昨日終わったNHK連続テレビ小説 「花子とアン」 で主人公の
”花子” より より強烈に描かれた ”蓮子” の一生を描いた
伝記小説です。 1998年初版。
藤原北家に繋がる 公家の中の公家、 柳原家に生まれた}[火華]子
(あきこ)は 妾腹の子であるがゆえに10才で北小路家の養女と
なります。 それは嫡子資武との婚姻を意味していました。
7才上の資武は 学力に問題があり 粗暴で あき子は忌み嫌って
いましたが 15才で犯され結婚、 16才で母になります。
資武に 「妾のこのくせに」 と言われ 初めてあき子は己の出自を
知ったのでした。
「白蓮れんれん」 の小説は 初めは あき子の二度目の結婚相手
伊藤伝衛門の 年の離れた異母妹、初枝の視点で描かれています。
初枝はあき子を慕い、 嫁いでからもしばしばあき子と行動を共にしてい
ました。
物語の後半は あき子の伝記のようになっています。
未発表だった 700余通の あき子と宮崎龍介との書簡を手にした
林真理子さんの興奮が 伝わってくるようです。
この本の中で私が改めて知ったのは あき子は龍介との第一子
香織の前にも身ごもっていて 龍介にも内緒で 子を堕していること。
村岡花子流に云えば 香織を戦争で失ったのは それが起因かも。
私の亡き母は 昭和30年代、 晩年の白蓮に会い、色紙を揮毫して
貰い(有料。 夫龍介が病床にあり 全国行脚していたらしい) 俳句を
詠む母は その色紙を後生大事にしていました。
そんなこんなで 私も小さいころから ”白蓮” さんをよく知っていました。
ちょっと ”白蓮” さんについて調べてみて NHKのテレビ小説でも この
「白蓮れんれん」 の小説にも出てこなかった事実を 挙げてみます。
柳原[火華]子は (1885年10月15日生まれ 1967年2月22日没)
母は柳橋の芸者ですが 大久保彦左衛門の末裔で 父は咸臨丸で
外国奉行を務めた 新見豊前守正興という れっきとした幕臣です。
家の没落に伴い 姉と共に芸者に売られました。
始めの結婚で成した 巧光は 長じてあき子とたびたび会います。
結婚前の 龍介との連絡係も務めます。
柳原家と縁続きの北小路家は 名家でしたが貧していて、 巧光
の学費は 伊藤伝衛門が出したそう。
夫は 舅が妾腹に産ませた子でした。 そのせいか あき子は
婚家の姑に可愛がられ ここで姑に 短歌を習いました。
巧光も 歌を詠みました。 歌集もあるそうです。
幼かる淫売抱き名を問えば
母と同じき あき子と答ふ
父を憎み家出しわれ生臭き
その同じ手に 今は墓を洗う
巧光の歌です。
by 風呼