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ブラームス ピアノ四重奏曲 第1番/ボザール・トリオ

2009年11月07日 22時55分52秒 | ブラームス
 このところ、なにかと出てくることの多いブラームスのピアノ四重奏曲だが、リストに上がっている通り、演奏の方はブリリアントの室内楽全集に入っているファウスト、ジュランナ、ムニエ、ハンの4人による演奏をもっぱら聴いていた。昭和初期に録音されたプロ・アルテ四重奏団とシュナーベルが組んだ第一番も手元にあったりもしたのだけれど、なに音が悪すぎてまともに聴くがしなかったら、これしかなかったともいえるのだが....。さて、曲が馴染んでくれば他の演奏が聴きたくのは、いつもの通りのこと(笑)。さっそく数日前にいくつかのCDを購入してしまった。これはもちろんその中のひとつで、ボザール・トリオによるピアノ四重奏曲全集である(作品番号のないピアノ三重奏曲イ短調もはいっている)。ボザールトリオはアメリカのレギュラーで活躍しているピアノ三重奏団で、古今のピアノ三重奏曲の名曲といえばあらかた録音してしまっているベテランであり、この演奏もそういう意味では安心して聴ける演奏であろう....という目論みで購入した訳である。

 とりあえず、今一番を聴いているところだ。この三重奏団は50年代中盤にデビューしているし、なんとなく「フィリップスから出たブラームス」というイメージからして、ステレオ初期くらいの録音かと思っていたら、73年収録だったのは意外だったが(従って音質は十全である)、演奏の方はこれはもう当初の目論み通り、本当に安心して聴けるスタンダードなパフォーマンスだと思う。これまで聴いていたファウスト、ジュランナ、ムニエ、ハンの演奏は、よくいえば非常に流麗で透明感があるやけにすーすー流れるブラームスで、まぁ、それはそれで趣だとは思うのだけれど、ちとラテン的な腰の軽さのようなものが気にならないでもなかった。一方、こちらはもう少し楷書体というか、要所要所をビシっと絞めたタイトな良さがあるし、ぱっと聴きだがテンポも揺らぎがなく全体に安定感を感じさせるのがいい。また、プレイヤーの集合体による演奏というより、ひとつの楽器を思わせるいかにも練り込まれた緊密なアンサンブルでもって全編演奏されているのも、いかにも上質な室内楽を聴いている快感を感じさせたもする。

 という訳で、なかなか優れた演奏ではあるが、どうもこの演奏も基本的にはラテン的なものではないかと思う。私がどうもラテン的なるものが苦手なせいもあるが、これはこれで良しとして、もう少し重厚でどっしりとした石橋を叩いても式のドイツ保守本流ブラームスを体現したような演奏というのも、聴いてみたいような気もする思ったりしてしまうのは私の我が儘というものだろうか?。ちなみにこれと一緒にバリリ弦楽四重奏団がデムスと組んだ50年代中盤のピアノ四重奏曲全集も購入したのだが、ドイツ保守本流ブラームスについては、そちらに期待してみることしたい。
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