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チック・コリア・エレクトリック・バンド/ライト・イヤーズ

2010年01月19日 23時12分19秒 | JAZZ-Fusion
 1987年にリリースされたCCEBの第2作である。昨夜も書いた通り、いわゆるチック・コリア・エレクトリック・バンドの5人が揃うのがこのアルバムであり(一部、前作にも参加したカルロス・リオスのギターも参加)、このバンドの一般的なサウンドのイメージを確立したのも、だいたいこの作品あたりだと思われる。多分、この作品も私はこれまで聴いたことがなく(初めて聴いたとはとても思えない曲もあるので、ひょっとすると聴いていたかもしれない)、先日急遽購入してきて、さっきから聴いているところなのだが、アルバム全体の印象としては、基本的には前作の延長線ではあるものの、全体にやけにポップであり、それぞれの曲もかなりコンパクトにまとめたといった感じである。前作にあったMIDIやシーケンサー、そしてデジタル・シンセといった最新の飛び道具に目がくらんで(?)、やや作り込み過ぎ、音を詰め込み過ぎなところを、すっきりとさせたサウンドということもできるかもしれない。また、新しい拠点がトミー・リビューマとデイブ・グルーシンが仕切るGRPという売れ筋の作品を量産しなければいけないメジャー・レーベルだった....という影響も大きかったと思う。

 そんな訳で出来上がったアルバムは前述の通り、非常にポップである。相変わらず最新鋭のデジタル・シンセやMIDI機器を駆使した非常にきらびやかなサウンドだが、長いインプロ、トリッキーな仕掛け、複雑な変拍子といったチック・コリア的にゴリゴリしたところは、ほぼ一掃してしまっており、あの時代に猫も杓子も追いかけていた「ポップなファンク・フュージョン」というスタイルにCCEB自身が埋もれてしまっている感がなくもない(ひょっとすると、この手の音楽はCCEBが「走り」「元ネタ」だったのかもしれないが、なにしろあっという間に一般化してまった)。なので、新加入のフランク・ギャンバレとエリック・マリエンサルという逸材も、本作ではチック・コリアの作り出すデジタル・シンセ中心のバンド・アンサンブルの中に妙に神妙に収まってしまっているのはちと残念だ。曲目としては5曲目の「タイムトラック」が、全体をスムースに流しつつ、隠し味的にソロをバランス良く配置してなかなかの仕上がり。また、「ビュウ・フロム・アウト・サイド」はいくらかチック・コリア的ゴリゴリ感が感じられる歯ごたえのある作品になっているくらいか。残りはFMに乗せてもなんの違和感もない、実に口当たりのいいサウンドになっているが、だからこそ食い足りないというのもまた事実だ。

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