町の産業だった炭鉱と造船所が それぞれ閉鎖、縮小され さびれていく海炭市。
郊外型店舗への開発に 姿を変えていく1980年代後半の函館市をモデルにした 佐藤泰志の小説の映画化です。
18のエピソードから主に5つ、 オムニバス風に描かれています。
炭鉱の事故で親を亡くしひっそりと生きてきた兄妹、 兄27才、失業中の2人が家中の小銭をかき集めこの町の象徴の山というより丘に近い山頂に 初日の出を拝みに行きます。
帰りのケーブル代が足りなくて 兄は歩いて山を下りて行き 滑落、 死亡します。 遺体は山の急斜面に引っかかり 海に落としてから回収される 「何であんなところで遭難?」 と人々のうわさになります。
プロパンガス屋の二代目は浄水器を売ろうとするのですが 上手くいかない。 同級生と浮気をしていてやはり同級生の二度目の妻に知られ 前妻との息子を虐待されている。
行き場所のないガス屋の息子はプラネタリウムに足しげく通っていて プラネタリウムのおじさんに特別に星座の本を貰った。 望遠鏡が欲しいが 誰にもねだれない。
そのプラネタリウムの小父さんは 妻が夜の商売を始めたのが気に入らないが 言えずにいる。 高校生の一人息子にも 優柔不断さに愛想尽かしされている。
皆が乗る路面電車。
初老の運転手が 墓参りに行くと 浄水器の促進販売にきた男と出会います。 二人は父子でした。 実家には寄らないで帰っていく息子との短い会話。
プロパンガス屋も 子供を実家に預けに行くのに乗っている。 父とはあまりうまくいっていないのですが。
豚ばあさんは頑として立ち退きに応じません。
彼女は繁華街には行かないので路面電車にすら殆ど乗ったことがありません。
暫く行方不明だったネコが孕んで帰ってきました。
何ぼでも産めや。 面倒はみたるで。
低めの目線の映像、 最小限の科白 が 傍観者をエピソードの中に引き込みます。
by 風呼