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ベートーベン/エグモント序曲

2005年05月13日 00時06分08秒 | クラシック(一般)
 4月28日に書いた「ベートーベンの序曲」を書いて以来、ジンマンの序曲全集も到着したことだし、目下、あれこれつまみぐい的に聴いている訳ですが、いろいろある中で特に印象に残っているのが、「エグモント序曲」。作品84ですから、そんなに番号が近い訳ではありませんが、ベートーベンのモットーである?「暗から明へ」の代表作である交響曲第5番「運命」をムードにかなり近いというか、早い話、あれを8分に凝縮したような趣すらあって、分かりやすいし、いかにもベートーベン聴いている充実感があるので楽しめます。

 曲は重厚で悲劇的な響きを持った全合奏がまずなんといっも印象的で、雷鳴なりしきる中、悲運の境遇の主人公が家族を仇敵かなにかに殺され「おぉ、神よ!」とかなんとかいいそうな場面に合いそうなムードで(笑)、この深刻さには引き込まれます。続く本編は低回気味な第1主題はともかくとして、第2主題はまるで「運命」冒頭楽章のヴァリエーションですし、徐々に闘争的になってくる展開部~主題再現部もそれ風。コーダで聴ける勝利の凱旋みたいなムードも当然「運命」最終楽章とイメージが重なる訳ですね。そういえば、途中弦楽器のリズミックなモチーフに木管が応答風につながるところがあるんですが、これは第9番「合唱」の第一楽章にも似たような部分が出てきますよね。

 さて、演奏はカラヤンがベルリンを振った60年代後半のものと、小澤がボストンとともにテラークに入れた80年代初頭の演奏、そして前述のジンマンの3種類を聴きましたが、さすがにこういう交響詩風なドラマを感じさせる曲だとカラヤンは巧緻ですね。冒頭の悲劇的なところのドラマチックさは小澤やジンマンとはひとけた違う重みがあり、良くも悪しくもドイツ的な深刻さに満ち満ちた演奏ですね。小澤のはとてもさっぱりした演奏で、カラヤンが冒頭の悲劇的ムードとコーダの凱旋に重点を置いているとすると、小澤は本編のソナタ形式の部分に力点を置いているという感じでしょうか。対するジンマンは各楽器の輪郭や音型がくっきりクリア過ぎて、ベートーベンらしい鬱蒼とした感じがあまりない、なんかハイパーなコンピュータ・グラフィックで再現された絵画みたいな印象でした。

 という訳で、今夜改めて聴いた限り、一番良かったのはカラヤンですかね。

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