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ブラームス ピアノ四重奏曲 第2番/ファウスト、ジュランナ、ムニエ、ハン

2009年11月01日 23時57分39秒 | ブラームス
 3番のところにも書いたが、ブラームスが3曲残したピアノ四重奏曲の内、1番と2番はほとんど時を同じくして生まれた双子のような作品らしい。ブラームスは同じ編成であるにもかかわらず、性格的には対照的な曲を同時進行させて創作することが-特に室内楽では-よくあってらしいけれど、これなども典型的にそういう例だと思う。作品番号は26(1番は25)で、すぐ近くには有名な「ヘンデル主題による変奏曲」がある。だからという訳ではないだろうが、この第2番は「ヘンデル」に漂っている気分にけっこう近いところがあるように思う。第一番の鬱蒼として重厚、やや気むずかしげな世界に比べると、こちらは、午後の満ち足りた時間....みたいな、明るい伸びやかさやある種の安寧さが横溢しているところが特徴で、こうしたムード、気分はまさに「ヘンデル」と共通するものだからだ。

 作品は全四楽章、演奏には約45分を必要とするなかなかの大作だが、前述のように比較的リラックスした作品なので、ブラームスにありがちなあまりに構築されたが故の威圧感のようなものはあまりなく、BGM的にも聴いてすーすー耳に入ってくる、とても聴き易い仕上がりになっている。第1楽章はシグナル風なモチーフをメインにした明るい第1主題が印象的で、調度セレナード第二番の第一楽章と同じようにように(そういえば、曲自体が「ヘンデル」以上に、セレナード第二番に似ている気もしてきた)、これか繰り返し何度も現れて曲が進んでいく。第二楽章はやや早めの緩徐楽章。時に初期型ブラームス流の情熱的なところを見せつつも、おおむねゆったりと進み、あまり深刻になったりせず、子守歌風にリラックスした雰囲気に終始している。ちなみにざっくりといって、第一番は弦主体、第三番はピアノ主体のような印象を私は持ったけれど、この第二番もどちらかというと流麗な弦の動きが耳に残る作品だと思う。

 さて、第三楽章はスケルツォ、ただし。第二楽章が緩徐楽章にしては多少遅めだったのに比べると、こちらにはスケルツォにしてはあまり情熱的でも精力的でもなく、冬の日だまりみたいなほのかな温もり感が目立つ、調度交響曲第一番の三楽章あたりの印象である。最終楽章は舞曲風なロンド。第一番の余韻なのか、こちらも少しジプシー音楽の影響が感じられるが、やはり第一番の最終楽章のような緊張感や賑々しさはなく、メインの主題に挟まれた副主題は第一楽章に共通するようなゆったりとした雰囲気になるので、全体としてはやはりゆったりとしたリラックスしている感じだ。という訳で、第一番とは鋭く対照的な仕上がりで、全体に間延びした感がないでもないが、この明るい伸びやかさ、ゆったり感は悪くないと思う。
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