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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲/五嶋みどり,アバド&BPO

2009年11月22日 18時40分38秒 | クラシック(一般)
 今年の前半、ショスターヴィチのヴァイオリン協奏曲をあれこれ聴いている時に、購入したディスクにフィルアップされていることが多かったことや、何人かの演奏がテレビでオンエアされたこともあり、これを機会に「馴染みの曲」にしてやろうと、多少聴きはじめたところで頓挫してしまっていたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲だが、約半年ぶりに聴いてみた。前回はリーラ・ジョセフォウィッツがマリナーと組んだ90年代前半の演奏だったが、今回は五嶋みどりがアバドが指揮するベルリンをバックに演奏したものを腕組みしつつ、難しい顔をして(笑)、演奏がどうのというより曲そのものをじっくりと聴いてみた。自分用に曲の内容をメモっておく。

 第1楽章は、オーケストラの序奏が付き、やがてヴァイオリンの短いソロの後、第1主題が登場、この主題はソロからオーケストラとの絡みに中で発展していき、やがて大きなクライマックスを築く。第1主題が壮麗で男性的であるのに対して、第2主題は女性的で繊細である。第2主題では早くもヴァイオリンのソロに名技的な部分が登場して楽しい。オーケストラが力強く第1楽章を出すところ(6分あたり)からが展開部なのだろう。この展開部はオーケストラが奏でる第1主題にサンドイッチされた形で、ヴァイオリンは第2主題をメインにして、けっこうあっさりしている。
 カデンツァは3分近くもあり、ここでも第2主題が見え隠れする中、華麗なテクニックも盛り込まれた内容になっている。このカデンツァのムードをそのまま再現部に突入するが、序盤はしずしずと進めて、第二主題あたりから、テンションが盛り上がりはじめて、コーダで大きなクライマックスを築くという流れになっている。ヴァイオリンの華やかなテクニックもこの部分がハイライトという感じだ。

 第2楽章は三部形式、管楽器による序奏に続いて独奏ヴァイオリンが美しい旋律を奏でる。スラブ的な哀感を感じさせるものだが、私は交響曲第4番の第2楽章を思いだした。中間部はほのかにムードも明るくなり、多少の動きも見せる。やがて第1主題が回帰すると、決然としてオーケストラが主導して第3楽章へ移行する。この第3楽章は定番のロンド・ソナタ。主題は民族的なエキゾチックなムードと特徴的なリズムが特徴、第2主題はユーモラスな表情を見せる。これが交互に登場し、起伏も動と静をくっきりと対照して、熱狂的なフィナーレへ向かっていく。
 ちなみに第2楽章と第3楽章はふたつ合わせても第1楽章より短い。こうした極端に頭でっかちな構成は、協奏曲にはありがちなパターンだけれど、どうも第1楽章さえ聴いてしまえば、後はオマケみたいに感じがしないでもない。この曲など第2楽章と第3楽章は繋がっているので、長大な第1楽章に対してこちらはふたつ合わせて第2部みたいな感じなのかもしれないが....。
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バッハ 無伴奏チェロ組曲/藤原真理

2009年11月22日 11時13分52秒 | クラシック(一般)
 半年くらい前、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」を何種類かの演奏で集中的に聴き込んでいた頃に、無伴奏ヴァイオリンの次は当然チェロの方....とばかりに購入しておいたもの(他のシュタルケルのSACD、あとリン・ハレルのものも購入してあった)。バッハ作品の目録番号(BWV)ではヴァイオリンの方にナンバリングされているので、たぶん同じ頃作曲されたのだと思う。全6曲のセットというのをバッハは好んだようだけれど、このあたりの作品としての量感、無伴奏というストイックなスタイルなどなど、ヴァイオリンの方と共通した佇まいである。もっとも命名されているタイトルがヴァイオリンの方はソナタとパルティータに対して、こちらは組曲となっていてその由来がどこから来ているのか、浅学の私にはよくわからない。

 実際に聴いてみると、やはりチェロという低い音域の楽器ゆえなのだろう。同じ無伴奏とはいえ、ヴァイオリンの時のような孤立無援的な緊張感は-表向き-それほど強くなく、非常にゆったりとして「和む音楽」に聴こえる。こんなこといったら詳しい人に怒られるかもかもしれないけれど、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」と「無伴奏チェロ組曲」って、実質的な音楽内容はけっこう似たようなものなのだろうと思う。ただ、こちらはヴァイオリンのようなシャープな美しさにかわって、やはりチェロ特有な低音の安定感をベースにして、時にちょっとユーモラスだったり、鈍重だったりするチェロの音色やフレーズか表に出てきている分、圧倒的に耳障りがいいのが特徴だと思う。例えばちと高級な芸術イベントの会場でBGM的な音響として使うなら、おそらくこの曲は最高度にその機能すると思う(そういう場所で「無伴奏ヴァイオリン」の方をBGMに使ったら、おそらく音的に客の注意を引きすぎてだめだ-笑)。

 全6曲(聴くにの約2時間かかる)をBGM的に一通りきいてみたが、前述のとおりどれもゆったりとして楽に聴き通せる。2番と5番が短調になっていてこれがいいアクセントになっていているのもいい。5番の方は「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」の2番みたいな荘重な雰囲気があるし、6番はおなじくパルティータの3番風な明るさ、リズミカルさがあり(他と違い高い音域をつかっているようにきこえる)、これもけっこう印象的だった。
 ともあれ、今は三連休のど真ん中、関東的でもそろそろ暖房入れないと過ごせない気候になってきたが、ちと生暖かい部屋でリラックスしたBGMとして使うのはいい音楽だ。買い込んである他の演奏も聴かなければなぁ....。
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