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シューベルト 弦楽四重奏曲 第14番「死と乙女」/イタリアSQ

2010年05月09日 22時51分51秒 | クラシック(一般)
 シューベルトにはどうもこれまで縁がない。20代前半にクラシックを集中的に聴いていた頃でも、交響曲とピアノを数曲くらい聴いたくらいのものだった。室内楽なども全く聴いていないのが現状である。先日のことだが、弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」を管弦楽版(マーラー版に非ず)を興味本位で購入してきたので、それをいい機会に、まずはこれの原曲から、あわよくばシューベルトの世界に踏み入ってみようという気になってきた。先日の即興曲などもその一環である。
 シューベルトは弦楽四重奏曲を第14曲残しているが、これは当然最後のもので、病魔におかされたシューベルトが死を意識しつつ作曲した作品ということで、全楽章短調でつくられた、全編に渡って悲愴な美しさに満ち満ちた仕上がりになっている。おそらく彼の作った弦楽四重奏曲では、ひとつ前の「ロザムンデ」と並んで、もっとも有名なものになるのではないだろうか。とりあえず、自分の用のメモとして全楽章を辿ってみたい。

 第1楽章 前述の通りこの曲は全楽章短調で、ほぼ全編に渡ってシューベルトの「陰」の側面がでているが、特にこの楽章の冒頭~第一主題はベートーベン風とでもいえるような、ほとんど峻厳といいたいような悲愴感がある。もっとも第二主題はウィーン風な穏やかな表情もみせるが、つかのまの安らぎといった感じだ。ちなみにこの楽章主題提示部がやけに頭でっかちで、全部で12分かかる内の5分を費やしている。
 第2楽章 主題と5つの変奏+コーダがなる。主題は抒情的だが荘厳な葬送音楽のような雰囲気があり、悲痛な美しさに満ちている。第1変奏から第3変奏までは各々ヴァリエーションを展開しつつも、直線的な流れてが感じられ、第3主題で大きく盛り上がりハイライトを形成している。穏やかで安らぐような第4変奏でやや落ち着きを見せるものの、それも長く続かず、主題再現部風の第5変奏とコーダで再び沈痛なムードに戻る。。

 第3楽章 4分足らずで終わる比較的短いスケルツォ。Wikiによれば、音楽的にはスケルツォというよりはレントラーらしいのだが、なるほどそういうリズムも感じられなくもない。ただし、音楽そのものはかなり精力的、かつシリアスな面持ちが強いので、舞曲風なのどかな感じにはあまりならない。トリオは鄙びた風情を展開するがあっという間に終わって、元のスケルツォに戻る。
 第4楽章 タランテラ風なリズムを使ったロンド。鬱屈とした熱狂が支配していて、メインの主題の合間に登場する明るい部分も、なんだか気まぐれのように聴こえる。とにかくフィナーレに向かって絶望的な風情で精力的に進み、やがてラストが唐突にやってくるのだが、このプロセスを聴いていると、明暗が交錯しつつ絶望的フィナーレを迎えるマーラーの交響曲6番の祖先を聴いているような気にもなる。

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