ピカソ・マニマニア

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『 藤田嗣治 』   近藤史人著

2022-10-31 18:27:52 | 
副題は 異邦人の生涯。

1913年、27才でパリに渡り ピカソやモジリアーニ等。綺羅星のごとき画家たちとも交流、島崎藤村から金子光晴など日本人とも パリで交友を持った藤田嗣治の伝記です。

著者はNHKディレクターとして 藤田嗣治の番組を作った事もある方だそう。
第34回、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。

夏堀全弘という人の藤田嗣治論に 藤田自身が手を加えた 未発表の作品が軸になっているようです。

画法や戦争画を描いたこととか フジタの一生の軌跡は良く分かるのですが 人物像は分かりにくい。

作者はフジタをどう思っているのか分からない。

フジタは反論はしないで逃げる いい人振るタイプだったらしい。

交友関係が凄い人ばかりなので 面白く読みましたが フジタのやったことは分かっても フジタの心は分かりませんでした。

40センチほどのフランス人形を愛し、数十体と一緒に寝ていたとか、箱に入れられた 古びた日本人形にレジオン・ドヌール勲章が付けられていたとか ますます分かりません。

本は面白かったけれど インスピレーションは沸かないという 奇妙な読後感でした。


    
    by   風呼 
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ドッペルゲンガー ❓   三姉妹の旅

2022-10-26 15:01:31 | 詩作
   

若い頃は

3人の中では
私が一番きれい
と 言っていた次姉も

街を歩けば
男がついて来ると
噂がたっていた長姉も

身体の均整は
 一番取れている
と 思っていた末娘も

50年前の動画を見て

どれが
自分だか分からない

三姉妹で
温泉宿に泊まり

同じバスローブを着て
客室をうろうろ

あれ?
隣の部屋にも
私がいる!

もしかして 
派手な水音を立て
部屋風呂に入っているのも
私かしら?




   ベビディ・バビディ・ブウ
   3姉妹の旅には お揃いのお供がつきます。
   突然ボケても 連れだと分かるように。
   今回は 冒頭の 象のマスクチャーム。

   過去のお供たち
     

   


     by  風呼



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一本の 白いバラ   宝塚『グレートギャッツビ―』より

2022-10-22 14:06:49 | 詩作

   私は デイジー


「一本だけ頂くわ」

5年ぶりの再会の日
ギャッツビーは
白いバラの花束を
抱えてきた

インチキな履歴を
私の両親に暴露され
私の元を去った ギャッツビ―

裏社会で富を成し
私の家の対岸に豪邸を建て
河の向こうで私を想い

週末に門戸開放の
大パーティを開き
いつかきっと
私もやってくると
待っていたなんて

白いバラは 一本だけ
頂くわ

夫の不貞に悩む私
ギャッツビーと 再び恋に落ちるのに
時間はかからなかった

一緒に逃げる途中に
人を轢き殺してしまった私の罪を
ギャッツビ―は被り

死んだ女の亭主に
撃たれて死んだ

埋葬には
隣人ニックと
はるばる駆け付けた
ギャッツビーの
純朴な父親

そして 
一本の白いバラを
墓に放り投げた 私

    

借りは返しました

私は他の地で
夫と小さな娘と
やり直します


     by    風呼
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ロープ―ウェイと 大涌谷

2022-10-19 15:43:55 | 

箱根登山鉄道宮ノ下駅から 強羅駅まで。
前日、箱根湯本駅から宮ノ下駅までの車窓から眺める風景が鬱蒼とした木々の間を抜け、余りに素敵だったので終点まで行くことに。

     
       箱根登山鉄道

ところが小涌谷、彫刻の森、終点強羅駅へと行くうちに どんどん沿線も賑やかに。

強羅駅を降りると目の前に 箱根ケーブルカー駅があったので 乗ることにした。

     
         早雲山駅終点

ここから 箱根ロープ―ウェイが 芦ノ湖湖畔まであるという。

で これにも乗ることに。
ゴンドラが 何たって可愛い!!

     

空中からの 大涌谷は素晴らしかった。

てっぺんの大涌谷駅で乗り換え。

ここで名物 黒たまごを買い、黒カレーで昼食。

下りのロープ―ウェイ から眺める芦ノ湖に 海賊船が見えたので これにも乗ることにした。

     
      
女神が宙吊りの ヴィクトリー号 に 乗船。

30分強の乗船。富士山は見えなかったけれど  なかなかの乗り心地でした。

この日は ほぼ雨の予報だったのですが 降られずに済みました。

元箱根港から箱根湯本駅までは急行バスで30分。途中で雨が降りました。

箱根湯本駅には ロマンスカーが停まっていたので これにも乗ることに。



午前11時から午後5時まで 乗り物三昧の 半日でした。

定石通りですが 行き当たりばったりの旅はとっても楽しかったです。


   10月18日

       by   風呼








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『 炎環 』  永井路子著

2022-10-15 16:12:07 | 

1964年の直木賞受賞作です。

鎌倉時代の 4人を題材にしています。

阿野全成を扱った 『悪禅師』、梶原景時の 『黒雪賦』、北条政子の妹で 阿野全成の妻の保子を描いた 『いもうと』、北条義時の 『覇樹』 です。

1979年の NHKの大河ドラマ 『草燃ゆる』 の原作になったそう。

ちなむに『草燃ゆる』のキャスティングは
 頼朝に 石坂浩二
 政子に 岩下志麻
 北条義時に 松平健
 北条時政は 金田龍之介
 保子に 真野響子
 源頼家に 郷ひろみ
 安達盛長は 武田鉄矢
 大江広元に 岸田森(いい役者さんでした)
 後白川法皇に 尾上松緑 
 後醍醐天皇に 尾上辰之助
 文覚に 観世栄夫
 駒若丸は 京本政樹  さん だったそうです。


小説としては 先に読んだ 1969年作の(炎環の5年後) 『北条政子』の方が面白かったと思います。


     by  風呼


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『 北条政子 』  永井路子著

2022-10-03 14:52:47 | 

四人の子をすべて失いながら 鎌倉幕府を牽引することになる 北条政子の心情を見事に描いた小説です。 

女性の視線で語られているので 同性として物語に入りやすく 面白く読みました。

NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を欠かさず見ていて 女性が生き生きと描かれているのに感心していましたが 脚本の三谷幸喜さんは この作品を参考にされたのではないかと思われるほどです。

二代将軍頼家の気性の荒さと 繊細な三代将軍の実朝との差が 同父母なのにと考えさせられる。

園城寺に預けていた公暁を呼び戻し 鶴岡八幡宮の別当にする。
しおらしく千日行に励んでいると見せかけた公暁の本性が父頼家のこれでもかと描かれた乱行と重なります。

物語は 実朝暗殺・公暁殺害 の後、鎌倉幕府を(北条を)守り抜く政子の決意で終わっています。



作者、永井路子さんは 他の作家があまり取り上げない人を小説にされているそうです。

こんな描き方があるのだと いい意味で驚きました。



     by   風呼





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