食べたら、さらに眠くなってきた。ア~、眠い眠いと思っているうちに、いつの間にやら幽界を彷徨っている。ようやく現世にもどってみたら、雨があがっている。
眠気覚ましのため、近くの散歩に出かけた。ポケーと本郷給水所公苑に行くと、鴨が二羽、水路の上を泳いでいる(画像)。こんなところにも鴨がいるんだと、いささか意外の感に打たれた。そのままベンチに腰を下ろして一服したいところであるが、最近、この公園は全面禁煙とされてしまい灰皿が撤去されてしまった。くだらねえ。そこで、プラプラと、さほど広くもない公園内を彷徨ってみることにする。
この公園は、洋式庭園の部分と和式の部分との大きく2箇所で構成されている。これまでシゲシゲと見たことがなかったけれど、その洋式の真ん中に女性の銅像が建っていた。髪形がヘンだなあと思いつつレリーフを見ると、「堀田泰造 カルメン」と書かれている。ヘンな髪は、踊っているカルメンを表現しているわけなのだ。
まだ眠いけれど会社にもどることにする。その近くに、豪華マンション風のお寺があるのであるが、その前を通ると黒い服を着た人が文字通り黒山の人だかりだ。どなたが亡くなられたのだろうと表示を見たら、「当山前住職」とある。な~んだと、いささか拍子抜け。


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