マーク・アモンドは大好きなバンドである。マーク・アモンドは70年代前半にイギリスでデビューしたジョン・マーク(ヴォーカル)とジョニー・アーモンド(サックス)による変則的なコンビで、ミもフタもない形容をしてしまえば、「苦みばしったジャズ風味が濃厚に効いた一種のフォーク・ロック」みたいな音楽をやっていた。ただ、ありがちな複合音楽ではなく、異様に虚脱して、冷え切ったような倦怠感が横溢したその音楽は、当時(多分、今も)ちょっと他に比べるものがないような独特のムードをもっていて、それ故かなり通向きな孤高の作品として、知る人ぞ知るというバンドだったように記憶している(ミュージック・ライフなんかには、小さいけれどちゃんと広告はのってましたけどね)。
私が最初に購入した彼らのアルバムは、初期のアルバムからピックアップしたベスト盤だった。ジャケットの一角がカットされた米盤で、しかも中古盤をたぶん千葉のディスク・ユニオンで500円くらいで購入してきたように記憶している。当時、10代後半のガキが、よくぞこんなアルバムを購入したものだと、今では妙に感心したりもするが(笑)、きっと、アルバム冒頭に収録された「The City」という比較的大規模なメドレーの評判でも、音楽雑誌かなにかで聞き及んだのだろう。
で、これを購入して初めて聴いた時の異様な感触は忘れられない。まず、「これは、なんと陰鬱で、冷え冷えとした音楽なのだ!」という拒否感に近いものを感じるものの、何度か聴いているうち、フォーク的なモノローグのようなボーカルとジャジーなセンスに裏打ちされた趣味の良いサウンドでもって、都会的な寂寥感を見事に表現した音楽に、いいようもなく魅了されてしまったのだ。
ところが、私が持っている彼らのアルバムは長いこと、このベスト盤だけだった。レギュラー・アルバムも当然欲しかったが、なにしろ80年代に彼らの音楽は完璧なオールドウェイブになっていたので、カタログはおしなべて廃盤だったのである。なので、このアルバムをずいぶん繰り返し聴くことになった。なにしろ、彼らの全アルバムをCDで揃えることができたのは、はるか後年、それこそ21世紀にはいってからだ。かような次第で、私の場合、マーク・アモンドというとなんといってもこのベスト盤なのである。一曲目は「The City」。ボサノバやジャズをベースにドラマチックに仕上げた代表曲である。2曲目はオリジナル・アルバム通り、痛ましいほどの沈痛さが逆に異様に美しさを醸し出す「Tramp And The Young Girl」が続き、3曲目「One Way Sunday」でほのかに明るく希望をのぞかせてA面が終わるという構成はさながら、それ自体が組曲のようで、ふとしたきっかけで今聴いているところだけど、やはり何度聴いても素晴らしい。
という訳で、これもいいきっかけかもしれない、数年前購入し、ひととおりさらっと聴いて、放置したままになっている彼らの全アルバムをクロノジカルに(彼らの後期のヒストリーには、意外な人脈が沢山登場するのも興味深いし)、きっちりと聴いてみる時期がきたかな?....などと思っているところである。
Title: The Best Of Mark-Almond(1973)
1. The City
2. Tramp And The Young Girl
3. One Way Sunday
4. The Ghetto
5. Song For You
6. Friends
7. Solitude
私が最初に購入した彼らのアルバムは、初期のアルバムからピックアップしたベスト盤だった。ジャケットの一角がカットされた米盤で、しかも中古盤をたぶん千葉のディスク・ユニオンで500円くらいで購入してきたように記憶している。当時、10代後半のガキが、よくぞこんなアルバムを購入したものだと、今では妙に感心したりもするが(笑)、きっと、アルバム冒頭に収録された「The City」という比較的大規模なメドレーの評判でも、音楽雑誌かなにかで聞き及んだのだろう。
で、これを購入して初めて聴いた時の異様な感触は忘れられない。まず、「これは、なんと陰鬱で、冷え冷えとした音楽なのだ!」という拒否感に近いものを感じるものの、何度か聴いているうち、フォーク的なモノローグのようなボーカルとジャジーなセンスに裏打ちされた趣味の良いサウンドでもって、都会的な寂寥感を見事に表現した音楽に、いいようもなく魅了されてしまったのだ。
ところが、私が持っている彼らのアルバムは長いこと、このベスト盤だけだった。レギュラー・アルバムも当然欲しかったが、なにしろ80年代に彼らの音楽は完璧なオールドウェイブになっていたので、カタログはおしなべて廃盤だったのである。なので、このアルバムをずいぶん繰り返し聴くことになった。なにしろ、彼らの全アルバムをCDで揃えることができたのは、はるか後年、それこそ21世紀にはいってからだ。かような次第で、私の場合、マーク・アモンドというとなんといってもこのベスト盤なのである。一曲目は「The City」。ボサノバやジャズをベースにドラマチックに仕上げた代表曲である。2曲目はオリジナル・アルバム通り、痛ましいほどの沈痛さが逆に異様に美しさを醸し出す「Tramp And The Young Girl」が続き、3曲目「One Way Sunday」でほのかに明るく希望をのぞかせてA面が終わるという構成はさながら、それ自体が組曲のようで、ふとしたきっかけで今聴いているところだけど、やはり何度聴いても素晴らしい。
という訳で、これもいいきっかけかもしれない、数年前購入し、ひととおりさらっと聴いて、放置したままになっている彼らの全アルバムをクロノジカルに(彼らの後期のヒストリーには、意外な人脈が沢山登場するのも興味深いし)、きっちりと聴いてみる時期がきたかな?....などと思っているところである。
Title: The Best Of Mark-Almond(1973)
1. The City
2. Tramp And The Young Girl
3. One Way Sunday
4. The Ghetto
5. Song For You
6. Friends
7. Solitude
彼らの場合、3枚目まで....いや2枚目まではほぼ必聴盤といってかも....。
とにかく、このくらい時代やスタイルという呪縛から隔絶した音楽もないんじゃないかなと思わせる独特な感触あります。
あと「心に」というアルバムなんですが、あれはあれで十分MkAdした音楽ではあるものの、だいぶポップで分かりやすい方(笑)。
某バンドでいうなら『私はここからあなたの下院を見ることができます(←翻訳原文のママ)』みたいな感じ。
ちょっとこのバンドというかユニットの見方が変わったなあ。