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井上鑑~アコースティック・ミーティング/Dolphin

2005年07月19日 00時05分12秒 | JAZZ-Fusion
 日本人は四季に敏感なだけあって、邦人アーティストの作品には夏をテーマにした作品が多い。もっとも夏と云ってもイメージするところは様々で、湘南みたいな定番路線はもちろんだけど、世界各地のリゾートをイメージするようなものも多くある。このアルバムは、表だってそういうテーマは喧伝してないものの、音楽からイメージするのは紛れもなく南仏あたりのリッチな避暑地で過ごす感傷的な夏だ。ある意味、とってもバブリーなサマー・ミュージックでもある。

 さて、このアルバムの主人公である井上鑑はアレンジャーとして知られている人で、そちらの方面のお仕事としては、かの寺尾聰の「ルビーの指輪」なんかが有名だけど、80年代はソロ・ミュージシャンとして数枚のソロ・アルバムも出していた。「CRYPTGRAM」や「架空庭園論」といった凝りに凝ったロック系アルバムの他、個人的に好きだったのは「Splash」というアルバム。湘南、軽井沢といった下世話な夏のイメージとは決別し(そういうものはアレンジで死ぬほどやっただろうから-笑)、南仏あたりの避暑地のイメージが横溢させたこのアルバムは、当時かなり斬新だったし、この人特有なスノッブ趣味も良い具合に作用していて、個人的は夏物の定番アルバムとして愛聴していたものだ。

 この「Dplphin」というアルバムは、云ってしまえば、「Splash」のニュー・エイジ・ヴァージョンである。「Splash」というアルバムはヴォーカルやドラムがきちんと入った、ロック系ポップスだったけれど、こちらは基本的にキーボード+Aギター+Aベーのアンサンブルで作られた、ジャズとかフュージョンと呼ぶにはあまりに透明で淡いニュー・エイジ・ミュージックになっている。1曲目の「The Last Dolphin」はシンセ+アコギのアルペジオが、まるで絵はがきのような雲一つないヨーロッパの夏の空を描き出し、2曲目の「Peace」はその青空に入道雲が出てきたようなムードを漂わせる....という具合に、アルバムは時にボサ・ノヴァやタンゴ、ブルージーなムードも漂わせつつ、そこはかとない感傷的を滲ませつつ表むき淡々とクールに進んでいくのである。

 ちなみにこのアルバムは一応アコスティック・ミーティングというバンド(プロジェクト?)名が付けられているが、メンツはギターに松原正樹と今剛、ベースは高水健司という名手が揃っている。一見、ニュー・エイジ風のさりげないノリながら、しっかりとした味わいがあるはこのメンツだからこそだろう。
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