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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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電送人間

2008年01月14日 01時17分37秒 | MOVIE
 東宝の変身人間シリースの中では昔から一番印象が薄いというか、あまりおもしろく観た記憶がない作品がこれ、この正月に観たものである。主演は東宝時代の鶴田浩二だし、変身人間役に中丸忠雄、主人公の恋人役に白川由美とけっこう配役的にはユニークだし、終戦の動乱の時に生まれた電送人間というアイデアも悪くないと思うのだが、どうも電送人間ぶりといい、ドラマの流れといい、これだというインパクトがないんだよなぁ(とはいえ、今回が一番楽しめたような気がしたのは、やはり液晶テレビ効果だろうか)。このあたりの原因を考えるに、やはり演出がいつも本多猪四郎ではなく、当時新鋭だった福田純だったことの影響が大きいように感じる。

 福田はこの後、特撮物でゴジラ・シリーズなども何本か手がけているが、申し訳ないけれどおもしろいと思った作品がない。この人の演出は軽快なテンポと小気味よさのようなものがあるけれど、ドラマがいつも成り行き任せみたいなところがあるし、ドラマ自体の演出も妙にそっけないのが、いつも不満に感じるのだ。ひょっとすると、世代的にヌーベル・ヴァーグ的な感覚だったのかもしれないけれど、例えばこの作品でも、どうして終戦間際の金塊強奪の犠牲者という怨念がいつの間にか、単なるサイコな殺人鬼になってしまったのかよくわからないし、白川由美と鶴田浩二はどうなったんだ....とかいろいろつっこみを入れてみたくなってしまう。きっと本多が演出したらもっと重厚で陰湿な怪奇ミステリーのような作品になったと思う。

 音楽は池野成、私は馴染みの薄い人だが、なんでも伊福部先生の弟子だそうだ。ただし、先生とは作風はかなり違っていて、こういうサントラ作品という性格を差し引いたとしても、かなりモダンな響きに満ち満ちた音楽を展開しているのはおもしろい。全編に渡って馴染みやすい旋律とかはほとんどなく、鬱蒼として粘着したなモヤモヤとした響きが充満していて、音楽的には無調、ひょっとすると12音的な技法で作曲されているような気がする。まぁ、そういう音楽でなので一瞬ベルクを聴いているような気がしたりするほどだけど、こういう映画であれば、もうすこし下世話な情緒があっても良かったかなぁと思う。

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