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ベートーベン 交響曲第9番「合唱付き」/マズア&NHK交響楽団

2009年12月31日 15時49分24秒 | クラシック(一般)
 この1月にSTBをハードディスク録画機能付きのものに新調して以来、リアルタイムでは観れないクラシックのソースや映画などを録画しては楽しんで来た。なにしろNHKはこういうソースのオンエアにかけては、さすがに国営という威信があるのか、N響の演奏会以外にも、特にオペラなどは豪華なプログラムが揃っていて、ついついあれもとオペラだの映画だのの長尺ソースを録画していくと、あっという間にハードディスクの容量を逼迫してしまう。録りためたソースをDVDに焼き、レーベル面をきちんと印刷してライブリ化という作業をまめにやればいいのだが、このところ息切れ気味なので、年末だというのにハードディスクの残り容量がかなり心許ないことになっている(なにしろダビング中は録画できないのがキビシイ)。さて、この残り少ないハーディスクのスペースをやり繰りしながら録画したのがコレである。この22日にやったらしい、N響によるベートーベンの第9だ。

 指揮はクルト・マズア、演奏前に流れたテロップによればこれが初客演となるそうだ。マズアは東ドイツ出身の指揮者で、個人的にはライプツィヒ・ゲヴァントハウスの首席を長く続けた、地味だが質実剛健な指揮者というイメージがあるけれど、東西ドイツが統一されてからはかのニューヨークフィルの首席に着任したりと、現在はかなりメジャーな指揮者のひとりとなっているようだ。そんなマズアを呼んでの第9だから、N響も張り切っている(ように見える)。いつもはどちらかといえばスリムで淡麗な演奏をする彼らだが、第1楽章の第一主題のところから既にかなり重厚なサウンドに一変しているように感じるのは、当方の先入観だろうか。
 この曲の前半の2つの楽章はリズムが素人聴きにもやけにおもしろくできていて、現代の指揮者はそのあたりをクローズアップして、この曲をモダンに聴かせたりすることが多いように思うのだけれど、この演奏は悠々迫らぬテンポ、ゴツゴツとした肌触りで、これはいい意味でいうのだが、オーバーにいうと「徐行する戦車」みたいなイメージの演奏になっているのはおもしろい。
 第3楽章はまさにドイツの田園風景が見えてくるような演奏。この楽章は一見平坦でしかもかなり長いので、前述のようなモダンな演奏だと、妙に均質で一本調子の演奏になってしまいがちなところもあったりするのだが、さすがに練達な指揮者のことだけはある、オーソドックスといえばこのくらいオーソドックスな演奏もないと思うが、田園風景の向こうにきっちり音楽が聴こえてくるから、飽きずに最後まで楽しめるのだ。

 続く、第4楽章は通常の編成に少年少女合唱団を加えた大所帯で演奏されるのが珍しい。ベートーベンの第9は、このやけに祝典的だが聴けば聴くほど、実はよくわからない楽章をどう料理するかにかかっている。宇宙的なスケールで展開し、あちらの世界に飛び出したまま終わるものもあるし、交響曲の枠組みをぎりぎりで堅持しつつマーラー的なロジックで演奏するものあり、また、あくまでも古典交響曲の異端児として、どちらかといえば質素に演奏するものなど様々である。マズアはこの3つ目のものだろうか、もちろん合唱団の迫力は録画で観ても豪華絢爛だが、音楽そのものは意外にも見識あるストイックを備えていたと思う。個人的にはこのくらいに質実な演奏の方が楽しめる。という訳で、久々にベートーベンの第9を楽しんで聴くことができた。
 それにしても、同曲を大晦日に聴くのは何年ぶりだろう?。いや、ひょっとして初めてかもしれないな(笑)。次は、ドボルザークの第9でも聴こうか。

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