風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

ブタ箱物語(30)

2017年02月28日 | ブタ箱物語
A:そりゃあ、腹巻さん、お酒を少しは控えた方がいいですよ。 腹巻:余計なお世話だ。 A:いや、本当に。 腹巻:まあ、そうですね。それで供述を続けると、その日も途中から記憶がなく、気がつくと見知らぬトイレで用便をしているところでした。そんなところかな。 A:それでどうしました? 腹巻:なんだかねえ、こっちもよく事情が飲み込めていないのに、若い警察官がワーワーワーワー言うから、こっちも腹が立ってワーワ . . . 本文を読む

ブタ箱物語(29)

2017年02月27日 | ブタ箱物語
腹巻:そうすると、いまの話の続きなんですけど、どうやって破ったんですか? A:多分、家の帰り道だと思うんですけど、左手か右手でガバッと政党のポスターを引っ剥がしたんですね。その様子が、交番のビデオカメラに写っているんで、それで交番にいた警官が駆けつけたわけなんです。 〈検事にも見せられた現場写真をA刑事からも見せてもらう。しかしまあ、酔っ払っていたとはいえ、ずいぶんとひどいことをしたもんだと、心中 . . . 本文を読む

ブタ箱物語(28)

2017年02月25日 | ブタ箱物語
M駅でSさんと落ち合い、署に向かってプラプラ歩いていく。そこでじゃっかんのレクチャーを受けたが、任意の出頭だからといって取り調べに弁護士が立ち会える署とそうでない署があるそうだ。立ち会えない可能性の方が高いから、「そのときは担当の刑事にあいさつだけして僕はお先に帰ります」ということである。やることもないのに、忙しい人を拘束することはできない。 警察の建物に到着したのでその中に入る。制服の警察官が慌 . . . 本文を読む

ブタ箱物語(27)

2017年02月24日 | ブタ箱物語
T氏の電話のあと、ついでに救援連絡センターに弁護士を手配していただいたお礼を電話しておく。すると、「完黙(完全黙秘)されましたか?」とたずねられたので、「はい」と答えておく。しかしなあ、あれって完黙になるのかなあといえば、はなはだ疑問だ。だが、面倒を起こすのもわずらわしいので、あれは完黙だったということにしておこう。 その夕方、フットワークの軽い弁護士のSさんが、早速ご来社された。Sさんに検察から . . . 本文を読む

ブタ箱物語(26)

2017年02月23日 | ブタ箱物語
「ああ、はい、わかりました」 「じゃあ、何番に電話すればいいんですか?」 「この署は03-〓〓〓〓-0110なんです。どこの警察署も下四桁は百十番の0110になるんですよ」 へえ、そうなんだ。そんなトリビアまで教えてもらった。 「じゃあ、電話するときにはだれ宛にかければいいんですか?」と重ねてたずねた。 「そのときは、まず受付が電話を取るので、知能犯係宛に回してもらえませんか。もしも私がそのときい . . . 本文を読む

ブタ箱物語(25)

2017年02月22日 | ブタ箱物語
腹立ち紛れに「だいたいね、こんなことで送検したら、検事さんも迷惑だろ」「いやあ、そういうわけにもいかないんですよ。参院選の告知当日だったので、公選法違反の取締りを厳しくするようにというお達しがありまして」「フーン、ああ、そう(いささかお怒り気味の口調で)」「それで、身支度が終わったら、刑事があなたと話がしたいと待っているんですね」 なんやそりゃ。検事が釈放すると言ったから釈放されたのに(これを業界 . . . 本文を読む

ブタ箱物語(24)

2017年02月21日 | ブタ箱物語
我々を乗せたバスは、護国寺インターで降りるものとばかり思い込んでいた。ところがあにはからんや、そんなところはあっという間に通り過ぎてしまった。それで、行きとは逆順で数珠繋ぎになっている意味を理解した。つまりは、行きのとき始発の署であったところから順に降ろしていくということなのだろう。この平等性には文句のつけようがないけれど、そうするとM署に着くまでまだまだ時間がかかりそうだ。 どこまで行くのかなあ . . . 本文を読む

ブタ箱物語(23)

2017年02月20日 | ブタ箱物語
逃亡者がいないことの確認がようやく終わる。時間にしたらそれほどでもないのかもしれないが、退屈しているから非常に長く感じるのだ。そして、護送バスの発車していく順序があるのだろう。今度は各警察署名と個々の囚人番号が呼ばれることになる。そして呼ばれた順に房から出され、中央に一列に並ばされる。被疑者の側は全員無言だ。お帰りの際に騒いでもどうしようもないよな。全員が並び終えると、手錠をはめている手を右側(か . . . 本文を読む

米国連邦刑務所声紋認識事情

2017年02月19日 | 出版
本日も「ブタ箱物語」はお休み。近日出さなければならない某ミニコミ用に送られてきた原稿の入力が終わったので、これまた勝手に転載。後半部、〓マークばかりにしているの少々わかりにくいと思うが、苗字には従前新字を使っていた著者が、最近になって旧字(異体字?)を強制されているという話を記している。おかげで、こちらもこの著者に差し入れを郵送するときなど、かなり面倒な思いを強いられている。日本って、バカな国だと . . . 本文を読む

友人からの最後の手紙(?)

2017年02月18日 | 出版
今回(明日も?)、「ブタ箱物語」はお休みします。極北の地にいる友人からの最後の手紙の入力が終わったので、そちらを勝手に転載。その入力も大変なので、その友人が早くパソコンを扱える状況となり、4月からはメールでやり取りできることになることを願っています。(腹巻おやじ)  今年オオイヌノフグリ第一号は、1月31日に発見です。  春はもうすぐだと浮かれ気分でいたら大寒波。各地で大雪だそうです(ここは雪が . . . 本文を読む

ブタ箱物語(22)

2017年02月17日 | ブタ箱物語
そのうち、ケツが本格的に痛くなってきた。次にパクられるときに備えて、ケツの皮とツラの皮は厚くしておかねばならないなあと、しみじみ思う。もしくは、丹田で全体のバランスを取る座り方を習得しなければ、長時間の待機に耐えられないことだろう。しかし、丹田ってどうやりゃ鍛えられるのかを知らない。 小生は中学生のときに腰を痛めたことがあり、そこである病院に行ったら、「そもそもおまえの姿勢が悪いんだ」と医師に指摘 . . . 本文を読む

ブタ箱物語(21)

2017年02月16日 | ブタ箱物語
小生が着席するやいなや、担当の検事がおもむろに口を開いた。 「このあと、検察庁から出頭の命令があった場合、あなたは必ず出頭すると約束できますか?」 瞬間的にさまざまなことが脳裏を巡る。まずは「ああやっぱり、釈放だな」と理解する。次に、妻の署名捺印のある身元保証書も提出しているのだから、命令に背いて出頭しなかったら妻にまで累が及び、そうすると我が家は経済的に行き詰ってしまう。したがって、出頭命令を拒 . . . 本文を読む

ブタ箱物語(20)

2017年02月15日 | ブタ箱物語
シャバに出てから数週間後、仲間内で酒を飲んでいるとき、弁護士のWさんに、 「逮捕されてなにが一番大変でした?」 と聞かれたので、 「いやあ、送検されて地下の房で待たされているときが、ほんとつらかったですね。一日中なんにもすることがないし、そのうちケツが痛くなってくるんですよ」 と答えたら、 「それはほんと、みんな言いますねえ。しかもそれだけ待たされて、検事は聞きたいことだけ聞いて十数分で終わりで、 . . . 本文を読む

ブタ箱物語(19)

2017年02月14日 | ブタ箱物語
検察官の前に到着すると、手錠をはずされたんだっけな(記憶は不確か)。小生の右後方ではまだ若い女性の検察官が、被疑者に詰問している声が聞こえてくる。正義に燃える奴ってなんだかいやだなあと、その被疑者に同情してしまった。腰縄はつけられたままで、小生を誘導してきた警官は、小生を事務机の前に座らせてから、本人も小生の後ろの椅子に座った。検事に飛びかかることのないようにという配慮なのだろう。 小生の目の前に . . . 本文を読む

ブタ箱物語(18)

2017年02月13日 | ブタ箱物語
12:00前、朝もレクチャーした若い警官がコントロールルームのようなところから出てきて房に近づき、お昼ご飯についての説明が始まった。曰く、食事の間は片手錠とする。食べ残すときは、全部用意する袋に捨てること。決して持ち帰ったり、隣の人にあげてはいけません。常備薬を服用している人にはいまから配布するので、待っていてください。云々かんぬん。 片手錠とはなにかを説明するのを忘れていた。通常、手錠は両手には . . . 本文を読む