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ブラッド・スウェット&ティアーズ/血と汗と涙 (SACD)

2005年05月01日 13時55分39秒 | ROCK-POP
 ブラッド・スウェット&ティアーズ(BST)は、シカゴと並んで70年代初頭くらいの頃、「バンドの中に管楽器をやるメンツがいる」という理由で、ブラス・ロックなどと形容され、当時勃興していたニュー・ロックの旗頭的存在として一世を風靡しました。シカゴと違って彼らは、あっという間にシーンから消えていきましたが、69年に出した「血と汗と涙」というアルバムだけは、昔からロックのヴィンテージ・アルバムとして非常に高い評価を受けているものです。

 このアルバム、両端にサティの有名なジムノベティを配したトータル・アルバムとして体裁。既成曲をアレンジでリニューアルしていく手法、演奏テクニック、ロック的なダイナミックさ等々、様々な要素が非常に高いレベルで音楽に結実した完成度を誇るアルバム....というのは周知の事実ですが、現在このアルバムの音楽聴いて感じるのは、そういうテクニカルな面よりは、むしろ「このバンド昔から大人だったんだねぇ」って、割とミもフタない印象(笑)。

 例えば、「神よ祝福を」とか「ユーヴ・メイド・ミー・ソー・ヴェリー・ハッピー」なんて、今聴くとスティーリー・ダンに先駆けること数年という、ほどよくジャズのテイストを取り入れた極上のAORですし、当時大ヒットしたロック的な「スピニング・ホイール」「モア・アンド・モア」にしてから、豪快ではあるが、若気の至り的ロックとは対局にある、けっこう大人のロックなんですよね。
 こういうセンスって、今から思えば当時バンド居た2人のアレンジャーのものだったんでしょうが、普通ならそのままCTIやヴァーブ・レーベルのような音楽になってしまうところを、とにもかくにもロックにできたのは、やはりデビッド・クレイトン・トーマスのヴォーカルが、極めてロック的スピリットに溢れていたからなんでしょうね。職人的に完璧なアレンジとソウルフルなロック野郎のヴォーカルが出会った時、なんともいえない音楽マジックが発動したってところですかね。

 さて、今回、この名作をSACDで聴きました。前述のとおりAORとして聴けそうなくらい完成度が高く、情報量満載な音楽ですから、SACDのようなメディアがよく似合います。アナログ盤や従来のCDではややナロウ気味な音質でしたが、リマスタリングが巧くいったのか、音の立体感や抜けは従来に比べてかなり向上しているという印象です。具体的にはベースの音程が良くわかり、手数の隠れて従来聴きとりにくかったバスドラムも存在感が伝わってきますし、左右のチャンネルくっきり振り分けられたライド・シンバルやピアノやオルガンの粒立ちもくっきりしていて、鮮度感のようなものが感じるあたり、その最たるものでしょう。

 こうなると、ほぼこのアルバムに準じた完成度を持つ「3」、少々渋いが味わい深い「4」、もちろんアル・クーパー在籍時のファーストも、ぜひぜひSACD化願いもんですが、たぶん無理だろうなぁ(笑)。
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