昨3月28日は 月一度の ”吾妻鏡” 購読の日でした。
巻九 文治五年巳酉(1189年みのとり)
奥州に逃げた義経と通じる家来を持つ 藤原朝方(ふじわらのともかた)
の処遇を巡り 頼朝と後白河法皇との のらりくらりの公家問答。
藤原朝方は 身分は高くはないが後白河法皇の側近でした。
頼朝のせかし
君に申し上げ候はば、 たかき人をもいやしき人をも、 わたくしをうらみ
候事は候わず候。 いかに候とも 云々
法皇様に申しあげておりますのは 身分の上下を問わず 私事の恨み
ではございません。 と 候(そうろう)文が続きます。
とうとう 義経征伐の 宣旨が出されるか と思っていたら 藤原基成(ふじ
わらのもとなり)の館にかくまわれていた義経を 泰衡が襲います。
藤原基成は 源氏方の人で 平治の乱(1160年 源平戦 源義朝敗)の後
奥州に流されていました。 基成の娘は 泰衡の母です。
頼朝がよっぽど怖かったのでしょうね。
”吾妻鏡” によれば 義経はまづ22才の妻と4才の娘を害し、 次に自殺す
とあります。 ”義経記” によれば 妻子は家来が殺したとあるそうです。
享年31. 1184年に左衛門少尉に任じられ 後白河法皇の引き立て
(陰謀?)により あれよあれよという間に 昇殿を許される身分になり
解官され追われるという 電光石火の如き 1年余でした。
あっけなく 義経は死にました。 最後まで女がいたんですね。
さきの後白河法皇の側近の 藤原朝方は いったん罷免され 再雇用され
ます。 双方の顔を立てる シャンシャンシャンの お手打ちです。
風呼 でした
最近 我が家の庭から ヤモリが消えた。
いのち繋ぐ生
ちょっとー そんな所に
巣を作らないでくれる?
水道のメーターの横
わずかな隙間から大きな蟻がぞろぞろ
小さな運動場
巨きな体を維持するため
一日8時間 餌を食べ続ける
動物園の象
ひよどりに遠慮しながら
生きている雀も
川の浅瀬のサギも
食べられた魚も
いのちを繋ぐためだけに
生きているのに
何故に 人だけ
繁殖という結果なくしても
ひとを恋うるのか
北隣2軒は 庭に 植物が生えない白い石を敷き詰めていて
南隣2軒は 除草剤を撒いている。
かつて 我が家の小さな庭に 銀色のヤモリと 金色のヤモリがいて
それぞれ 光一くん タッキーと呼んで 仲良くしていたのだが。
風呼 でした
またしても NHK朝ドラ 『カーネーション』 の絶妙の配役、 晩年の
奈津役に 江波杏子さん。
優れた俳優さんには 強い磁力があります。
TV画面では とても素敵でも 実際に見るとそうでなかったり。
優れた俳優さんは スクリーンでも舞台でも 魅力的です。
夏木マリさんも 舞台でも強い磁力を発されます。
夏木マリさんも 江波杏子さんも 舞台でも 目が吸いつけられます。
『カーネーション』 丁々発止の いい配役ですね。
舞台を見て がっかりしたのは 唐沢寿明さん。
『マクベス』 を演じておられましたが マクベスちゃん! と呼びたい
軽さでした。 (大竹しのぶ のマクベス夫人もどう見ても侍女にしか
見えませんでした)
蒼井優さんも スクリーンで感じられた繊細さがなく そこいらのよくいる
年増になったら振り向いてもらえない 若いだけのお姉ちゃん。
そういえば 『楽屋』 という舞台で 渡辺えりさんが 「豆みたいな顔して」
と (多分アドリブで)仰っていましたが 同じことを私もその時思っていました。
その逆もあります。
北村有起哉さん (お父様は文学座の名優 故・北村和夫さん) は TVでは
あまりぱっとされませんが 舞台では背も高く 顔も小さくて魅力的、
反対に 寺島しのぶさんは 背が高いのはいいのですが 舞台では細すぎて
顔とのギャップがありすぎです。
そうそう さすがなのは松たか子さん。 TVも舞台も全くブレておられません。
と 尽きない 俳優さんの 魅力=磁力 のお話でした。
風呼 でした
珍しく 民放のTVドラマを 初回から最終回まで見ました。
原作が山崎豊子さんだったからです。
正統な社会派のドラマだと思っていたら 初回から主人公が
限りなくグレーで グレーのくせにブラックを批判できるのかと
思ったり、 妻の所作が 前時代的過ぎて引いてしまったり。
それでも 人間なんてみんなグレーなんだし どう展開するのか
気にもなって 今日の最終回に至りました。
なぜ見続けたのか 今日 わかりました。
”沖縄” です。 私が10年ほど前沖縄出身の友人から聞いた
本土からも米国からも 犠牲ばかり強いられる 沖縄が 今日、
描かれたのです。
先日このブログでも触れた 舞台 『サド侯爵夫人』 で注目した
美波さんが NHKドラマ『下流の宴』 の陽気な珠緒さんでない
心に傷を持つ女性を 私の予想通り 好演されました。
2009年の8月に 友達の語りにインスピレーションを受けて詩を書き
このブログに4つ載せました。 遡って読んでいただくと幸いです。
2009・8・5 楽園伝説 一 沖縄出身の友の語る
2009・8・5 楽園伝説 二 象の檻
2009 8・6 楽園伝説 三 平和の塔
2009 8・9 幸栄(こうえい) 楽園伝説 四
風呼 でした
昨日 3月17日(土) HNKのど自慢の チャンピオン大会が放映されました。
優勝されたのは 男子高校生、 歌はもちろん 一度見たら忘れられない
容姿が印象的でした。 プロになるには大事なことです。 いじられ
キャラっぽいですが 負けずに大成して欲しいと思います。
準優勝は 二人 中年の鹿児島の自衛官と アルゼンチン在住の三世(?)
の女子大学生。
コンテストで順位を発表するとき 優勝は一番後が多いと思うのですが
一番じゃないのに 呼ばれた人は 優勝したかのように喜ばれます。
優勝者が発表された後 自衛官の人が大学生に とにかく俺たち名前を
呼ばれて良かったな 感で 話しかけられていたのが印象的でした。
アルゼンチン在住の 女子学生が歌ったのが ”羅生門”
これが素晴らしくいい歌で 早速ネットで注文しました。
色んな方が歌っていらっしゃるのですが 私は坂本冬美さんの物をチョイス。
なんとカラオケも入っているんですね。
到着が楽しみです。
風呼 でした
昨日見た ピナ・パウシュの踊りは ボクシングの強烈な連続ボディブロウ
をくらったよう。 私の腹部に痣をつくった。
”春の祭典”
ドンツック ドンツクック ドンツックウ ドンツックウ
楽器を知らないものの作曲だ
初演時 サン・サーンスは席を立った
ドンツック ドンツクック ドンツックックウ ドンツックックウ
豊作を願い 大地の神へ
長老が生贄を選ぶ
不協和音は そのおぞましさ
複雑なリズム ポリホニーは
農民たちの 鼓動と叫び
選ばれた処女は
赤いドレスに着替え
死に至るまで踊る
踊り続けねばならぬ
春の祭典
ストラビンスキー作曲の この曲は 初演時 ニジンスキーによって
振りつけられました。 ピナ・パウシュは ニジンスキーと同じ生贄
の儀式として 少女の恐怖を表現しています。 エロスの祭典だとか
振付師によって いろんな解釈がされています。
この曲を聴くと わさわさと 心が騒ぎ不安になる
風呼 でした
『ブエナビスタソシアルクラブ』 (大好き!) を監督した
ヴィム・ヴェンダースが 20年前からピナに頼まれ構想を練り
3Dでなら出来ると撮った映画です。 奇しくもクランクイン寸前に
ピナは亡くなり 残された団員たちの渾身のムーヴメントです。
”春の祭典” ”カフェ・ミュラー” ”コンタクトホープ ” ”フル・ムーン”
の 4つの舞踊からなり その合間合間に 団員へのインタビュー
世界最古のモノレールの下で プールサイドで 裸山でと 戸外での
ダンスが挿入されます。
この写真は ジャンプする女性のポスターで知られる ”フル・ムーン”
無の中にすべて
何を怖がっているの
愛する人のために踊りなさい
それが老人と呼べる人、
同性でも
岩のようなHippopotamus(カバ)であっても
愛だけを考えて
踊ればいい
言葉が消えていくでしょう
音楽も聞こえなくなるでしょう
心のままの動き
倒れてしまう激しさで
貴方が無になると
すべてが見えてくる
と
私を怖がらせて
pinaは言った。 言葉だけが詩ではないと。
私もそう思う だから踊っている、歌ってみる。
風呼 でした
一時代前までは 普通の娘が サド侯爵だのエマニュエル夫人だの
口にすることはありませんでした。
普通の娘だった私も 当然 ”サディズム” の語源となった人としか知らない。
勿論 ”サディズム” の意味は知っていましたが。
なので 三島由紀夫による脚本の舞台の事しか語れません。
舞台は同じサド侯爵夫人の実家の居間ですが 三幕に分かれます。
第一幕は 1772年 乱行で拘束されかけたサド侯爵が あろうことか
夫人ルネの妹のアンヌと 逃避行をしていた。 それを知った姉妹の
母の驚きと動揺。
第二幕は 1778年 一度は釈放されたサド侯爵が 二人の仲を引き裂こう
とするルネの母の陰謀により 再び牢に入ったと 伯爵夫人が暴く。
伯爵夫人は かつてサド侯爵と悪徳の限りを尽くした仲だった。
第三幕は 1790年 1789年7月4日のフランス革命の翌年です。
侯爵の称号ははく奪されたものの 赦されたサドが ルネを訪ねてくるが
ルネは追い返す。 ルネは修道院に入ると決めていた。
サド侯爵夫人ルネを演じるのは 蒼井優、 完璧に貞淑に育てたと
思い込んだ娘に 仮面を剥がされていく母に 白石加代子。
あっけらかんと義兄と逃避行をし 後に 名家に嫁ぐ妹アンヌに 美波。
淫乱な伯爵夫人に 麻美れい、 伯爵夫人と対極にある信仰深い男爵夫人
に 神野三鈴、 召使に 町田マリー。
私は 麻美れいさんの大ファンで 全裸の生贄ごっこを語る 伯爵夫人の
妖艶さに どぎまぎしながらも うっとり。
美波さん どこかで見たと思ったら 林真理子原作の NHKドラマ
『下流の宴』 の珠緒さんでした。 声がよく通り 不思議な魅力です。
父親がフランス人の ハーフだそうです。 舞台人として 要注目。
主役の衣装が 三幕ともほぼ同じ 人物像にも年月が感じられず 時を
認識するのに時間がかかった。
蒼井優さんと 白石加代子さんは ほぼ出ずっぱり、 一字一句に深い意味
のある科白を 自分のものにされようとする努力に脱帽です。
風呼 でした