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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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サンタナ/アミーゴ

2006年02月06日 23時59分55秒 | ROCK-POP
 「不死蝶」に続く76年発表のスタジオ録音第7作。セールス的には低迷気味だった70年代中盤頃のサンタナが放った起死回生の一作。そして日本では「哀愁ヨーロッパ」が入っていることでも、サンタナの盤歴では記憶に残る作品といえます。発表当時、つまり私が高校生の頃、日頃、ニュー・ロックもラテン・ロックもほとんど関係ない友人が何故だかこのアルバムを購入して、私に貸してくれた記憶がありますが(「フェスティバル」の方だったけかな?)、要するにあまりロックに縁のない人間まで買いに走らせたような、ポピュラリティーを獲得した作品だったんでしょうね。まぁ、私自身は、その時の音楽的な印象は現在ではほとんど残っていなくて、この作品もほとんど昨夜初めて聴くような感じだったのですが....。

 さて、このアルバムですが、音楽的にはほとんど全面刷新してしまったくらいに印象が異なります。AOR路線、フュージョン的サウンドの追求、曲のコンパクト化と音楽的な傾向を並べれば、「不死蝶」の延長線という感じになる訳ですが、音楽的感触としては明らかに違っています。前作までのアルバム群が、とにもかくにもカルロス・サンタナという人が追求してきた音楽主義的な産物だったとすると、この作品にあるのは、明らかな商業主義という感じがするんですね。
 邪推ですが、このアルバムでサンタナはほとんどギターを弾いただけだったんじゃないでしょうか。音楽を全面的に仕切ったのはどうもトム・コスターのような気がします。彼は低迷するサンタナの売り上げに復活させれるべく、あの頃の売れ筋の音楽をサンタナ風に模様替えしたお膳立てを用意して、サンタナはそこにギターかぶせただけみたいな感じもするんです。まぁ、逆にいえばセールス低下から自信をなくしていたサンタナが、トム・コスターにあえて下駄をあずけてしまった作品というべきなのかもしれません(ビル・グラハムがマネージメントして喝を入れたということも考えられますがー笑)。

 ところが、それでサンタナの音楽がダメになったかというとそうでもないのがおもしろいところ。この作品、前作までの「サンタナの宗教感に基づいたフュージョンの手法を使った桃源郷サウンド」はきれいさっぱりなくなっているものの、トム・コスターがもたらしたコンテンポラリーなAORフュージョン的センスとサンタナのメルクマールが実にうまくドッキングして、全編に渡ってとても洗練されたスムースさにみちた、とても聴きやすい作品になっていているんですね。冒頭3曲などは現在聴いてもラテン・フュージョンの傑作として通用しそうな出来ですし、「哀愁のヨーロッパ」も洗練振りも特筆ものというべきでしょう。
 つまり、このアルパム、これが本当のサンタナか、という問題はあるとしても、トム・コスターが解釈したサンタナ・サウンドの傑作とはいえるでしょう。

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