Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

浜崎あゆみ/LOVEppears

2006年03月10日 23時40分22秒 | JAPANESE POP
 こちらは「白アユ」。1999年発表の第2作目のアルバムで、オリジナル・アルバムである1枚目にプラスして、リミックス集であるディスクが一枚ついたボリューム感たっぷりの仕上がりである。しかもこれの他にもシングルはもちろんのこと、昨日取り上げた「黒アユ」や「ayu-mi-x」なんてのも出していた訳だから、まさに怒濤のリリース攻勢であった。最近の倖田來未なんて、おそらくこの時にエイベックスが得た成功体験で、「あの夢よ再び」って感じでセールスを展開してるんだろうから、この時の浜崎を知っている人からすれば、どう展開するか既に見えているところがあって、ちょいと予定調和的な感があるのではないか。

 さて、アルバム本体だが、なんといっても前半部分の「向かうところ敵なし」といった風情の疾走感が圧倒的だ。唐突にハードコア・テクノ風サウンドで始まる「イントロダクション」。これにカットインして始まる2曲の「Fly high」ではユーロビート的な軽薄さとハード・コア・テクノの重厚さをごちゃませにしたコアなスピード感。3曲目の「Trauma」ではディスコ風なリズム、4曲目の「And Then」ではドイツっぽいミリタリー調のテクノ・リズムにフォーク・ロア風な曲調をまぶしたエクセントリックさ、5曲目の「immature」歌謡曲的旋律のとそれぞれフィーチャーしつつ続き、ダメ押し的なキャッチーなシングル路線の「Boys & Girls」を登場させた後、バラード風な「TO BE」と「End roll」で締めくくるという、約30分間に渡る流れは、そのなんでもあり的なごちゃまぜ感と今的な猥雑なポップ性、そして浜崎流の「いたみ」を随所に滲ませた歌詞とボーカルがあいまって、良きにつけ悪しきにつけ、リスナーをほとんど無条件に圧倒するような迫力がある(これに匹敵する「向かうところ敵なし」的疾走感といったら、森高千里の「古今東西」の前半部分くらいしかないのではないか?)。

 ちなみにアルバムの後半は名曲「appears」に代表されるように比較的重厚で、いってしまえばアーティスティックな曲が並んでいて、こちらもなかなかの充実度なのだが、やはり前半部分の疾走感には負けるのではないか。
 いずれにせよ、この後の浜崎はこのアルバムの前半で見せたような疾走感を超えるような音楽はつくっていないし、音楽的にはこのアルバムの後半で聴かれるような楽曲をメインにしていくことになるし、今のようなドスの効いた声でなく、まだ娘々した声でもって、なにげにリアルな日常性を感じさせた頃の浜崎のひとつのマイルストーンとしても、ひとつの貴重な記録である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浜崎あゆみ/appears

2006年03月10日 00時03分37秒 | JAPANESE POP
 浜崎あゆみという人は、とても毀誉褒貶の激しい人で、某巨大掲示板での叩かれようは本人が読んだら、奈落の底に落ちていってしまうのではないか、と思うほどひどいものがあるのだけれど、それもひとつの人気のバロメータには違いないだろうと思う。ともあれ98年のデビュウ以来、早いものでもう8年、依然として「商品としての浜崎あゆみ」の鮮度を維持しているのは頭を下げる他はない。ただ、現在の浜崎は「日本製マドンナ」として、奇矯な派手さをひたすら拡大再生産する完全なエンターテイメント路線になってしまっていて、私みたいにデビュウ当初のちょっと巫女みたいな神秘的なムードに惹かれたファンとしては、現在のケバにはちょいとついていけないところもあるのだが....。

 このディスクは99年発表のセカンド・アルバム「LOVEppears」とほぼ同時に発表されたミニ・アルバムで、アルバムの方の通称が「白アユ」に対し、こちらは限定発売の「黒アユ」として有名だったものだ(私は当時同じ職場に居た女性から安く譲り受けた-笑)。収録曲はなんと12曲で、内容的には「appears」の別リミックス6曲をフィーチャーしている。このアルバムは一応、シングルみたいな位置づけもあったと思うのだが、オリジナルに比較的に近い1曲目から、曲が進むにつれどんどん原曲から離れたハードコア・テクノ色の強いダンス風なリミックスに変わっていくあたりの刹那的ブチギレ度とヴォリューム感は圧倒的で、当時の浜崎....というかエイベックスの怖いモノなしの勢いが伝わってきて、今聴いてもかなり新鮮だ。これを一通り聴いて、オリジナル・ヴァージョンを聴くと、当初刹那的に聴こえたはずの「appears」にせよ、「immature」にしても、ごくごくまっとうな正統派ポップスに聴こえてしまうほどだから....。

 それにしても、浜崎あゆみってこれまで一体何枚のディスクを出しているんだろうか。私もはじめの何年かは追いかけていたものだが、あまりに別リミックスや編集物を多発するのに辟易して購入するのはオリジナル・アルバムくらいになってしまった。前述のとおり最近はほぼ日本製マドンナになっていくにつれ、興味もそれなりになってしまったけれど、そのあたりも含めてやはり、「LOVEppears」の頃が一番印象深い。曲としても、この「黒アユ」があったからという訳でもないが、「appears」が一番好きだ。この曲でそこらに沢山いるなにげないカップルの光景から、ちょっと切ないドラマを切り取っていく歌詞の出来といい、切迫感と疾走感が交錯する曲調といい、お世辞でもひいき目でもなんでもなく、素晴らしい仕上がりだったと思うだが....。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする