30年前、誤って恋人の妹を轢き殺してしまった15才のヴィンセントが30年の刑期を終えて出所してくる。
本来の刑期は10年だったのだが 刑務所内で正当防衛とはいえ殺人を犯してしまったので20年延びたのだ。
カリフォルニアの別荘地が建ち並ぶ 小さな保守的な町ケイプ・ヘイブン。
長年警察署長を務める(警官は彼一人)ウオークはヴィンセントの幼馴染で
ヴィンセントが事故を起こして逃げた時 自首を促さず通報した。
彼の正義感がそうさせたのだが ヴィンセントが15才にして成人刑務所に入れられるきっかけにもなった事が 今では負い目になっている。
ヴィンセントの出所後、かつての恋人 スターが殺されその現場に彼がいた。
再び逮捕されるが 彼は何も語らず弁護士も拒絶する。
このままでは彼は死刑になる。
ウオークの度重なる説得に マーサなら弁護してもらいたいと伝える。
マーサはかつてのウオークの恋人で 今は他州で主に離婚や親権を扱っている弁護士だ。
30年前、ヴィンセントとスター、ウオークとマーサはつるんで行動していた。
事故さえなかったら 今では家族ぐるみのつきあいだっただろう。
殺されたスターは2人の子供があるシングルマザーだった。
怪しげな店で歌手まがいの事をしながらそれでも大切に子供を育てていた。
言いよる男は数知らず。 容疑者は他にいるとウオークは確信している。
群像劇のようなもう一人の主人公は 母親の美貌を受け継いだスターの娘、13才のダッチェスだ。
狭い世間でさまざまな差別を受けて彼女は5才の弟ロビンをいつも守っている。 悪態をつき暴力を振るい自らを無法者と名乗って。
母の死で モンタナに住む祖父に引き取られ 農場で暮らしていたが その祖父が何者かに撃たれて死んだ。
施設に預けられた姉と弟。
ある日祖父の農場から銃を持ち出し ダッチェスは一人 はるばるケープ・ヘイブンに向かう。
原題が「WE BEGIN AT THE END」 とあるように物語は終始暗い。
それでも先を急いで読んだ。
最後はそう来たか。
思わぬ人が犯人で ダッチェス姉弟の父親も判明する。
熱読したのに ご都合主義の結末にちょっと落胆。
14才になったダッチェスが 無法者であり続ける事に期待して
by 風呼