淋しがりやのサボテン

サボテンまで枯らしてしまう人　と云う表現を　主婦はよくします。




　淋しがりやのサボテン


マンションのベランダに
置いたサボテンが

部屋に向かって
巨大化しました

「お陽さまは
　あっちよ」

鉢の向きを変えても
いつの間にか

エイリアンの頭の形


一軒家に越してきて

庭に置かれたサボテンは
人の声が恋しくて
恋しくて


とうとう
死んでしまいました




サボテンさん　気付いたのが遅くて　ごめんなさい。




　　　　　　　　風呼ｒ　でした　　　　　　



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赤いチロル帽の徳永さん

隣から越してきました。

どうぞ何かお持ち下さい　と　徳永さんの　息子さん夫婦に言われました。

他人の方が　処分しやすいだろうと　隣なので大きなものを戴いてきました。

家に来た途端から　馴染んでいます。





　赤いチロル帽の徳永さん


隣の徳永さん
お出かけ

出勤時間帯に
お出かけ

登山靴を履いて
ズボンを穿いて

リュックを背負って
お出かけ


87才の徳永さん
お出かけ

青春とくとく切符で
お出かけ

「もう年なので
　昔の登山仲間と
　ハイキング、
　ゆっくりゆっくり
　歩きますの」


隣の徳永さん
お出かけ

二泊三日の
お出かけ


足取り軽く


赤いチロル帽が
チャーミング



　
遺影は　ちょうどこの頃のもので　色白で面長の　上品な佐賀女。　
「士族でございます」　　慎ましい声が甦ります。



　　　　　　　　　風呼ｒ　でした　　　　　　




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