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ボレロ は 1928年、フランスの作曲家 ラベヴェルによって作曲された バレエ曲です。
四分の三拍子の同一のリズムで 二種類の旋律を繰り返し フルートを始め 楽器がだんだん重なっておよそ15分間 演奏されます。
1980年、この映画 ジョルジュ・ドン が踊り、世界を席巻しました。
クロード・ルルーシュ監督は 1873年生まれのアメリカの作家、ウィラ・キャザーの言葉を映画の冒頭で述べています。
人生には 二つか三つの物語しかない。しかしそれは
何度も繰り返されるのだ.そのたび毎に初めての時の様な
残酷さで。
ボレロの二種類の旋律でこの言葉を表現したかったのでしょうか。
物語は バレエダンサー ヌレエフ、シャンソン歌手 エディット・ピアフ、指揮者 ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・ミラー の四人をもデㇽに1938年から 第二次大戦を挟み 1980年までを描いています。
なのに主人公は ユダヤ人の メイエ家だ。
ピアニストだった夫はガス室送り、収容所から辛うじて戻った ヴァイオリニストのアンヌ・メイエは 捨てた息子を探し回る。
戦後、ニューヨークでの成功を夢見る カラヤンは 公演切符をユダヤ人に買い占められ 評論家2人だけの観客ボイコット状態で演奏をする羽目になる。 新ナチの過去を暴かれたのだ。
グレン・ミラーの 最愛の娘、歌手のサラは 母親を交通事故で亡くし 悲嘆のどん底の状態だ。
あら、エディット・ピアフは何処? と思ったら、歌手ではなくキャスターに成りあがっていた。
チャリティの名目で 1980年、パリ エッフェル塔を望む モンテカルデ広場に集う。
カラヤンの指揮、ルドルフの踊り、サラの歌 での 圧巻のボレロ。
ピアフは キャスターなのでプロデューサーとして。
これだけで5家族です!
人生には二つか三つのパターンしかないにしては その他にも この家族以外の第二次大戦上における死が取り扱われたり、アルジェリア戦争が出てきたり 焦点が定まらない。
ルルーシュ監督は ユダヤ系なので 省けない部分が多いのかもしれません。
あれっ、この人さっき死んだんじゃなかったけ!
人物の区別がつけにくいのは 私が老いたからかと思ったのですが 同じ俳優が母娘、父息子を演じていると判明。
混乱するはずだ。
と いう訳で 登場人物を整理すために もう一度見る羽目に。
ジョルジュ・ドンの踊りが素晴らしかったから まあ いいか。
by 風呼
2000年に刊行された ドウス昌代さんのノンフィクシォン、『 イサム・ノグチ 』
イサム・ノグチの母親の生き方に深く感動された 松井久子さんの 制作・脚本・監督の 日米合作映画です。
レオニー・ギルモアは NYで 日本人留学生の野口米次郎に 英文の添削にやとわれます。
レオニーは 米次郎の感性をよく理解しその英文を見事に補筆、 米次郎は文壇で脚光を浴びるようになります。
やがて レオニ―は米次郎の子を身ごもりますが 米次郎は帰国。
イサムの生まれた1904年は 父親のいない子には厳しい時代でした。
母と妹と共に レオニーは知り合いのないカリフォルニアの田舎へ 移り住みます。
アメリカで名を挙げた米次郎ですが 帰国をしたものの 英文にはレオニーの補筆が必要でした。
米次郎は レオニーを日本へ呼び寄せます。
妻として来日したつもりのレオニーでしたが 米次郎は日本人と家庭を持ちます。
米次郎から離れ、英語を教えて レオニーは生計を立てます。
やがて生徒の一人の日本人との間に アイリスと名付ける娘が誕生。
その父親の名を レオニーは生涯明かしませんでした。
未来あるエリート学生だったと思われます。
イサムの美への天分を見抜いたレオニーは アーティストとして育てることを決意、13才のイサムを単身アメリカに行かせます。
100年前の 自立した女性の話です。
貧困にめげず 誇り高く生きる様を 情感たっぷりな映像で見せてくれます。
レオニーに エミリー・モーティマー、米次郎に 中村獅童、レオニーを助ける小泉セツ(八雲の妻)に 竹下景子、アイリスの父と思われる学生に 柏原崇、上半身裸で黙々とノミをふるう 晩年のイサムに 勅使河原三郎。
柏原崇の純情と イサム・ノグチが乗り移ったような勅使川原三郎の表情が 印象に残りました。
by 風呼
ジャズの名曲 ” ペーパームーン ” に ♪It's a Burnum and Bailey world ~ ♪ という
フレーズがあり それは 巨大にエンターメンテイト化されたサーカス団の事であると知りました。
象を20頭も抱え、従業員は1400人、1872年から2017年まで 専用列車で全米各地の都市を興行して回りました。
この映画はその バーナムとベイリーサーカス団がモデルだそうです。1952年公開。
チャールストン・ヘストンが団長。
団長の恋人で 空中ブランコ乗りのベティ・ハットン。
1950年、映画 ”アニーよ銃をとれ” で ジュディ・ガーランドの代役に起用、
そのスタントなしの熱演が評価されました。後にブロードウェイの女王と
呼ばれる、舞台でアニーを演じた エセル・マーマンに潰されます。
20頭の象の行進。
訳あってずっと道化メイクの J・スチュアート。
戦前にアカデミー主演男優賞も取っているのに 素顔での出演は一葉の写真だけです。
エリザベス:テイラー主演の映画 ”クレオパトラ” に比する 人海戦術の大スペクタクル。
もう見ることのできない 大大サーカスに目が釘づけです。
by 風呼
ご存じ歌舞伎十八番の内 『勧進帳』です。
大河内伝次郎の弁慶、志村功、森雅之、強力にエノケン(榎本健一 昭和の喜劇王)というので 見てみました。
勧進帳の強力(ごうりき)といえば 源義経のこと。
深編笠の義経をエノケンがどう演じるのか興味津々だったのです。
が、エノケンは正真正銘の 義経一行にやとわれた強力役で 私の知っているひょうきんなエノケンそのもの。
土地の事情に詳しい強力は 七人の山伏が義経一行で 安宅の関でうち捉えるられると知っていました。
弁慶は七尺(二メートル余)もある乱暴な大男だと思っていましたので 自分が案内しているのが そのお尋ね者だと暫く気づかなかったのです。
七人 ?
はて 数えてみるに 義経と弁慶、あら 四天王ではなく五天王です。
歌舞伎ではきっちり四天王なのですが。
もともと能の『安宅』では 一行は十二、三人と 謡われているそう。
実際舞台に登場するのは 七、八人らしい。
この映画に登場するのは 亀井六郎、伊勢三郎、片岡八郎、駿河次郎、常盤坊海尊 です。
歌舞伎では 伊勢三郎か常盤坊海尊が ないらしい。
私が見た歌舞伎での勧進帳では 常陸坊海尊で いつも白髪の老人でした。
四人のうちひとりが老人だと バランスがいい。
志村喬は 片岡八郎、 森雅之が 亀井六郎です。
常陸坊海尊は 老人ではありませんでした。
1945年9月制作と タイトルにあります。
GHQを恐れた 東宝が 実際に公開したのは 1952年の 4月だったそうです。
大河内伝次郎が圧倒的な弁慶です。
志村喬も 森雅之も 義経役の岩井半四郎も 何処? というくらい霞んで見えます。
何で唐突に エノケンなのかな? スクリーンでも エノケンはエノケンにしか見えないし。
冨樫の振る舞い酒に促されて 弁慶より前に踊ったりして。
どじょう掬いのようだったりして。
大河内伝次郎の重厚さに 勝っているのは エノケンだけ。
ミスマッチそのもののキャスティングに思えるが 黒澤監督はそれが狙いだったのかも。
題名の ” 虎の尾を踏む男達 ” は 謡曲『安宅』のキリ(最後の部分)に 「関守の人々、暇申してさらばよとて、笈をおっ取り肩にうちかけ、虎の尾を踏み毒蛇の口を逃れたる心地して、陸奥の国へぞ下りつる」 から来ているらしい。
by 風呼
1980年に 韓国の光州で実際にあった 軍に対する民衆蜂起を映画にしたものです。
1979年に 独裁者朴正煕(パクチョンヒ。 1973年、金大中を日本から拉致帰国させた)大統領が暗殺され その後実権を握った全斗煥(チョン・ドゥファン)も民主化を恐れ戒厳令をしいて民衆を弾圧します。
町は完全にロックアウトされ 情報は軍の流す学生を始めとする民衆の暴動のみ。
一人のドイツ人ジャーナリストが 東京からソウルに飛び タクシーで光州に向かいます。
事情を何も知らない個人タクシーの運転手が 報酬目当てで ジャーナリストを運びます。
軍の 民衆に対する凄惨な仕打ちに 運転手も怒りがこみあげ ただ運べばいいと思っていたジャーナリストの手助けをするようになる。
光州の人々の この現実を世界中に知らせて欲しいという願い。
検問の通過は 出る方が難しい。
強行突破を助けてくれたのは 光州のタクシードライバー仲間でした。
1980年5月20、21日のほぼ2日間の出来事なのですが 金に困っている平凡な運転手が 自分の中の正義に目覚める。
実話をもとに 描かれました。 2017年の作品です。
ドイツ人のジャーナリストは 映画が公開される前年に亡くなりましたが 死ぬまで 決死の覚悟で自分を乗せてくれたこのタクシードライバーを探していたそうです。
彼は 再三の呼びかけにも 名乗り出て来ませんでした。
by 風呼
作者ハーパー・リーの自伝的小説 『To Kill A Mokinbird 』(ものまね鳥を殺すこと』が原作です。
1932年、人種差別の激しいアメリカ南部のアラバマのある町、 弁護士の父と 4才年上の兄と暮らすスカウトは6才。
母はスカウトが2才の時に亡くなったので 父の信頼する 黒人の家政婦に育てられました。
その夏、隣にディルという7歳の男の子が遊びに来ます。
ディルは両親が離婚したので 親戚中をたらい回しにされているのでした。
三人はすぐに仲良くなり ます。
反対側の家には ブーと呼ばれる引きこもりの青年がいました。
その正体をみきわめたくてこっそり庭に忍び込んだり タイヤの中に入って回ったり 三人の元気のいい遊ぶ姿が楽しい。
なぜか兄妹で アティカス と 名前で呼ぶ父は 翌年 白人女性暴行の罪で捕らえられた黒人青年の弁護を引き受けることになります。
何事にも 誠実に立ち向かう アティカスは 被害者の仲間の悪質な嫌がらせにも屈せず 任務を遂行します。
ディルも夏なので又隣の家に預けられていて三人は 黒人の牧師と共にこっそり2階の黒人席で裁判を傍聴します。
アティカスの弁護は成功したかに見えましたが 長い協議の末の白人の陪審員の判決は有罪でした。
被告が黒人だったからです。
ハロウィンの夜 アティカスとジェムが夜遅く帰路についていると 裁判の被害者の父親に襲われます。
危ないところを救ってくれたのは 不気味だと思われた 隣家の引きこもりのブーでした。
アティカスの 子供たちへの真の教育が 胸をうちます。
10才のスカウトの兄ジェムは 父親への尊敬と愛情で 勇敢に父をたすけます。
いつも胸当てズボンをはき お転婆で喧嘩っ早いスカウトも 少しづつ 成長していくのでした。
原作は1960年に出版され 翌年映画化されました。(ピリッツア―賞受賞)
人種差別を撤廃する 公民権法が出来たのは 1964年。
とてもアラバマでは撮影できないので ハリウッドにそっくりに町のセットを作り撮影されました。
7才の少女の視線で描かれた 分かりやすくも考えさせられる映画です。
大ぼら吹きのディルのモデルは トルーマン・カポーティ、二人は幼馴染でした。
by 風呼
映画は映画館で見るべきと思っている。
DVDは積極的に見ない口だが 友人がこの ”愛の嵐” を持っているというので 郵送してもらった。
昔 映画館で見て 印象に残っていたのです。
1957年、ウイーン。
ホテルで夜のフロント勤務についているマックスは ある日 客に見知った顔を見つける。
彼女は N・Yの有名な指揮者の妻だった。彼女も彼に気づいた。
マックスは第二次世界大戦中 ナチスの親衛隊で、収容所のまだほんの少女だったこのルチアを 弄んだのだった。
異常な状況下で築かれた二人の関係が 10年以上経て蘇ります。
抜き差しならぬ 二人だけのエロス。
ナチ狩りは有名ですが ナチ残党による 目撃者消しも あったのです。
マックスが仲間に言えば ルチアは消される。
ルチアが警察に行けば マックスは捉えられる。
極限状態に追い込まれた二人は 逃避行に出ます。
怖いような愛。
逃げ道はないのに。
セリフが少なく 抒情的な画面の多いこの映画は リリアーナ・カパーニ という女性監督が撮りました。
ビスコンティが絶賛したそうです。 1974年制作。
”The Night Porter" が 英語の題名です。
”愛の嵐” の方がいい気がする。
このDVDは プレミアものです。
by 風呼
先日読了したカポーティの小説 ”冷血” の 制作過程が描かれています。
カポーティが憑依したといわれる シーモア・ホフマン は この作品で アカデミー主演男優賞を取りました。
敬虔なメソジスト教信者の住む穏やかなこのカンザスの田舎の村で 何故こんな残忍な殺人事件が起こったのか。
犯人たちに 有能な弁護士を カポーティは雇い、刑の執行を延び延びにして本人達に接見し犯罪の真相に迫ろうとします。
犯人の一人、チェロキーインディアンとの混血の ペリーの生い立ちに自分を重ね、友情とも同情とも言えない気持ちにもなります。
犯人たちは 本が発売されると自分たちは同情され 死刑は免れるのではないかと 微かに期待もするのですが カポーティのこのノンフィクション小説は 二人の死刑執行で 完結に決まっているのです。
1959年11月に起きた事件の犯人は その年の暮れには捕まり すみやかに死刑執行されるはずでしたが 結局5年半の後になりました。
殺人の実行犯のペリーが なかなか真相を話さなかったからです。
ペリーが話した途端に カポーティは弁護士の手配をやめます。
始めの頃の取材には ネルという女性が同行します。
ネルはこの取材同行の後 ”アラバマ物語” を書いて一躍有名人になります。
ネルの幼いころを描いた ”アラバマ物語” に出てくる遊び仲間の嘘つきのディルは カポーティがモデルだそうです。
ネルを演じた女優さんがとてもいい。キャサリン・キーナー と云うそうです。
先に”冷血”を読んでいたので よく分かりました。
映画も面白かったです。
by 風呼
丁度一年前に 日本で公開された映画です。
去年、私は映画館で観ました。
1958年のニューヨークでのインタビューを軸に カラスがしたためていた自伝と多くの友人との400通にも及ぶ書簡、未公開の私的な動画等を使い 全編、カラス自身の言葉で綴られています。
1923年、ニューヨークでギリシャ移民の子として生まれる。
マリア13才の時、両親の離婚により母親、姉と共にギリシャに帰国。
年齢を偽って 17才から入学の音楽学校に入学。
良き師に出会い誰よりも研鑽に励む。
1947年、28才年上の実業家に見いだされ、妻となる。
1953~1954年の40キログラムの減量で 世界のプリマとして名をとどろかせる。
その言葉は正直です。
DVDが出たら 買うぞと思いました。
DVDは出たのですが used がなかなか出ないので 先日、定価で買いました。
ざっと見て 誰かと一緒に見たいと思いました。
カラスの観客に 有名人がいっぱい訪れていて 私一人では半分も認識できないからです。
で、6才年長の姉と一緒に見ました。
二度見た私と 初見で目も耳も画面に釘付けの姉とは 当然視点が異なるので 私が望んだ会話は 後日、姉がもう一度見てからとなりましたが、
あっ、ブリジット・バルドー とか
ジャン・コクトー だよね とか
カトリーヌ・ドゥヌーブ
亡くなったお姉さんと一緒 とか
こちらも 姉妹ですね とか
やっぱ 絶世の美人だよねとか
映画館では出来ない わいわいがやがや言いながら 見たいものです。
まだまだ後を引いている
風呼 でした
ジョーカーとは アメリカンコミックスの 『 バットマン 』 に登場する バットマン最大の敵役。
スーパーヴィラン(super villain)と呼ばれる 超能力や化学を駆使する犯罪者です。
化学物質のタンクに落ち 緑の髪・裂けた赤い唇・真っ白の皮膚となりました。
ピエロを生業とするアーサーは 脳に損傷があり 緊張すると笑いが止まらなくなる病気で 皆に気味悪がられています。
彼の住む街は 行政が乱れ、貧富の差が激しく、清掃業者によるストライキでゴミだらけになっている。
アーサー自身も 予算カットにより薬も貰えない。
貧者はより弱いものに鬱憤を晴らし アーサーはその餌食になります。
ある日ピエロの同業者から 一丁の拳銃を譲り受けました。
本人の望むところではなかったのですが。これで身を守れと。
地下鉄で酔ったエリートたちに絡まれている女性を助けるが返り討ちに逢い、3人を撃ち殺してしまいます。
ピエロのなりをしたのが 殺人者だ。
貧者の鬱憤が 殺人者をヒーローにしたて 市政に対する抗議集会が開かれます。
その集会に行く人の殆どがピエロの扮装をしている。
場末の劇場でのアーサーの 滑りまくったスタンダップコメディが逆受けして アーサーは憧れのTV番組にTV出演することになります。
素顔のアーサー
ピエロのメイクで
踊りながら TV局に向かう
薬を飲めなくなったから正気に戻った ?
ピエロ姿のアーサーのハンサムな事 !
そして そして 物語は思わぬ方へと。
きっと 映画史上に残る 傑作です。
11/7 観
風呼 でした