ピカソ・マニマニア

ピカソの91年を 詩にしました。
カテゴリーのピカソを クリックして下さると 嬉しいです。

青い蝶

2020-04-29 15:27:26 | 詩作

         ( 一枚の絵に )

 

   青い蝶

 

萎びた 

二本の 花

 

枯れかけた

一枚の葉っぱ

 

青い蝶は

思う

 

いま

この空間でなら

 

まだ 私は

翔ベるかも知れない

 

額縁から

飛び出せるかも知れない

 

 

” Funeral Fly ”

 

 

 

        by  風呼     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

" ティファニーで朝食を ”   カポーティ著

2020-04-16 18:34:18 | 

 

1958年、カポーティが34才の時の作。

 

2008年、新潮社より発刊された村上春樹訳の表紙です。

ティファニーブルー。

ティファニーブルーは コマドリの卵の色だそうです。

 

 

オードリー・ヘプバーン主演で1961年に 映画化され、世界中で大ヒットしました。

カポーティは マリリン・モンローの主演が良かったそうです。

モンローの方がより謎めいたかも 。

 

自由奔放にニューヨークの社交界を つまみ食いしているような 20才のホリーという娘が トラブルに巻き込まれ 崇拝者たちの前から姿を消す。

 

映画では 書き手の青年と結ばれそうな結末ですが、小説の方は 行方不明のままです。

ホリーにそっくりな若い女性の頭部のアフリカの彫像の写真を かつての崇拝者のひとりがみつける。

ホリーはアフリカにいるのか ?

 

ホリーには兄がいたのですが 戦争で死んでしまいます。

浮浪児のようだった2人を(まるで傷ついた野生動物のように)養ってくれた ドグ(獣医)の元に 

巻き込まれた事件のほとぼりが冷めたら戻っていくような気がします。

 

大好きだった兄との思い出が語れるのは ドグだけでしょうから。

 

思い出、特に肉親に関してを 共有している人の存在は 何物にも代えがたい。

 

 

 

     by   風呼       

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

” 遠い声 遠い部屋 ”   カポーティ著

2020-04-14 19:05:44 | 

 

トルーマン・カポーティは 1924年生まれ。

21歳の時、処女作 ”ミリアム” で О・ヘンリー賞を受賞。

幾つかの短編の後、20才から2年の歳月をかけて 初の長編小説であるこの ”遠い声 遠い部屋” を書きました。

 

母親に先立たれた13才のジョエルは 別れた父親の元に引き取られることになった。

ニューオーリンズという都会から アラバマのヌーンシティという交通手段もままならない田舎町へ。

母を一緒に看取ってくれた叔母は良くしてくれたが彼女にも5人の子があったのです。

 

NOON とは正午のこと。

ニューオーリンズ時代が午前だとすると アラバマ生活からは 午後ということになります。

そんな少年から大人へと脱皮する 丁度境目のNOONの ジョエルの成長物語となっています。

 

が、話はてんこ盛りで 一回読んだだけでは分かりません。

 

ジョエルが引き取られたのは 奴隷制度時代に栄えた 父親の再婚相手の家でした。

再婚相手の喘息がちの従弟が同居し 昔この家の奴隷だったと思われる100才くらいの黒人とその孫娘が使用人としていました。

やっと会わせてもらえた父親は 廃人同様でした。

 

父親の再婚相手の従弟の 35才くらいのランドリフという人物は 若いころ、世界中を旅していました。

ジョエルの父親を巻き込んでのいざこざで 病弱の身を横たえ、

ジョエルの父親とともに 父の再婚相手の世話になっています。

美意識が強く 女装癖があるランドリフは 未来カポーティの姿のようです。

 

 

 

そういえば 

『未来は 過去の中にある』というフレーズが繰り返し出てきました。

 

       by    風呼       

       

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さよなら 関根潤三さん

2020-04-12 15:21:15 | エッセー詩

 

一時期 ラジオで

プロ野球中継をよく聞いていた

 

局は テンポのいいアナウンサーの喋りの

ニッポン放送

 

解説者のお気に入りは

関根潤三さんで

この人の

「 次は なになにですね~ 」は

必ずその通りになった

 

享年 93才の 大往生

 

最後のラジオ出演は

4年前だそうで

89才 だった!

 

私は 多分聞いていた

 

次の出演は何時? だろうと

楽しみにしていたのだが

 

次はなく

私は だんだん野球中継を

聴かなくなった

 

 

「次は こうなりますよ 」

貴方の的確で温かい言葉を

私は ずっと 忘れません

 

 

 

 関根さんの(本当の)誕生日は 1926年12月25日だそうです。

 始めはピッチャーで 元祖二刀流だそう。

    2020年4月9日没

 

 

      by   風呼       

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

理想のリュックサック

2020-04-10 07:33:52 | エッセー詩

 

ゼブラ柄の

ヒップホップシューズが

欲しかった

 

インストラクターが

履いているような

 

やっと

手に入れた

 

専門店でしか

買えなかったのだ

 

 

シンプル でも

安っぽくない

リュックサックが

ずっと欲しかった

 

ジム通いに使うので

ヒップホップシューズが入るのが

最低の条件

 

あらゆるカバン屋を除いたが

みんな 大きすぎ ごつすぎる

 

あるセレクトショップで見つけた

何気に 高い壁に掛かっていた

わたしの好きな ネイビーブルー

 

さあこれで準備万端

思い通りのジム装備

 

このコロナ騒動で

ジムも閉鎖 !!

 

 

何だかいつも

やる気になった途端

継続不能になるような

 

 

 

    by  風呼     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

” 感謝祭のお客 ” トルーマン・カポーティ著

2020-04-08 00:32:53 | 

この作品も 作者の自伝的要素が強い。

1956年作の ”クリスマスの思い出” から10年後の作だ。

 

作者自身と思われるバディの 祖母ほどに年の違う親友は ミス・スックと名がついている。

ミス・スックは 若いころの長患いで 背中は曲がり とてもシャイだ。

 

感謝祭の日には 七面鳥を5羽用意しないと足りないほど ミス・スックの家には 一族が集まる。

ある年、ミス・スックは バディの天敵を招待した。

バディの意図に反して 天敵はやってきた。

彼がミス・スックの大事なものを盗んだのを目撃したバディは 皆の前でそれをばらす。

ミス・スックはその確認に行き ちゃんとある と証言する。

それを聞いた天敵は ポケットから盗んだものを出して その場を去っていく。

 

皆の前で彼に恥をかかせようとした狡猾な自分をさらけ出すのに カポーティは 10年かかったのですね。

 

ミス・スックのような 本当の ひと に 10才にもならないうちに出会ったら どんな女性の嘘も見抜き 安易に女性を愛せなくなるでしょう。

 

天敵オッド・ヘンダーソンが盗んだのは カメオのブローチです。それは父親が買ってくれた ミス:スックの唯一の宝でした。

カメオのブローチは ”ミリアム” では彼女に取られ、”クリスマスの思い出” では これを売ったらバディが欲しがっている自転車が買えるかしら~ と出てきます。

 

 

      by   風呼      

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

" クリスマスの思い出 ” トルーマン・カポーティ著

2020-04-07 18:47:21 | 

 

”感謝祭のお客” と並び、カポーティが アラバマ州の田舎で育った 6才から10才までの自伝的作品です。

 

バディの親友は 秋の気配がすっかり失せたころから クリスマスの30個ものフルーツケーキ作りに取り掛かる。

バディはこの家へ預けられている。 

親友は従姉妹なのだが 60才は越えていてバディの祖母のようだ。

 

テリアのクイーニーと三人は 森へピーカン(クルミのような木の実)を拾いに行ったり 一年かかって二人でためたお金を持ってケーキの 材料を買いに行ったり、とびっきり立派なクリスマスツリーを伐りにいったりする。

荷車は バディの使っていたおんぼろの乳母車だ。

ある時は (禁酒法時代だったので)ちょっといかがわしいインディアンの経営する店にこっそりウイスキーを調達に行った。

強面の大柄な店主は にっこり笑って 酒代にフルーツケーキが欲しいといった。それから ケーキ作りは31になった。

 

バディの親友は 若いころの長患いで 腰がひどく曲がっていて とても内気だった。

なのに何で30個ものケーキを作るのか。

 

親友は 例えばローズベルト大統領のように 一度も会ったことのない人にも 彼女の琴線に触れた人にフルーツケーキを送るのだ。

そしてその誰からもお礼状が来る。

 

バディが母の家に引き取られてからは ニューヨークに送られてきた。

一番よくできたケーキだった。紙に包まれた10セントは 彼の映画代だ。

親友は一度も映画を見たことがなかった。映画を見た彼から その内容を聞くのを楽しみにしていた。

 

テリアのクイーニーも死んだ。

13日は縁起が悪いと ベッドから降りなかった親友が 13日以外にも起きない日が多くなり

11月のある朝、訃報が届いた。

電報が届くずっと前にバディにはわかった。

 

 

 

     

     クリスマスプレゼント

 

ごめんね

今年もクリスマスプレゼントは

手造りの凧

 

あら わたしもよ

と 親友は言う

 

よくできているわ

と 親友が言う

 

親友の凧は

ずっとずっと素敵だ

 

二人で

広場に駆けていく

 

親友は 

凧あげの名人

 

風がなくても

誰よりも高く揚げることが出来るのだ

 

 

 

1956年に発表されたこの ”クリスマスの思い出” には 親友の名前は明記されていません。
1967年の ”感謝祭のお客” には ミス・スック とあります。

 

 

この物語は カポーティの葬儀で 友人のジョーン・カーソン(彼女の家で亡くなった)によって朗読されたそうです。

 

 

     by  風呼     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

" ミリアム ”  トルーマン・カポーティ著

2020-04-06 00:31:56 | 

 1924年生まれのトルーマン・カポーティーが20才そこそこで書いた 処女作です。

 

61才の身寄りのないミセス・ミラーは 夫の残してくれた保険金で つましく暮らしている。
ニューヨーク、ある雪の日 ミセス・ミラーは映画館で 10才くらいの少女に出会う。
名前は偶然にも ミセス・ミラーと同じ ミリアム。子供なのでチケットが買えないと お金をさしだした。
雪が降り続いた週末、夜遅くに ミリアムがミセス・ミラーを訪ねてきた。パンと牛乳を与えて 追い返したが・・・

 

ミリアムはミセス・ミラーの妄想なのか?
一度読んだだけでは良くわからなかった。

 

17才でトルーマンを産んだ母親は 自分の望みを叶えるために 未婚の4人の従兄妹に彼を預けた。

母親ではなく カポーティの従兄妹たちなのだが 4人ともに曽祖父母の年齢だった。

預けられた6才から 再婚した母にひきとられる10才までを アラバマ州の片田舎で暮らす。

四人の中で一番下の従姉妹との友情が この作品の下敷きになっていると思う。

60才は越えていた彼女は軽い障害があったが とても純真な心を持っていた。

 

新潮文庫の『夜の樹』という短編集には この”ミリアム”の他に8作品が載っています。

後書きを含め 全部読んだら 全体像が見えてきたので もう一度”ミリアム”を読みました。

 

”ミリアム”から20年もたって書かれた ”感謝祭のお客” に 彼の生い立ちのヒントがたくさん隠れていました。

病気の為に背中が丸くなり 人目を避けるように生きてきたミス・スックは(カポーティと思われる)バディの一番の友だった。

10才の時、アラバマからニューヨークに住む母親に引き取られてもバディは その従姉妹をずっと気遣っていた。

バディは ”ミリアム”になって 晩年のミス・スックに寄り添いたかったのだと思うのです。

 

 

      by   風呼       

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする