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ウラジミール・シャフラノフ / ホワイト・ナイツ

2006年02月06日 00時00分14秒 | JAZZ-Piano Trio
 ウラジミール・シャフラノフと澤野工房をジャズ・ファンに一躍有名した作品です。そもそもジャズ評論家の寺島氏が例の調子で持ち上げたことから幻の名盤となり、澤野工房が復刻したことで、その評価がゆるぎないものになったということらしいのですが、確かにこれはピアノ・トリオの名盤としかいいようがないアルバムです。シャフラノフのことをデビュウ作のレビュウで、「ウィントン・ケリーばりの軽快なスウィング感+トミー・フラナガン的センスによるスタンダード解釈/ヨーロッパ的洗練」と形容させていただきましたが、このアルバムではそうした特徴がいかんなく発揮されているのに加え、アル・フォスターとジョージ・ムラーツという豪華なオマケがついて、ピアノ・トリオの醍醐味を満喫させる仕上がりになっているのが、このアルバムの素晴らしいところでしょう。

 これはあくまでも私の場合はなんですが、まず1曲目の「ラブ・ウォークド・イン」で思わずにんまりしてしまったんです。私はアル・フォスターがドラムが大好きで、ミディアム・テンポでブラシなどシャープに刻んでくれたりすると、もうほとんどそれだけで満足してしまうくらいなのですが、この曲などまさにその好例といってもいいドラミングで、おまけにベースは相性のムラーツですから、もういうことなしだったんですね。個人的に「フラナガン+ムラーツ+フォスター」と組み合わせはピアノ・トリオの理想型のひとつだと思ったりしていますが、この曲を聴くと、このトリオはそれに迫る組み合わせだと直感しました。またあっという間に終わってしまいますが、アップ・テンポで進む3曲目の「ジャイアン・ステップ」のシャープなスウィング感も素晴らしかったし、もう冒頭4曲でピアノ・トリオの名盤入りしてしまいました。

 一方、シャフラノフのヨーロッパ的体質が出た演奏としては、「ラウンド・ミッドナイト」、「ジャンゴ」、そしてスクリャービンの前奏曲を元ネタにしたらしいタイトル曲あたりに濃厚ですかね。やや暗いロマンティシズムと透明感のようなものが横溢する仕上がりです。ただ、この人の場合、過渡に深刻になったり、エモーショナルになったはしないで、あくまでもオーソドックスなピアノ・トリオの常道を守りつつヴァリエーションを出しているという感じなのがまたいいんですね。という訳で、このアルバム、ごくごくまっとうなピアノ・トリオ作品ではありますけど、「んじゃ、同じような音楽やってるアルバムを他に教えてよ」などといわれると、なかなか見つけることができないというあたりが、名盤の所以なのかもしれませんね。あっ、あとオリジナル曲ではボサ・ノヴァ調の「ノヴァ・モヴァ」がおもしろかったです。

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