副題は 異邦人の生涯。
1913年、27才でパリに渡り ピカソやモジリアーニ等。綺羅星のごとき画家たちとも交流、島崎藤村から金子光晴など日本人とも パリで交友を持った藤田嗣治の伝記です。
著者はNHKディレクターとして 藤田嗣治の番組を作った事もある方だそう。
第34回、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。
夏堀全弘という人の藤田嗣治論に 藤田自身が手を加えた 未発表の作品が軸になっているようです。
画法や戦争画を描いたこととか フジタの一生の軌跡は良く分かるのですが 人物像は分かりにくい。
作者はフジタをどう思っているのか分からない。
フジタは反論はしないで逃げる いい人振るタイプだったらしい。
交友関係が凄い人ばかりなので 面白く読みましたが フジタのやったことは分かっても フジタの心は分かりませんでした。
40センチほどのフランス人形を愛し、数十体と一緒に寝ていたとか、箱に入れられた 古びた日本人形にレジオン・ドヌール勲章が付けられていたとか ますます分かりません。
本は面白かったけれど インスピレーションは沸かないという 奇妙な読後感でした。
by 風呼