Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

BLOOD SWEAT & TEARS / No Sweat

2008年08月16日 22時29分18秒 | ROCK-POP
 「ニュー・ブラッド」のところでも書いたとおり、私はBSTについてはあれをもって見限ってしまったので、この第6作については発表後35年を経てようやく聴いたということになる。メンツとしてはオリジナル・メンバーのスティーブ・カッツが抜け、ブラス隊の一部に変動した以外はほぼ「ニュー・ブラッド」と同様、音楽的にも基本的には前作の延長線上にあるといってもよい仕上がりだ。つまり「ややレイドバックしたポップ・ロック+クロスオーバー風味」な音楽な訳だけれど、結果にそうなったのか、意図的にそうしたのかは図りかねるものの、ともかく今回はインスト主体の曲と歌モノを明確に分け、アルバム全体に両者を満遍なく散らしているのが特徴といえる。

 冒頭の「Roller Coaster」は、当時一時的に流行したスワンプ・ミュージックなんぞという言葉を思い出すアーシーでブルージーなムードをベースにポップさを振りかけた作品だし、2曲目「Save Our Ship」や9曲目「My Old Lady」は前作の「Touch Me」の続編のようなゴスペル風味をもって作品(どちらもポール・バックマスターとデビッド・ヘンツェルという英国勢が参加しているせいで、その仕上がりは当時両者が関わっていたエルトン・ジョンあたりの雰囲気に非常に近い....というか狙っていたのだろうな)、7曲目「Back Up Against the Wall」はちょいとシカゴ風を意識したかのような正調アメリカン・ロック、逆に10曲目の「Empty Pages」はややブリティッシュ・ロック風(トラフィックの作品だからか)....といったあたりが、歌モノとしてのこのアルバムの顔だろう。

 一方、インスト重視な曲はリンク・トラック風な扱いが多いが、3曲目の「Django」は前作の「処女航海」続くスタンダード路線といったところか、なかなかいいムードでテーマを演奏したところでプイと終わってしまうのが惜しい。5曲目の「Song for John」はいかにも70年代前半、クロスオーバー寸前のジャズ的ムードをにおわせた浮遊感あふれる作品。12曲目の「Inner Crisis」も前半は同様で一層詩的で散文的なムードが強いが、後半はスリリングなギターをフィーチャーしたクロスオーバー的な展開となる。
 という訳で、アルバムに詰まった音楽の情報量はなかなかものなのだが、どうも全般に決めてに欠くという印象がないでもない。どうも歌モノとインスト作品とが、うまい具合にミックスせず、両者の美点を帳消してしまいるような感じだろうか。いや、聴き込むほどに味がある作品ではあるのだが、地味な作品であることは間違いない。発売当初、日本でも全く話題にならなかったのも納得できようものだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« AU Sony Ericsson / W62S | トップ | BUFFALO BBR-4M... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ROCK-POP」カテゴリの最新記事