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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

MILES DAVIS / Seven Steps to Heaven

2006年03月18日 18時45分19秒 | JAZZ
 しばらく前に購入した「セブン・ステップス」を先ほど開封したんですが、そういえばここに収録されている最初のアルバムに相当する「Seven Steps to Heaven」を私は未だ聴いたことがなかったので、とりあえずボックス・セットから該当する曲を抜粋してアルバムを再現したCDRを作って聴いてみました。この時期のマイルス・バンドはまだ過渡期で、マイルスとロン・カーターのベースは固まっていたようですが、サックスのジョージ・コールマン、ピアノのハービー・ハンコック、ドラムスのトニー・ウィリアムスの参加する前段階で、ヴィクター・フェルドマン(ピアノ)とフランク・バトラー(ドラムス)というカルテットで録音したセッションもあり、このアルバムにはその両方のセッションが収録されているという半端な印象があったのせいか、これまで聴いていなかったという訳です。

 ちなみに1,3,5曲目がカルテットの演奏で、2,4,6曲目がそのまま数々の名作ライブを作っていく黄金時代前期のクインテットで録音されたものとなりますが、前者のカルテットの演奏は、「Basin Street Blues」「I Fall in Love Too Easily」「Baby Won't You Please Come Home」の3曲で、どれもマイルスのミュートをフィーチャーしたミディアム~スローのバラード系なアレンジ。よく歌うマイルスのミュートとなかなか知的なソロ(ビル・エヴァンスとウィントン・ケリーの中間みたいな感じ)を展開するフェルドマンのソロがいい感じでブレンドして、程よいリラクゼーションが、カクテル・ラウンジ風なジャズっぽさがいかにも心地良さに誘う演奏になっています。なにしろもう一方のクインテットの方のメンツがメンツなだけに、こちらの演奏の一般的な評価は低いようですが、個人的には「けっこういいじゃん」って感じでした。ある意味でプレステッジ以来の王道スタンダード・ジャズ路線の打ち止めともいえる演奏ですよね、この3曲。

 一方、クインテットの演奏は、初顔合わせでももうあのサウンドになっているのはさすが。2曲目にラインナップされたタイトル・トラックが始まると、いきなり音楽そのものがモダンで現代的な響きを感じるのは、この曲をこの「フォア&モア」その他で聴き過ぎてしまった人間の先入観でしょうかね。4曲目の「So Near, So Far」はフェルドマン作である非スタンダート作品ですが、込み入ったリズム・パターンといい、色彩的なアレンジといい、早くも2年後の「E.S.P.」を予見させるようなモダンさがあります。6曲目の「Joshua」はタイトル曲同様、ライブでお馴染みの作品ですから、まるで初めて聴いた気がしないような演奏ですが、ロン・カーターとトニー・ウィリアムスのシンバルをリズムの核として、各メンバーが従来のアンサンブルからすると自由度とスピード感の高い、奔放な演奏を繰り広げているのは、当時としてはかなり近未来的なモダンさがあったと思わせるに充分な仕上がりです。 
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ブラームス セレナード第1番 他/アバド&BPO

2006年03月18日 14時30分04秒 | ブラームス
 自らブラームス愛好家を名乗っていながら、この曲はおそらく初めて聴くと思います。ブラームスがピアノ協奏曲の第一番を作ったのとほぼ同時期に作曲した彼の作品中「ブラームス初の管弦楽曲」という称号を持つ記念すべき作品なのに、どうして今まで放置してあったのだろう....?。いろいろ思いを巡らすと、どうもアナログ盤時代に、ボールトがLPOを振った演奏を持っていたような気もしてきたのですが、いずれにせよ、音楽的内容についてはほとんど記憶になく、今回聴いたみても、どこか覚えていたとかそういうところは全くありませんでしたので、やはり初めて聴いたんでしょう。

 さて、このセレナード第1番ですが、セレナードというくらいですから、当然、モーツァルトやハイドンといった古典期のフォーマットを敷衍したものになっています。具体的に云えば、楽章間の相関の薄いバラエティに富んだ多楽章で構成された、比較的軽い気分で聴けるBGM的音楽といったところですか。したがって、同時期に作っていたピアノ協奏曲第1番のような、最初の交響曲の内容を予告しているようなシリアスさはほとんどなく、全編、屈託のない明るい気分に覆われています。また、オーケストレーションのための習作みたいなところもあったんでしょうね。かなり意図的に様々な形式やソロ楽器をフィーチャーしているあたりも特徴といえるかもしれません。自分用のメモとして各楽章をちょっと控えておきます。

 第1楽章は牧歌的雰囲気に始まり、その後の「大学祝典序曲」風な晴れがましいテーマに発展してく主題が印象的。第2主題は楚々とした風情のもので、やはり牧歌的。全体的な気分としては、交響曲第2番と共通するムードがあります。ついでに主題の取り扱いの入念さはいかにもブラームス的ですが、こういうさりげない雰囲気の曲では、ここまでやるのはちとくどい感もありますね(その意味で交響曲第2番の簡潔さはさすがというか、ここでの経験が生きているんでしょう)。
 第2楽章はスケルツォ。交響曲第3番第4楽章の冒頭みたいなモヤモヤした感じから、やがて優雅なワルツ風な雰囲気に変わっていくテーマ印象的(ちょっとドボルザーク風かな)。トリオはやはり交響曲第2番風な牧歌調なものです。
 第3楽章はアダージョによる緩徐楽章で、演奏時間は14分と全曲中最長。内容的にはブラームスというよりは「典型的なドイツ、オーストリア風の緩徐楽章」といった感じで。平静で穏やかな気分ムードが横溢したまるで自然風景のような楽章です。

 残り3つの楽章は、演奏時間でみると、4分、3分、6分と全部併せても前のアダージョより短いものになっています。どうしてこういう後半を駆け足で構成にしたのかは不明ですが、これらリズミックな楽章をひとつのブロックとまとめてしまうと、通常の交響曲と同じ4楽章となってしまうのは、なにかヒントになっているのかもしれませんね。ともあれ、第4楽章は素朴でちょっとユーモラスな雰囲気からやや憂愁を帯びた旋律へと変化していくテーマが印象的なメヌエット。第5楽章は再びスケルツォですが、こちらは第2楽章に比べてよりはっきりとし明確なスケルツォで、雰囲気もかなりホルンをフィーチャーして豪快です、ただしあっという間に終わってしまいますが....。最終楽章は定石通りといった感じのソナタ風なロンドのようで、
力強く跳ねるような第1主題は、なにやら「ハイドン・ヴァリエーション」のフィナーレを思わせる堂々たる偉容があって、これが度々現れることでハイライトを形成するという感じです。
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