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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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ベートーベン ディアベリ変奏曲/R.ゼルキン

2006年03月04日 17時07分33秒 | クラシック(一般)
 1月28日に「ディアベリ変奏曲」に再度玉砕(?)以降、この曲なんとなく好きになれそう....という気配を頼りに、ほとんどBGMとしてですが、かなり頻繁に聴きました。2,3日に一回くらいは聴いたんじゃないでしょうか。おかげで曲の凹凸というか、楽曲全体の起伏のようなものは大分馴染んできました。いや、「この曲いいじゃん」ってとこまでは未だ未だいきませんが....。そんな折り注文してあった、ルドルフ・ゼルキンがこの曲を演奏したCDが届いたもんで、早速聴いているところです。57年録音のCBS盤です。

 しかし、ブレンデルとは恐ろしいくらい趣の違う演奏ですね。ゼルキンの演奏というと無骨だとか剛直だとか、とにかく非常に重厚なイメージがありますけど、この演奏もまさにそういう感じ。ブレンデルがこのちょっとロココ風なテーマを軽やかにさらっと弾いているのに対して、ゼルキンの方はテンポは遅いし、左手のバスのガツンと来る低音がふんだんに聴こえる演奏なせいか、まるで石造りの要塞のような趣の演奏になっています。ゼルキンだとこのテーマからして既にベートーベンそのものといった感じで聴こえるから妙。ともあれ、その安定感は無類。まさに一点一画を揺るがさせにしない極太の楷書体という感じですかね。
 
 また、各変奏もひとつひとつを丹念に性格を描き分けていて、この曲の性格変奏であることがよく分かる演奏ともなっています。「悲愴」の冒頭を思わせる意味深なムードの第15変奏、リズミカルな第16変奏、ピアニスティックな技巧が冴えるやはり「悲愴」を思わせる第17変奏あたりも実にきっちりと弾ききっていて、ある意味構築的ですらありますね。このあたりをブレンデルの演奏では、流れに重視して一気に弾いたのに比べると実に対照的です。個人的にはこれまでブレンデルの演奏でこの曲に馴染んでいたので、いささか違和感もありますが、ベートーベンらしさという点では文句なくこちらに軍配が上がるのではないでしょうか。それにしても同じ譜面で弾いてこんなに違うというのは、聴き比べ醍醐味ここにありという感じです。
コメント
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