Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

JON LORD / Beyond The Note

2006年03月12日 13時02分00秒 | ROCK-POP
 ディープ・パープルを脱退したジョン・ロードが一昨年発表したソロ・アルバムです。なんだかんだといいつつジョン・ロードも60歳を超えた訳で、きっともうそろそろハード・ロック・バンドでツアーをするのもつらくなってディープ・パープルを抜けたんでしょうが(ひょっとしていつもバンド内抗争でクビ?)、もともとクラシック指向の強い、ノーブルな性格みたいですから、本当はもっと早く辞めたかったんでしょう、いやはやご苦労様でしたといいたい気分です。

 さて、このアルバムですが、ディープ・パープル流のハード・ロックとはほとんど無縁な音楽になっています。全編に渡って小規模なオケというか、室内楽風な弦がフィーチャーされていて、たまに思い出したようにロック・ビートがそれ風なフレーズが出てきたりもしますが、ほとんどクラシカルな趣に塗りつぶされていて、ヴォーカルが登場する曲では、半音階風に上り詰めていくように展開を多用して、サム・ブラウン(ヴィッキー・ブラウンの娘)のフィーチャーした「One From The Meadow」など、前作「Pictured Within」のタイトル曲同様、まるで後期ロマン派の歌曲を聴いているような気分になったりもします(その他フリーダやミラー・アンダーソンが参加した曲もあってどれも秀作です)。
 また、もう40年近くも前の出来事になってしまった最初期のクラシカル路線を思わせるオーケストレーションや旋律が随所に登場するのも懐かしく、アルバム冒頭やジョージ・ハリスンを追悼した作品らしい「A Smile When I Shook His Hand」などは「バンドとオーケストラのための協奏曲」の第2楽章で展開された黄昏っぽいムードそのものだし、「The Telemann Experiment」では「4月協奏曲」の木管オーケストレーションやダイナミズムを思い出させる部分が出てきたりして、「ロードさん、やっぱりあんたは忘れてなかったのね」とかいいたくなっちゃいました。

 という訳で、私みたいなロートルにはなんか初めて聴くのに妙に懐かしいアルバムなんですが、客観的に見ると音楽の核になる部分が今一歩伝わってこないというか、全般的にちょいと音楽が薄味過ぎて、「だから何かいいたい訳ぇ?」みたいなところは確かにありますよね。前述のようなヴォーカル曲をもっと増やしてもエレガントな歌曲アルバムみたいにすればいいと思うんだけど、だめか。
 ともあれ、パープルを辞めてしまった以上、これ以上この手を音楽でもって活動を続けていくとなると、この人、スコアも書けることだし、映画音楽みたいな分野に行かざるを得ないんじゃないんですね。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JANE MONHEIT In Concert (DVD)

2006年03月12日 00時07分20秒 | JAZZ
 昨年の5月にレビュウした「Takeing A Chance On Love」のライブ盤とでもいうべきDVDです。ただし、オリジナル・アルバムがオケなども入って、かなり豪華な仕上がりだったのに比べると、こちらは基本的にピアノ、ギター、ベース、ドラムというシンプルな編成をバックに歌っているの違いはあります。なお、このDVDのシューティングを前提に、大きめのスタジオもしくは小さなホールでの収録されたようで、カメラワークは痒いところに手が届く緻密なものです。

 オリジナル・アルバムでは、クリアでクセのないポップな歌声といい、豪華なアレンジといい、どちからかといえばポピュラー・ミュージック寄りな印象もありましたが、こちらはシンプルで即興性に優れた編成なせいか、歌の合間にギターやピアノなどのにも随時ソロ・スペースを設け、いかにも「クラブで酒を片手に聴いているジャズ」的なリラクゼーションと緊張感がほどよくバランスした音楽になっています。あえてアップテンポの曲を選曲せず、ミディアム・テンポばかりでゆったりと音楽をやっているのもいいです。
 それにしても、動いている彼女は初めてみましたが、もっと初々しい新人みたいなパフォーマンスをするのかと思っていたら、けっこう堂々たるものですね。いろいろなステージで、相当量歌い込んでいることが歴然とした風格があります。あと、なんだかんだといいつつ、やはり歌い手が女性だと華がありますから、こういう映像は観ていて楽しいです。ついでにかけば、スタジオ盤で見せた、あのカラフルでよくコントロールされた歌唱はこのライブで同様でこれもある意味驚き、ラストのジョビンの曲ではちょいとエラばりのスキャット・ヴォーカルも披露し、とにかく全編緩急自在に歌いまくってます。

 ちなみに、バックを固める4人も堅実そのもので、ダイアナ・クラールのバンドほどにはコクも味わいもないですが、まずは合格点でしょう....っていうか、こういうフォーマットでムーディーな4ビート曲やって、途中エレガントなギター・ソロだのピアノ・ソロだの出てきたりすると、大抵は降参してしまうタチなので(笑)、個人的にはたっぷりと楽しめました。なお「エンブレイサブル・ユー」はゲストのドリ・カイミのギターのみをバックに歌ってます。けっこうボサ・ノバ好きな人だったのね~>JM。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする